今朝は少し肌寒かった。
週末だからゆっくり寝ていたかったけれど、資源ごみの日だったので仕方なく外へ出た。プラスチックごみを抱えてアパート横の回収場所へ向かう途中、見慣れた姿が目に入った。
近所を自分の庭のように歩き回るハチワレの野良猫だ。
背中は真っ黒で、お腹と足先だけが白い。だから私は勝手に「クロ」と呼んでいる。
コンビニへ行く途中で会うと、たまにちゅ〜るをあげることもあった。今日は特に機嫌が良いのか、しっぽをピンと立てて近づいてきた。
ごみを分別していると、隣の棟のおばさんがピンク色のスリッパを履いて出てきた。手には猫用の缶詰を持っている。
「ソーセージ〜!」
そう呼ぶと、クロはすぐに駆け寄った。
ソーセージ?
初めて聞く名前だった。
話を聞くと、去年の冬に初めて会った時、コンビニで買ったソーセージをあげたのがきっかけらしい。あまりにも美味しそうに食べたので、それ以来「ソーセージ」と呼ぶようになったという。もちろん今は猫用のおやつしかあげていないそうだ。
私が「私はクロって呼んでました」と言うと、おばさんは笑いながら言った。
「みんな名前が違うのね。」
確かに猫からしたら不思議な話だろう。
ある人にはクロ。
ある人にはソーセージ。
ところが、それだけではなかった。
数日前、近所のコンビニで三つ目の名前を知った。
夜勤の店員さんは、この猫を「紳士」と呼んでいた。
胸の白い毛がタキシードのシャツみたいに見えるし、ご飯をねだらずおとなしく待つからだそうだ。
こうして一匹の猫が、人によって違う人生を生きていた。
クロ。
ソーセージ。
紳士。
猫は自分に3つも名前があることを知っているのだろうか。
家に帰り、温かいコーヒーを飲みながらふと思った。
この猫、近所ではどれくらい有名なんだろう。
以前入れていたStrayKittyアプリを開いてみた。近所の野良猫情報を時々見るためのアプリだ。
すると案の定、うちのアパート近くに猫の登録があった。
写真を開くと、やっぱりあの子だった。
登録名は「ソーセージ」。
しかし一番面白かったのは説明欄だ。
「おやつの食べ過ぎで太りました。追加のおやつは禁止。」
思わず笑ってしまった。
コメント欄も面白い。
「今日ちゅ〜るあげちゃいました。ごめんなさい。」
「コンビニ前でご飯をあげている者ですが、もうお腹いっぱいだったんですね。」
「さっき別の場所でも食べてました。」
読んでいるうちに少し恥ずかしくなった。
自分だけが気にかけていると思っていたけれど、実際は近所のみんなに可愛がられていたのだ。
おばさんはソーセージ。
店員さんは紳士。
私はクロ。
名前は違っても、気持ちはきっと同じだ。
ちゃんとご飯を食べているかな。
どこか怪我していないかな。
今日も無事に過ごせたかな。
みんなそれぞれのやり方で、この小さな野良猫を気にかけている。
野良猫に名前を付けるというのは、所有するためではなく、気にかけることの始まりなのかもしれない。
しばらくはちゅ〜るを我慢しようと思う。
ソーセージでも、紳士でも、クロでも。
まずはダイエットが必要そうだから。 😆
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