特別、用が無い限り、基本的には午前中、成型機のオペレーターをする。 朝いちに電源を入れ、機械を暖める。 機械の上についているホッパーから入れるペレット状のプラスチックの材料は、大きなレーザービーム発射装置みたいな中に入り、高温によって溶かされ、、、金型の穴に差し込まれ、、、勢いよく流しこまれる。

 

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目

 金型は左右に2つに分かれるようになっていて、溶かされたドロドロの材料が金型に入れられ、一定の冷却時間をとった後、金型の片側が開き、製品を取り出す仕組みになっている。 希ではあるが、この金型に挟まれ、つぶされてを失う人もあるくらいで、安全に配慮しなければいけなかった。 命までは、落とさなくても何らかの落ち度によって手のを失った人は、何処の会社にも、1人か2人ぐらいは居たようだった。


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ラブラブ!

 オペレーターを朝から夕方、、、そして、残業までずぅーっと一人で続けることもあったし、朝からお昼までやって、午後は、オペレーターを別の人に代わってもらって、集計作業や村上開明堂や矢崎計器のQCサークル活動のために出かけ、夕方からまたオペレーターにつき、残業をしていた。 表ガラスの成型は不良がたくさん出て、いくら成型しても良品はナカナカ増えずに、終わる時間のめどが経たなかったのでいつも、イライラするようになってきた。 山のように積み上げられた不良品は、別の袋に入れ、4トントラック1車分ほどになるまで溜めるとプラスチック再生屋さんを呼び、不良品を取りに来てもらい、買い上げてもらっていたようだった。


 矢崎計器村上開明堂は、カーメーカーの下請けで自動車の計器類やドアミラー類を作っていて、その会社の第一下請けとして、プラスチックの成型を請け負っていた。 その頃は、トヨタ方式・カンバン方式とかって世間では言われ始め、QCサークル活動が盛んで、仕事の内容、作業方法、ラインの流れ方などを分析し、より効率よい方法を考え出し、コストダウンを計るといったことを反強制的にやっていた。 矢崎や村上自身、社内で活動はするし、第一下請けの業者から各1名ずつ強制的に参加させ、勉強させ、それぞれの会社で反映させていた。 分析した内容は必ず、模造紙に分かりやすく絵つきで書き込み、機会あるごとに、矢崎や村上の定例会で発表させていた。 なんか、めんどくさいようだが、”絵が好き、字を書くのが好き、計算が好き、ひと前で発表するのが好き、”だった俺には、もってこいの仕事だった。 実際、効率化までだし、1時間当たりとか、1ヶ月当たり、1年当たりに何円ぐらいの節約になるということまでだし、認められると、それに見合ったお金もくれるのである。 以前いた”吉野プラスチック”の特許製品を発明して賞金を頂くのと近いような気がしていた。 内容は覚えていないが、1度、賞を貰い金一封を頂いたこともあった。 確か、内容はたいした事がなかったが、模造紙に書かれた絵と説明書きが綺麗で分かりやすいことと、 発表が評価を受けたという変わった授賞だった。


 その後その第一下請けから集められた人たちは、矢崎や村上らの人と一緒になって県外へも出かけ、よく名前の売れていた王手の大会社である精密機械メーカーや時計メーカーやマヨネーズメーカーのラインまで分析するようになっていった。 時折、訪問した私たちをそっちのけにして、たくさんの人々が玄関に並んで見守っていると、大きな黒塗りのセンチュリーがその前に横付けされ、皇族でも来たかのように振舞っていたが、、、トヨタの社長さんのようで、QCサークル活動の見学に来ることもあったようだった。


 与えられた仕事を無難にこなし慣れはじめてきた頃、もう一度、結婚のお許しを獲るために、 の家に伺うことを決意した。


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