日本経済新聞の「私の履歴書」が物語であるように、市販の日本の有名人の「私の履歴書」も外国の有名人の「私の履歴書」の翻訳も、日本の「会社の履歴書」も外国の「会社の履歴」の翻訳も、物語である。

事実に近いものは、出生届と死亡届だけである。

会社の出生届は設立年、死亡届は倒産年。

しかし、市販の「ルネサスエレクトロニクス株式会社の履歴書」は、出生届と死亡届まで同じではない摩訶不思議を「怪しいルネサスエレクトロニクス」で書いた。

さらに、英語の「Rapidus株式会社の履歴書」の日本の半導体の歴史には、ルネサスエレクトロニクス株式会社がまったく出てこない摩訶不思議である。

英語の「Rapidus株式会社の履歴書」の日本の半導体の歴史。

日本の半導体産業は、1980年代には世界シェア50%に達する高い競争力を誇っていたが、貿易摩擦解消のために1986年に締結された日米半導体協定や韓国•台湾の台頭により、競争力は徐々に低下していった。

1999年、日立とNECのDRAM事業を統合してエルピーダメモリが設立された。

エルピーダは、メモリー用半導体の一角を担い、後に三菱電機の事業を譲り受け、一時は同分野で世界第3位のシェアを獲得した。

しかし、2009年のリーマンショックとその後の円高不況により経営が悪化し、政府資金による支援はあったももの、2012年に倒産した。

エルピーダは2013年にマイクロンテクノロジーに買収され、2014年にマイクロンメモリージャパンに社名変更した。

TSMC、サムソン電子、インテルなどとの国際競争により、半導体業界全体における日本企業のシェアは10%にまで低下している。

以下、何の説明もなく、2022年5月の、バイデンと岸田の東京での会談に飛んでいる。

2022年5月、米国のジョー-バイデン大統領と日本の岸田文雄首相は東京で会談し、半導体、原子力、宇宙開発、電気電池、重要鉱物、サプライチェーンなどの重要技術に関する協力の強化について話し合った。

2022年6月に発表された第2次岸田内閣の基本方針(骨太の方針)には、次世代先端技術を開発する民間企業への支援の検討や、2020年代後半における次世代半導体の設計•製造インフラの整備が盛り込まれた。

2022年7月29日、アントニー-ブリンケン米国務長官、ジーナ-ライモンド米商務長官、林芳正日本外務大臣、萩生田光一日本通称大臣による日米ハイレベル協議が開催され、半導体開発における協力について話し合われた。

また、2022年10月3日の第210回国会における岸田文雄内閣総理大臣の所信表明では、官民の投資促進によるデジラルトラスフォーメーション(DX)が盛り込まれ、日米連携による次世代半導体の技術開発と量産化を推進することが表明された。

経済産業省は、5月に合意した日米半導体協力の基本原則に基づき、日米共同研究を見据えた次世代半導体研究を行う組織として、最先端半導体研究センター(LSTC)の設立を決定した。

LSTCとRapidusは、日本における次世代半導体の設計•製造プラットフォームを構築するために協業する。

*LSTCは法人。

以下省略するが、Rapidus株式会社の、2022年8月10日の会社設立から2023年9月の北海道工場の起工式までの説明である。

ルネサスエレクトロニクス株式会社の履歴書。

1毎日新聞エコノミストの2023年4月3日の記事によるルネサスエレクトロニクス株式会社。

① 会社設立。2002年11月。

② 本社所在地。東京都江東区。

③ 社長。柴田英利。

④ 従業員数。2万1017人(連結)2022年12月末。

⑤ 事業内容。半導体製品の設計•製造販売。

2NECの発表。

① NECエレクトロニクス株式会社の設立。2002年11月1日。

② 本店所在地。神奈川県川崎市。

③ 社長。中島俊雄。

④ 従業員数。22500人(連結)2009年3月末。

⑤ 事業内容。システムLSIを中心とした各種半導体に関する研究•開発•製造•販売およびサービス。

3市販の解説書。

① NECエレクトロニクス株式会社の設立。2002年11月1日。

② 会社住所。川崎市中原区下沼部1753番地。

③ 社長。戸坂馨。

④ 社員数。6072人(2003年4月30日現在)。

⑤ 事業内容。半導体製品。

(2003年7月24日東京証券取引所1部に上場)

*1と2•3は、会社の所在地が違う。1と2と3は、社長の名前が違う。

4市販の別の解説書。

① ルネサスエレクトロニクス株式会社は、東京都江東区に本社を置く半導体メーカーである。

② 三菱電機および日立製作所から分社化していたルネサステクノロジと、NEC から分社化していたNECエレクトロニクスの経営統合によって、2010年4月に設立された。

*1•4と2•3は、会社の所在地が違う。1•2•3と4は、会社設立年月日が違う。

5市販の別の解説書。

2010年、ルネサスエレクトロニクス株式会社は、三菱電気•日立製作所•NECの半導体製造子会社が合併してできた。

2011年、東日本大震災で主力の日立系那珂工場の被災もあって、大きな負債を抱えることになった。

2012年、産業革新機構が救済に乗り出し、事実上国有化された。

産業革新機構は、帳簿上の黒字化を急ぎ、工場閉鎖や従業員整理などリストラに継ぐリストラで、ルネサスエレクトロニクス株式会社の売り上げは2018年までに 4割減った。

同年、産業革新機構が産業革新投資機構と名前を変えると民間出身の役員全員が辞任した。

産業革新機構も産業革新投資機構も株式会社であるが、官民ファンドで、M&Aなどをくり返した。

2021年6月、産業革新投資機構は、同年2月3月の地震と火災で那珂工場が再び停止したにもかかわらず、那珂工場は100%回復したと発表した。

しかし、会社の詳しい発表はなく、専門家は全体のバランスシートがどうなっているか誰にもわからないと言った。

*1•2•3と4•5は、会社設立年が違う。4•5が正しければ、ルネサスエレクトロニクス株式会社は2002年にはなかった。

1毎日新聞のエコノミストに「ルネサスエレクトロニクス株式会社は、2017年にアメリカのインターシル、2019年にアメリカのIDT 、2021年にイギリスのダイアログ-セミコンダクターを合計約1兆6400億円で買収している」記事があったり、毎日新聞のエコノミストだけではなく多くの日本の新聞テレビ雑誌が「ルネサスエレクトロニクス株式会は、アメリカのソフト会社を9000億円で買収する」と太鼓を叩いているのに、社長の柴田英利の名前が市販の解説書にはまったく出てこない摩訶不思議。

2東洋経済とダイヤモンドの記事は市販の解説書にはなく、たぶん又聞きで、嘘ではないかと思われる摩訶不思議。

以上を要するに、市販の多くの解説書は、倒産した三菱電気•日立製作所•NECがつくったルネサスエレクトロニクス株式会社の国有化が象徴する、ニッポンニッポンの物語である。

付け加える。

Rapidus とIBMの話も、戦略パートナーシップが象徴する、ニッポンニッポンの物語である。

 

*Rapidus(らぴだす)= Rapidus株式会社。トヨタ•デンソー•ソニー•NTT •NEC •ソフトバンク•キオクシア(KIOXIA)•三菱UFJ 銀行、8社がつくった、‘先端半導体’の量産化をめざす会社。*DRAM(でぃーらむ)=消費電力が小さく、構造が簡単で、集積度を上げることができ、安くつくれるので、コンピューターのメインメモリー(=主記憶装置)に使われる。*リーマンショック=2008年、アメリカのリーマン-ブラザーズ投資銀行の破綻がきっかけとなった、世界的金融危機と世界同時不況。リーマンショックは日本だけの呼称である。*TSMC(てぃーえすえむしー)=台湾の新竹市(シンジュー/しんちくし)にある世界的半導体開発製造販売会社。台湾積体電路製造(たいわんせきたいでんろせいぞう)または正式名称台湾積体電路製造股份有限公司の略称。*サムソン電子/三星電子(さむすんでんし)=韓国の水原(スウォン)市にある電気製品•半導体開発製造販売会社。*インテル=アメリカのカリフォルニア州にある世界的コンピューター関連の開発製造販売会社。*サプライチェーン=供給連鎖/供給業者の繋がり/ある製品が出来るまでの原材料の供給元の繋がり。または、ある商品が製造から客に届くまでの繋がり。*デジラルトラスフォーメーション=略称DX。デジタル変化/デジタル改善/デジタル改革。→きっちょむブログ。*プラットフォーム/プラットフォーム=意味多数。基本的意味は「(何かをするとき頼りになる)しっかりした物/所/環境」。コンピューター関連用語では、ハードウェア•ソフトウェアを含めてコンピューターそのものやコンピューターができること。*官民ファンド(かんみんふぁんど)=政府と民間がカネを出すファンド/その組織。(参考)国民に官と民が協力しているように見せかける名称で、実態は、民間がカネを出すことはなく、何千億円~何兆円という出資金は、99%税金である。*M&A(えむあんどえー)=Mは合併、Aは買収。会社の合併と買収。資産や株式を買い取って自分の会社にすること。*バランスシート=貸借対照表/財政状態表/会社の財政状態を明らかにする表/会社の金回りがいいか悪いかを明らかにする表。*エコノミスト=1経済に関する専門家。2日本の毎日新聞社の経済に関する週刊雑誌の誌名。3イギリス出版社の名前と経済に関する雑誌形式の週刊新聞の名前。*パートナーシップ=協力関係。