人間失格
先日のドイツ出張からの帰りに、その事件は起きました。
事件の現場は、飛行機が到着した羽田空港です。
私が入国審査手続きのために移動していたその横を、黒のスーツを着たビジネスマンがキャリーバッグを引いて通り過ぎようとしました。
その時、私の右足にこのキャリーバッグを引っ掛けたのです。
両手に荷物を持っていた私は、転びそうになるのを必死に立て直そうとして、逆にバランスを崩して派手に前のめりに倒れました。
この時、このキャリーバッグ男は、倒れてうずくまっている私に、「大丈夫ですか?」と声をかけました。
倒れたままの私は、声のした方向を見上げましたが、この男の姿はもうそこにはありませんでした。
左足の膝小僧付近の痛みをこらえて周りを見渡すと、驚いたことに、この男は食わぬ顔で入国審査手続きの列に並んでいるではありませんか。
多くの乗客がいたので、この一部始終を見ていた人もいたかもしれません。
私の同行者は既に先に手続きを済ませていたため、遅れてはいけないと、足を引きずりながら手続きを済ませました。
しかし、どうにも気持ちが収まらないので、手続き後にこの男を見つけて、「倒れていたのに大丈夫なわけないだろう!」と文句を言いましたが、悪びれた様子はありませんでした。
私は、同行者を待たせてはいけないとの思いと、この男と話しても埒があかないという気持ちもあって、それ以上問い詰めることはしませんでした。
しかし、しばらくして冷静になって痛む箇所を見てみると、ズボンは破れ、出血までしていました。(幸いにも、お土産の手荷物に入っていた陶器類は無事でしたが。)
そして、1週間あまりが過ぎても、まだ膝の痛みは残っています。
この時の男の態度を思い出すたびに、無性に腹が立ってきますが、「きっと、仕事でも口先だけの男なのだろう」と自分を慰めています。
その一方で、気が動転して適切な行動をとれなかった自分自身に対しても不甲斐なさを感じています。
この事件を通して私が得た教訓
・「人の振り見て我が振り直せ」のことわざもあるように、キャリーバッグの扱いに注意すること。
・不幸にして他人に迷惑をかけた時には、責任と誠意を持って収拾を図ること。
・危機に面した時にもう少し冷静になって、「何を優先すべきか」考えられるように自己を磨くこと。 など
