美術系の裸婦モデルの仕事をしながら、写真の専門学校に通う千佳。
若年性認知症の妻、君枝を介護する夫、靖史。
廃墟となったホテルに住み着く日雇い労働者の男。
一見バラバラな3組のストーリー。
頁が進むにつれその関連性が明らかになり、驚きの事実が浮かび上がってきます。
以下、物語の真相に触れる部分があります。
結構意外な展開で、私は予想できませんでした。
あの人はそんなに重要なキャラじゃないと思っていたので。
驚きはありましたが、救いがなく、やり切れなさを感じるオチでしたね…。
その割には後味がそんなに悪くない感じなのは、ラストの千佳と靖史のやり取りが良かったからかなあ。
個人的には、あれで少し救われた感じがします。
あと、物語の端々に流れるノスタルジックな空気感というか、この作者の文章の描く世界は、なんだか心に沁みるものがありますね。
悲しく切ない話なのは確かなので、読んだ後、気分が落ち込むところはありましたが…。
でもそこまで嫌な気持ちではなくて…うーん、文章で表すのは難しいです。
ともかく、読んでよかったとは思います。