むし歯・根尖性歯周炎(根っこの病気)・歯周病など、ほとんど全ての歯の病気は、歯を抜けば治ります。もし、症状があれば、歯を抜けばその症状は落ち着くことがほとんどです。技術的には、どんな歯でも抜くことが出来ますので、病気の原因である歯を抜歯すれば、歯の病気は全て治療可能ということになります。成功率は100%です。歯がないことは病気ではなく状態なので、病気は治ったことになります。
逆に、医療の原則として、出来るだけ病気になる前の状態に戻すことを目標にすると考えると、治療して歯を残すことが当然であり、抜歯は歯を失ってしまうので治療の失敗とも考えられます。
歯科医療で命を落としてしまうことはほとんどありませんが、歯を1つの命と考えて抜歯は歯の死と考えることが出来ます。
例えば、ひどい心筋梗塞で苦しんでいる方がいらっしゃったとして、治療を諦めて死んでしまったらその方は心筋梗塞の症状で苦しむことはなくなります。しかし、心筋梗塞を治療をすることで少しでも延命して、人生を楽しめる期間が増えるならそこに意味があると私は思います。
抜歯はいつでも出来ます。それなら、今の医学の限界まで出来ることを試してから、どうしても駄目だったら抜歯するという考え方でも良いと思います。実は、抜歯せずに歯を残す治療を受けることに関して、医学的なリスクはさほどありません。強いて言えば、場合によって、症状を我慢する期間が多少延びるくらいです。
抜歯してしまったら、もう元には戻せません。徹底的に治療して、それでだめなら諦めるという診療方針で何ら問題ないと思います。
抜歯は最後の手段です。
もちろん、治療期間や治療費に関して言えば治療を行うことで患者さんの負担は増えます。 但し、そこに関しては患者さんそれぞれの歯に対する考え方、もっと言えば死生観に関わることですので、患者さんが考えて決断すれば良いと思います。