録画だけして見ていなかったNHKドキュメンタリー「ゴッドハンド 復元師と天翔る白馬」。

半年後の今になって見てみた。

まぁ凄い。

破損した美術品を修復する仕事。

いや、過去に下手くそ(?)が修復した美術品を一から再修復したりする。

修復っぷりの見事さもさりながら、過去の修復をやり直すことによって、本来持っていた魅力が輝き出して、再び命が吹き込まれる様が描かれていた。

今回の番組で主に取り上げられたのは2作品。オークションで2000万で落札された磁器の白馬(江戸時代前期の作品)と鍋島焼。

白馬の依頼主は、本来持っている筈の躍動感の無いことが不満。

調べたら4本とも足が折れていて、オリジナルは胴体と繋がれた足の1本のみ。尻尾も先は作られたものだった。

最初その様子を見て。

ひょっとして騙されていた?

そう思ったけれど、どうもそうでは無いようで。


取り上げられていた復元師の方は親子3代にわたりこの仕事をして、2代目以後の方が手がけたものは5000をくだらないらしく、初代が手がけた作品は相当数とわかっていても黒子に徹していたため、その数不明という。


少なくない古美術品は何らかの補修を受けているものであることが推察された。

残っているオリジナルや他の作品を参考に、如何にうまく再生させるのか。そこが復元師の腕の見せ所である。

山羊の足のようだと酷評されていた天馬の足は、しっかりと大地を踏みしめて、今にも駆け出さんばかりに、変貌した。

カメラのレンズを落とされて割れてしまった鍋島焼は、傷をわかりにくくするために、広く再塗装されていて、青磁のブルーの色合いが微妙に死んでいたが、塗装を剥がし、継ぎを最小限の範囲で完璧にやることによって甦った。


凄い技術力である。


ただ、古美術の復元には議論もあるようだ。


美術品が歴史的存在なら、破損も汚れも、色褪せるのも歴史そのもの。修復してなるたけオリジナルに近づけて、作成された当時の感動を私たちも味わいたい。これは自然な欲求。でも、歴史性はどうなる?


使用による擦れをどうすべきかと、鍋島焼の皿の所持者も番組内で悩んでいた。


難しい問題だよねー。


ミロのヴィーナスは、あれがいいかもと思うし。金閣寺や安芸の宮島なんか、補修ありきのものとして見ているし。広島の原爆ドームですら崩落しないようには補修している筈だしね。発掘調査と同時に劣化しちゃった高松塚古墳の壁画はどうなるんだ、と、どんどん思考が迷子になっていく。


まぁ、世の中に永遠のものなどない。


それだけが私にわかること。うん。