義母はしれっと言った。

 

「保育園の空きがないこと

 もちろん知っているわ。

 

 特に、この地域が空いていないの」

 

 

わかっているじゃないか。

 

何を言いたいんだ。

 

 

 

 

「だから、

 キウイさんのご実家の近くや

 職場の近くで探したらどう?

 

 もう諦めなさい。

 無理なのよ。

 

 この子が帰らないと言っているのだから」

 

 

 

 

また言われた。

 

つまり、諦めて

この家を出ていけと。

 

離婚するのだから

幼稚園ではなくて

保育園にしろと。

 

 

「キウイさんのご両親に

 相談してみたら?

 

 きっとキウイさんにとって

 一番良い方法を

 教えてくれるわよ。」

 

 

 

「両親は離婚反対です。」

 

 

 

「だから、

 ちゃんと話しなさい。

 

 親は子どもの幸せを

 願っているんだから」

 

 

 

 

もう、何を言ってもダメなのだ。

 

義母は、

自分の息子のことしか

考えていない。

 

 

これ以上

自分の息子が苦しむのは

かわいそうだと。

 

 

なんで。

 

 

この結果を招いたのは

あなたの息子じゃないのか。

 

 

 

 

 

 

 

悔しくて、悲しくて

涙が溢れてくる。

 

 

「キウイさんも

 大変だったわね。」

 

 

 

大変な状況にしているのは

紛れもなく、あなただ。

 

どの面下げて

そのセリフが言えるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…わかりました。

 

 両親に話しても

 離婚反対されるだけなので

 私には相談する人がいません。

 

 なので

 役所の女性相談に

 話をしてみます。

 

 夫がした不貞行為について

 そして今日、

 お義母さんに言われたことについて。

 

 息子の幼稚園にも

 入園させてもらえないこと

 

 本来ならば保証されるべき

 住まいを追い出されること

 

 

 全てを相談してきます。」

 

 

 

 

 

「そうしなさい。」

 

そう言って

義母は出て行った。

 

 

その後ろを

 

黙って夫がついていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰ってきた息子を抱きしめ

 

私は心に決めた。

 

 

もう、この家には居られない。

出て行こう。