若者から、感動したから読んでくださいと、本をもらった。

表紙。『知ってはいけない2 日本の主権はこうして失われた、矢部宏治、講談社現代新書2499』

カバー。『知ってはいけない2 日本の主権はこうして失われた、矢部宏治、アメリカによる支配はなぜ続くのか? 戦後の日本の“最後の謎”に挑む!、著者累計13万部突破、講談社現代新書』

(矢部宏治はやべこうじ)

カバーの言葉から読む気を失った。

「アメリカによる支配はなぜ続くのか?」の?について。

単なる疑問なら?はいらない。

「疑問のか」に付く?は疑問に対する疑問である。

(矢部宏治はわかっていないのではないか。文章に誤解を招くようなところがいっぱいある)

だから、矢部宏治の「アメリカによる支配はなぜ続くのか」に対する疑問を、誰が言ってるのか聞きたい。

よほどのバカでなければ、アメリカによる支配が続くことに、誰も疑問に思っていない。

日本はアメリカの植民地だ。

「日本の主権はこうして失われた」の主権について。

主権:sovereignty の英語の説明は、supreme power or authority。

英語の説明の日本語訳は、最高権力あるいは権力。

すなわち、「‘最高権力あるいは権力’を持つ者=(主権者)」で、特定されず、主権者は王かも知れないし国民かも知れない。

大日本帝国の主権者は天皇であった。

大日本帝国を無条件降伏させた連合国のアメリカは、’日本国‘をつくり、主権は国民にあるとした。

‘日本国’の主権者は国民である。

「日本の主権はこうして失われた」の「日本の主権」が「大日本帝国の主権」でないことは明らかであるから、「日本の主権」の「日本」は、アメリカがつくった‘日本国’である。

従って、「日本の主権はこうして失われた」は、「’日本国‘の主権はこうして失われた」になり、‘日本国‘の主権は国民にあるから、「’日本国‘の国民の主権はこうして失われた」になる。

しかし、アメリカが主権者を国民としてつくった‘日本国’から主権が失われることは考えられない。

すなわち、’日本国’=日本であるから、日本の国民の主権は失われていないのではないか。

矢部宏治の話は、この考えを否定するものであろうが、バカバカしい、いわゆる日本の“戦後レジーム”の話ではないと思いたい。

「はじめに」の中の8ページの、

「第二次世界大戦のあと、日本と同じくアメリカとの軍事同盟のもとで主権を失っていたドイツやイタリア、台湾、フィリピン、タイ、パキスタン、多くの中南米諸国、そしていま、ついに韓国までもがそのくびきから脱し、正常な主権国家への道を歩み始めているにもかかわらず、なぜ日本にだけはそれができないのか。」は独断である。

この独断が、矢部宏治の「知ってはいけない2 日本の主権はこうして失われた、アメリカによる支配はなぜ続くのか? 戦後の日本の“最後の謎”に挑む!」を書く動機である。

悪の枢軸(すうじく)のナチズムドイツのヒトラーは、国民が選んだ。

悪の枢軸のファシズムイタリアのムッソリーニは、国民が選んだ。

悪の枢軸の大日本帝国は王国で、王の天皇は、国民が選んだのではない。

ヒトラーは、敗戦の責任を取って、自殺した。

ムッソリーニは、長引く戦争に、国民に殺された。

天皇は?

大日本帝国の国民は、大日本帝国が無条件降伏しても、何もしなかった。

この違いがわからないことが、矢部宏治の、「はじめに」の中の8ページの、「日本にだけはそれができないのか」「アメリカによる支配はなぜ続くのか」の、独断につながっている。

アメリカの植民地であるドイツ•イタリアで、戦後すぐ、アンタッチャブルであったアメリカの軍人•軍属が(日本と違って)ドイツ•イタリアの法律に従うようになったのは、従わなければ国民が怒り暴動が起き、アメリカの支配が困難になるからである。

大日本帝国の国民にはなかった主権が、ナチズムドイツ•ファシズムイタリアの国民にはあった!

「日本の国民は100%暴動を起こさない」と見抜いている、アメリカは、植民地の誰が何を言おうと、アメリカの利害得失(りがいとくしつ)で決める。

主権は与えられるものではない。

血を流して勝ち取るものである。

しかし、日本国民は、アメリカから主権を与えられた。

しかし、日本国民の50~70%は選挙に行かない。

日本国民は、主権は失われていないが、主権を行使しない。

主権を行使しないことを失われていると言うなら、矢部宏治は、日本の国民はどうすべきかを書くべきである。

日本国民が主権を行使しないのは誰のせいだ。

誰のせいでもない。

日本国民のせいだ。

戦後レジームは、日本国民が望んだものと言える。

日本国民は、「誰かのせいにしていれば誰かがなんとかしてくれる」とも思っていない。

東大出身の外務省官僚だった安倍派の国会議員、松川るいの決め台詞がある。

「安倍総理大臣を選んだのは日本国民です」

民主主義国家であろうとなかろうと、資本主義国家であろうと共産主義国家であろうと、国の政治システムを決めるのは、国民である。

アメリカは、(アメリカの情報機関は)、当然のことながら、Pacific War(太平洋戦争)前から、大日本帝国のあらゆる情報を集めていた。

情報機関で働いていたベネディクトが戦後発表したのが、The Chrysanthemum and Sward:Patterns of Japanese Culture (日本語訳「菊と刀:日本文化のパターン」)で、バカが言うアンシャンレジームとけた違いの、民度の低い大日本帝国国民(日本人)のことを書いている。

焉。

 

*レジーム=統治方式/支配体系/制度、特に政治体制。*ナチズム=ドイツのナチ党の思想や運動や支配体制。*ヒトラー=1889~1945。ドイツの第3代大統領。大統領•首相•党首を兼ね総統(そうとう)と言われた。*ファシズム=イタリアのムッソリーニがつくったファシスト党の思想や運動や支配体制。*ムッソリーニ=1883~1945。イタリアの首相。*ベネディクト=1887~1948。アメリカの女の文化人類学者。*アンシャンレジーム=1789年の革命前のフランスの前近代社会•制度。*民度(みんど)=人間社会の文化的洗練/文化的発達段階/知的進歩の程度。