ビクビクしながら役所へ入った。


幼い息子の手を引き、
役所の方に声を掛ける。


すると、
清潔感のある50歳くらいの女性が
出てきてくれた。



「キウイさんですね、
    わざわざありがとうございます。」

そう言って、個室に案内してくれた。


子どものために
おもちゃも用意してくれた。




そして、
座ってから
最初に言われた言葉は


「よく、お電話してくれましたね。
   大変だったでしょう。」

だった。



あんなに決心しても
まだまだ、心が立ち直ることはない。


この先考えると不安で震える。


体重は、
夫の浮気発覚から
3ヶ月で7キロ減っていた。


睡眠不足で
眠りたくても眠れない。


でも、
もし睡眠薬のような薬に助けてもらうと
夜中に息子が泣いたときに
起きれないかもしれない。

突然、息子が体調を崩したときに
病院へ連れて行ってあげられないかもしれない。


だから使えなかった。


日中、笑いながら駆け寄ってする息子に
笑い返せていたのかも定かではなかった。






第三者の方から

「大変だったでしょう。」

と言ってもらえたのは初めてだった。


涙が溢れてしまった。










その後、落ち着いてから
端的に説明する。





夫の浮気から離婚を迫られたこと。

家を新築したばかりで義実家の隣なこと。

両家で話し合いもしたこと。

義母に追い出されることになったこと。

義母はこの地域の民生委員だということ。




その方は真剣に聞いてくれた。






そして、今後についても話をした。




もう、家を出ようと思っていること。
  
賃貸物件を探すことにしたこと。

弁護士さんに相談しようと思っていること。

子どもの幼稚園は難しそうだから
保育園を探さないといけないということ。







ひと通り話し終えると

その女性に言われた言葉は



「キウイさん、
   もうご自身で色々動かれているんですね。
    
    私たちで手助けできるのは
    保育園についてくらいですね。」









拍子抜け。

そうかそうか。