視界に映る赤ちゃんの姿も
響き渡る泣き声も
どこか遠くの世界のような…
隣に寝かせて貰っても
夫からお疲れ様と声をかけられても
まだ実感がわかず
会陰切開の後処理のため
縫われる痛みだけが現実的に思われた
産後の身体は想像以上に満身創痍で
放心状態の中、ただ横たわるしかなかった
陣痛や分娩の痛みと同じぐらい
知識として世に広まってもらいたい
「出生時刻23時15分、2700g」
記録の指示をする先生の声が微かに耳に入った
産院到着から約3時間
初産としてはかなり早いと思われる
安産と言えるものであった
処置が終わり再び仮病室へ移動
自分で起き上がることも出来ず
抱えられ車椅子に乗せられされるがままだった
家族の立ち会いはそこから2時間以内
その後は退院までお見舞い等接触不可
これもコロナの影響である
仮病室のベッドに横たわると廊下の先から
「痛いぃい!!」と叫び声が聞こえてきた
なにせ3人陣痛が被っていたため
早々に次の分娩が始まったようだった
お産⑤に続く