ネットフリックスのドキュメンタリー「外科医 パオロ・マッキャリーニ」というのを見た。

原題は。

Bad surgeon。悪い外科医 である。

日本のメディアで取り上げられることが少なくて、その名を初めて知った。

ちょっとネタバレをかなり含むのですが。

パオロはイタリア人外科医で、再生医療のパイオニアとされ、スウェーデンのカロリンスカ研究所で胸部外科医として勤務。

元同僚の話では、とにかく格好良くカリスマ性があり、世界を飛び回って手術をしている人。6ヶ国語を操るという。

特に、人工気管に患者由来の幹細胞を付着させたものを移植する画期的な手術を開発し。。。なのだが。

やがて、同僚たちは徐々に違和感を感じだす。

手術を受けた患者の経過が良くない。いや、それどころか、患者は苦しむばかり。術後海外に帰って良い経過と聞かされていた患者が舞い戻ってきて、ほとんど同じような悲惨な状態。181回(だったか?)の再手術を行なったにも関わらず、患者たちは苦しみながら世を去る。

かつ、パオロは術後の経過にまるで無頓着。

不審に思った同僚たちは、色々調べだす。彼の過去に動物実験をやった論文皆無。診療録を調べると妙なことがどんどん出てきて。捏造データに基づいて意図的にいきなり人体で実験的治療をしていると、確信しだす。

一方で、同時期、パオロはあるアメリカ人ジャーナリスト女性と付き合う。アメリカでも彼の手術を受けた患者はいて、亡くなっていた。

彼のドキュメンタリーを撮るつもりで彼と面談した女性は、あっという間に恋に落ち、どんどん彼のペースにハマっていき、最後はニューヨークでのキャリアを捨ててバルセロナに行く決心までする。実は彼には妻子がいたのに。亡くなったアメリカ人患者の家族にも、彼は見事に取り入っていた。

ロシアでも彼の手術を受けた女性がいた。美談のような映画まで作製された。実はこの女性も苦しみのうちに息を引き取った。

そのことに気づいたスウェーデン人ジャーナリストも動きだす。。。

まぁ、なんやかんやでボロが出だして。元カノの暴露記事。元同僚たちの内部告発。スウェーデンジャーナリストによる告発ドキュメンタリー。

どういう結末を取ったか、ここでは書きませんが。(というか、現在最高裁で係争中)。

研究不正。不適切医療。(経歴詐称もあったよう)。まぁ、はっきり言って詐欺であり、罪の無い患者たちに対する傷害であり、事実上の殺人なのだが。

そのやり方が巧妙なのか、なんなのか。

ジャーナリスト女性に対しては、ローマ教皇の主治医であり、クリントン夫妻と知り合いで、オバマの診療や日本の天皇の診療にあたったこともあり、ついに最後には実はCIAのスナイパーであると、んなバカな的、荒唐無稽なホラを吹くのだが、途中まで女性は、そういうこともあるのかと信じ込んでいたようだ。

別件で亡くなった患者の母にも色仕掛けで近づいていたりとか。

興味深かったのは、スウェーデンのカロリンスカ研究所のトップ達の対応。カロリンスカ研究所のトップはノーベル医学生理学賞の選考委員長を勤めるという世界的権威であり、研究所自体も記者をして国の中に国家があるようだと言わしめた程の強大な組織。

人事権を持つ彼らは内部告発を受けてもまるで無視、いやそれどころかパオロを庇い立て。内部告発者を解雇するのみならず、逆に刑事告訴までする始末。最終的には辞職せざるを得なくなったが、ちゃっかり別の職におさまって。

え!どっかでよく聞くような話じゃん!

と驚く😳

研究不正に関する実話では。

アメリカ・バイオベンチャー「セラノス」のCEO エリザベス・ホームズの不正の様子を描いた、

「シリコンバレー最大の捏造スキャンダル全真相」

も興味深かったが、人たらし、女たらし術まで総動員したという点では、驚きが深い。

ドラマ内で語られていた。

詐欺は用意周到であると。まずは小さなことから始まって、徐々に時間をかけて大きな話になっていく。気づいた時には多くの人が事実上の共犯として巻き込まれていっている、と。

なかなか、含蓄のある表現だよなぁ。