若者からコピーをもらった。

2023年4月3日の毎日新聞出版エコノミストの記事で、編集長秋本裕子によるルネサスエレクトロニクス株式会社の社長柴田英利のインタビュー記事であった。

怪しいルネサスエレクトロニクス株式会社を理解するために、全文紹介する。

M&Aで成長、時価総額6倍を狙う(ヘディング、太字)

ー 柴田社長が取締役としてルネサスに参加した2013年当時の経営状況は非常に厳しいものでした。それが22年12月期には売上収益、営業利益、純利益ともに過去最高でした。10年間でどのような改革が功を奏したのですか。

柴田 基本的には経営のあり方を変えたことだと思います。10年前も半導体市場自体は伸びていましたが、ルネサスだけでなく多くの事業者が市場から脱落しました。中長期で当社が競争力を保つことができる市場と、今後伸びそうな市場はどこかと決めて、そこに向けた製品のロードマップ(工程表)を設定して、競合他社と差別化するよう取り組んできました。追い風は常に吹いているものです。サーフィンのように、タイミング良く波に乗れるように自らを鍛えて準備してきました。

ー 勝てそうなマーケットをどこに設定し、どのように差別化したのですか。

柴田 まずは息の長い製品領域です。一昔前の携帯電話のように半年や1年で新製品が出るものではなく、2、3年あるいは5年に1度といったペースで新製品が出る領域に焦点を当てました。自動車や産業ロボット、医療機器、通信網のインフラ設備などに搭載される半導体製品です。品質や信頼性が重視される分野が当社の得意分野であると定めました。

 もう一つはソリューション提案です。かつては、「御用聞き」のように、納入先から求められた製品を開発していたやり方から、少しずつですが、当社からより使いしやすい複合化された製品として提供するように注力しています。顧客が半導体に使う金額の中のより多くの部分を取れるようにすることを積み重ねてきました。

ー M&A(合併•買収)に積極的で、近年では海外半導体企業の大型買収を3件実施しました(17年米インターシル、19年米IDT 、21年英ダイアログ•セミコンダクターで買収金額は合計約1兆6400億円)。どういう狙いで実施してきたのですか。

柴田 全体を貫くテーマは二つあります。一つは製品や技術面で当社に不足していた部分を埋めることです。ルネサスといえば自動車用マイコンと代名詞的に語られることが多いですが、マイコンだけ搭載しても何も動きません。その周辺には電流の制御や信号の流れの整理などのさまざまな装置が必要です。そうした装置は当社の競合が提供していたのですが、それなら当社自らが提供してもいいではないかということで、対象企業を買収しました。

 もう一つが人材です。19年以降は新しいカルチャー(企業文化)を作ろうと取り組んでいます。掛け声は大きくても、何十年も同じメンバーで仕事をしていたら何も変わらないじゃないですか。そのため、人材採用も併せて会社ごと買収しようという発想です。社員の構成も変化していて、15年末に約2万人いた従業員は全て内部出身者だったのが、買収を通じた人材が全体の2割(22年3月)に達しました。これらの新戦力なしでは、今の受注入札案件は全く取れなかったと思います。

 自動車用は一段と拡大(リード)

ー 用途別に19年と21年を比較すると、自動車向けの割合が減ってIoT 向けが増えていますが、この傾向は今後も続きますか。

柴田 そんなことはありません。自動車は今後タイヤが付いたコンピューター見たいになるので、半導体需要が拡大するチャンスです。三つの注力分野を設定しています。一つは、ADAS (先進運転支援システム)と言われる、自動運転の補助をする機能を拡充します。もう一つは電動化です。世界で明らかに立ちあがっていますからね。三つ目は、電動化に関連して、車の中のエレクトロニクス化の構造が大きく変わってきます。これを後押しするための半導体分野ですね。この部分の強化では買収もあるかもしれません。

ー 30年末に株式時価総額(3月15日時点で約3.6 兆円)を6倍に引き上げる目標を掲げています。

柴田 「2倍×3倍」で考えています。30年末には売上収益を昨年実績の2倍近い200億ドルに引き上げることを目標としており、キャッシュフローも2倍にしたら、時価総額2倍は難しくありません。問題はどのようにして3倍を実現するかです。これは事業部門間の協業をもっと進めていくこと、デジタル化を通じて1.5 倍から2倍程度に高めることができます。

 さらには、当社の株価は競合他社に比べて割安だと考えています。PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)といったバリュエーション(株価評価尺度)の倍率が低いのです。これは将来にわたる事業のリスクを低減することで倍率を高めることができます。シリコンサイクルといわれる半導体産業でのリスクを下げることで、6倍は大言壮語ではなく、実現可能だと考えています。

横顔

Q 30代の頃はどんな仕事をしていましたか

A 投資銀行などで投資の仕事をしていました。「世の中を最速で走るぜ」という感じの、生意気な男でした。2008年の「リーマンショック」で価値観が大きく変わり、人に縁を大事にするようになりました。

事業内容 : 半導体製品の設計•製造販売

本社所在地 : 東京都江東区

設立 : 2002年11月

資本金 : 1532億円

従業員数 : 2万1017人(2022年12月末、連結)

業績(22年12月期 <IFRS>、連結)

 売上収益 : 1兆5008億円

 営業利益 : 4241億円

◾️人物略暦

しばた•ひでとし

1972年神奈川県出身。県立相模原高校卒業、東京大学工学部卒業、米ハーバード大学経営大学院で経営学修士号取得。JR東海、メリルリンチ日本証券、産業革新機構などを経て2013年10月ルネサスエレクトロニクス取締役、執行役員常務兼最高財務責任者(CFO )を経て19年7月から現職。50歳。

以上。

まず、エコノミストが柴田英利のインタビューを出版したことに驚いた。

柴田英利のインタビューの答えは、現在キョンシー企業である(きっちょむの思い込みか)ルネサスエレクトロニクス株式会社(以下ルネサス)と、天と地ほども違う。

「事業内容」と「人物略暦」にある、多くの矛盾。

1柴田英利は、2002年に、ルネサスを設立した。

30歳(2002−1972)の若さである。

東京大学卒業を21歳とする。

履歴の、米ハーバード大学経営大学院・JR東海•メリルリンチ日本証券•産業革新機構に在籍したのが1年としても、25歳である。

柴田英利はまさにスーパー天才である。

1980年代に半導体世界シェア1位2位3位であったNEC•三菱•日立が、当時数百億円規模の最先端ファブがレガシーファブになって、利益を出すことに苦しんでいるときに、柴田英利はルネサスを設立した。

ちなみに、2021年3月に主力工場の那珂工場で火災が発生して生産が停止したニュースが世界を駆け巡った、日本の代表的半導体メーカーであったルネサスは、‘2002年にはなかった’。

a 日本の代表的半導体メーカーであったルネサスは、国族東大官僚の差配(さはい)で、利益を出せずに苦しむ NEC•三菱•日立の子会社が合併して、‘2010年にできた’。

b ルネサスは、2011年、東日本大震災で主力の日立系那珂工場の被災もあって、大きな負債を抱え込み、2012年、官民ファンド産業革新機構株式会社に救済•国有化され、2021年6月、産業革新投資機構(国賊東大官僚が責任をあいまいにするため名前を変えた)が、同年3月の那珂工場の火災はルネサスの存続にかかわるものであったにもかかわらず、那珂工場は100%回復したと発表するまで、‘キョンシー企業であった’。

キョンシー企業は、政府や銀行の支援によって倒産しない企業で、半導体メーカーを買収するカネなどない。

すなわち、柴田英利のルネサス(a)と日本の代表的半導体メーカーであったルネサス(b)は、別の会社でなければ、辻褄(つじつま)が合わない。

話をエコノミストに戻す。

柴田英利のインタビューの答えは、1部辻褄が合っている。

それは、ルネサス(a)がファウンドリーをめざしているらしいことである。

世界の主要半導体メーカーは、アメリカ・中国・韓国が国家戦略をEVから自動運転EVに切り替えたことから、“最先端半導体”の開発にしのぎを削っている。

“最先端半導体”の開発には、多くの半導体メーカーが開発をやめるほど、何十億ドルものカネが必要である。

世界には、ファウンドリーに徹して生き延びている半導体メーカーがいっぱいある。

しかし、それでも、ルネサス(a)の資本金1532億円や運転資金に、疑問が残る。

また、一方で、柴田英利は、秋本裕子の質問に出てくる、「2017年にアメリカのインターシル、2019年にアメリカのIDT 、2021年にイギリスのダイアログ-セミコンダクターを合計約1兆6400億円で買収していること、M&A(合併•買収)に積極的であること」、を、否定していない。

さらに、エコノミストと多くの日本の新聞テレビ雑誌が、「ルネサス(a)はアメリカのソフト会社を9000億円で買収する」と太鼓を叩いている。

その資金は?

補足する。

経歴に「産業革新機構などを経て」とあり、柴田英利は、「取締役としてルネサスに参加した2013年当時の経営状況は非常に厳しいものでした」と言っている。

すなわち、柴田英利は、2013年に、ルネサス(a)の経営をしながらルネサス(b) に取締役として参加した。

しかし、既述したように、ルネサス(b)は、2012年に、国族東大官僚が支配する産業革新機構に国有化されていた。

産業革新機構は、帳簿上の黒字化を急ぎ、工場閉鎖や従業員整理などリストラに継ぐリストラと、社長の次々の交代で、ルネサス(b)の売り上げは2018年までに 4割減った。

同年、国賊東大官僚が責任をうやむやにしようと産業革新機構を産業革新投資機構と名前を変えると、民間出身の役員全員が辞任した。

柴田英利は、産業革新機構をいつ辞めたのか、また何をしていたのか。

『怪しいルネサスエレクトロニクス株式会社(2)』に戻る。

「ルネサスは、国有化された2012年から産業革新投資機構の民間出身の役員全員が辞任する2018年までに、国族東大官僚承知で、マネーロンダリングの“怪しいM&A“またはルネサス本体を削って、巨額の資金を海外にプールしていた」

「事業内容」にある会計基準がIFRSであることから、確信する。

今回はここまでにしておく。

(注意)

日本の毎日新聞社のエコノミストの誌名は、イギリスのエコノミストのパクリである。

イギリスの週刊雑誌エコノミストは、イギリスのロンドンに本社がある、1843年開業の、150年以上の歴史がある、誌名と同じ週刊雑誌社である。

その誌名からわかるように、経済専門家向けの雑誌である。

しかし、開業(=創刊)当初から、記者の名前を隠す経営方針が批判されていた。

アメリカのジャーナリストは、「偉そうな記事を書いているが、実は何の経験もない無名の若造編集者ばかりだとバレるから匿名にしている」と指摘し、国際ペンクラブの会長が次のように切って捨てた。

A magazine which hides the names of the journalists who write its articles in order to create the illusion that they dispense disinterested truth rather than opinion .This sales technique,reminiscent of pre-Reformation Catholicism,is not surprising in a publication named after the social science most given to wild guesses and imaginary facts presented in the guise of inevitability and exactitude.That it is the Bible of the corporate executive indicates to what extent received wisdom is the daily bread of a managerial civilization.

晦渋(かいじゅう)な言い方を、できるだけわかりやすく説明する。

科学的根拠があると信じさせるために、記事の筆者の名前を隠す雑誌。この販売技術は宗教改革前のカトリック教会を彷彿させるが、社会科学関連の出版物にはよくあることだ。

記事の内容は、真実を装った科学的根拠のないことがほとんどだ。この雑誌が法人幹部のバイブルであるということは、この雑誌の誇張された知識が経営者の知的進歩を示す毎日のパン(=活力)であることを示している。

 

*ヘディング/ヘッディング=1標題/見出し。2サッカーでボールを頭でコントロールすること。*インフラ=社会の維持に必要不可欠のもの/主としてライフラインを含む道路•鉄道•上下水道設備•送配電設備など。病院•学校なども含む。*ソリューション=解決/解答。*御用聞き(ごようきき)=顧客(こきゃく/こかく)を回って注文や要求を聞くこと、またその人。*マイコン/マイクロコンピューター=1集積回路/IC。2超小型コンピューター。3パソコン。*リード=記事の内容を要約した前書き。*エレクトロニクス化=電子工学化。*キャッシュフロー=簡単に説明する。現金の出し入れ。*デジタル化=目で見え耳で聞こえるあらゆるものをコンピューターで扱える形にすること。(うまく説明できない)*シリコンサイクル=半導体産業で3~4年周期で起こる景気循環の波。*リーマンショック=2008年、アメリカのリーマン-ブラザーズ投資銀行の破綻がきっかけとなった、世界的金融危機と世界同時不況。リーマンショックは日本だけの呼称。*最先端ファブ(さいせんたんふぁぶ)=最先端の工場。*レガシーファブ=時代遅れの工場。*那珂(なか)=茨城県那珂市。*ファウンドリー/ファウンダリー/ファウンドリ/ファウンダリ=半導体製造専門企業。*IFRS(あいえふあーるえす)=国際財務報告基準。