バレーボールワールドカップ男子・静岡会場の浜松アリーナ2日目、お客さんの入っていない会場は静まり返っているもののカラフルな椅子、垂れ幕などでオレンジ、ピンク、ブルー、、、っと華やかな印象がある。観客席の上部から下を覗くとコート周りでたくさんのスタッフが黙々と仕事をこなしている。 コート内で跪いている人は紺色のレフェリースラックスに静岡国体ブレイカーを羽織っているので多分、審判役員でラバー製のコートに貼られた白いラインテープの剥がれを修正しているのだろう。さあ、いかなきゃー、、、大きくため息を吐いて、観客席の階段を足早に降りていく。

おくりびとは物書きだった-浜松アリーナ



この静岡会場では、1日2試合、2日間で計4試合が行われることになっていた。初日の昨日、1試合ラインジャッジ(線審)をやらせてもらったが、ワンタッチの確認の不備から緊張は頂点にいってしまい、ボールを目で追ってしまって(ライン判定の際はボールを追っている目をボールから離し、ラインを見つめ、ボールの接点を判定しないと間違いが生じやすい)、目の前のイン・アウトまで誤審を、、、、。 明らかに未熟による失敗なのだから云い訳じみてしまうが、Vリーグの外人枠のトップ選手が6人全員みたいなチーム構成で、、、おまけにスパイクより遥かに速いジャンピングサーブで、、、一見、何でもないように見えるサービス時のエンドライン判定が、、、通常のスパイク時のライン判定よりもかなり難しかったのも事実であろう。しゃがみ込んで構えるのは格好が悪いっという指導だったが実際、2番、4番のラインジャッジに関してはかなり低く構えないと一瞬のうちにラインすれすれに通過するボールの接点を見ることは難しかった。





 何百人もの役員全員で行うミーティング後、審判役員控室に国内の審判員が昨日と同様に集まった。やはり昨日と同様、室内はギュウギュウ詰めだ。明夫さんが注意点を話した後、番長(審判委員長)に振り、そして、日本協会の国際審判員の先生からお言葉を、、、そして、、、明夫さんから本日、1試合目の審判割り当ての発表が始まった。1番ラインジャッジは、、、○○、、、、」、、、「ハイッ」、、、、立ち上がって、、、「よろしくお願いします」、、、「2番ラインジャッジは~」、、、、 1試合にリザーバーを含め5人を要するラインジャッジ、、、1日10人、2日で20人、、、、今回、準備出来ているラインジャッジは20名を遥かにを越えていて、、、昨日、失態を見せてしまった俺には到底、割り当てはないものと他人事のように思って割り当てを聞いていると、、、、・・・・ッジは~岡村○○!」、、、、「・・・・?エッ、あっ、は、ハイッ」、、、、、「よっ、よろしく、、、おっ、お願い、、、します」、、、「3番は・・・・」、、、、。



 な、なんてこった、、、マジかよぉ~、、、当然、みんな次は私だ!次は俺だ!って思っていた訳だから、、、、なんか、ちょっと気まずい雰囲気じゃないかと、、、勝手に思ってしまった。それにしても、、、明夫さんは、、、やってくれる。 試練に試練、、、言葉の解らん外国人の国際審判員にどうー説明するのか? 


 運悪くなのか、想定通りなのか、昨日、叱られた副審が本日の担当試合の主審だった。 後から聞いたところによるとやはり、主審からラインジャッジは大丈夫かと試合前に、、、明夫さんに確認があったようだが、明夫さんは英語に臆することなくいつもの笑顔、、「ノー、ノー」、、、「ノープロブレム!」、、、、っと。明夫さんにとってもある意味戦いの場であったことは間違いなかったのであろう。涙が出るほど、うれしい話だが、、、その時は、そんなことはつゆ知らず、再び動悸が高鳴って、、、黙ってトイレへと歩いていった。