今日はしっとりとした雨ですね。
道行く人達の傘が紫陽花みたいでした。



さて先週ラジオを聞いていたら、
ジューンブライドの6月に因んだテーマの中で、
女性リスナーさんからのお便りに


「私には、どうしてもこの人と結婚したいと思う彼がいました。彼とは数年付き合い同棲もして、もう結婚するなら彼しかいないほどでした。
ただ、彼には結婚願望が一切無く、彼と結婚したい私を大切にしてくれてはいましたが、やはり結婚には辿り着けませんでした。
そうしてやがて彼とは別れ、その後知り合った人と私は結婚しました。
先日、彼と私のことを知る共通の人から、彼が結婚したことを知りました。しかも私が結婚した1年後に。
もう未練はないとは思っていたのですが、何だか、悔しいような悲しい気持ちで一杯で。
あんなに結婚しないって、結婚しなくてもいいじゃないかって言っていたのに…
どうして…
どうしてよりによって私が結婚して1年後に結婚したんだろう、
どうして私とはダメだったんだろう、
どうして彼の結婚相手は私じゃないんだろう…。
こんな思いばかり浮かんでしまって泣いてしまいました。」


そう心境を綴られたメッセージがありました。




番組では明るい話でなくても大丈夫、誰にも言えないことでも承っているとあったので
紹介されるに値するお便りでしたが、
パーソナリティの方も読み終わって、ああ、と嘆息されていて、
聞きながら私も、こう、あ~ぁ、って。

どうしてもその彼と結婚したかったんだなぁと。

どうして彼とそこは噛み合わなかったんだろう…そう改めて考えずにはいられなかった気持ちが、
痛いくらい伝わって来て切なくなりました。



何をしても尽力しても意志があっても、どうにも動かせない事って有りますよね。
体調だったり仕事内容だったり社会的評価であったり、シンプルに人の気持ちだとか。いろいろ、本当に小さな事から大きな事まで、言い出したらホントに沢山そういうのはあって。



その女性にとって、その彼と結婚することは、きっとそういう種類のどうにも動かせない、
彼女がダメだったとか彼が悪いんじゃなく、それこそ「そういうご縁が無かった」事なのかな、って。


その方も、じゃ今その彼と結婚したいのかと問えば多分違うんだと思うんですよね。ご主人と別れて、その彼と結婚したい意向ではない。そういう事ではなくて。


ただ、彼になんで? って問い質したいような叫び出したいような思いが込み上がって来て止まらない。





あ、分かる…って思いました。

解りますよね…その女性の気持ち。



私にはこのような体験はありませんが、
それでもすっごく解るんですよ。



むしろ全くそう思わない人は居ないような気がします。



今更、なんで? って問える訳でも問い質す訳でもないけれど、
相手にそう言いたくなる事の一つだと思います。
結婚したかったのが女性側だったら特に。しかも、自分が結婚してそんなに年月が経っていない内に、図らずもあんなに結婚しないって言ってきた彼も結婚したって知ってしまったら。
余計に、ぐわっと来るものが生じます。
それは打ちのめされるような相当な衝撃です。




パーソナリティの方も、女性の行き場のない嘆息を汲みながら

「解りますよ、そう思ってしまうのも。彼と結婚したかったほど好きだったんですから。悔しいような悲しいような思いで一杯になるのも自然な事だと思います」

「ただ余り、そういう思いに捉われないで。貴女は貴女の道を、ご主人と一緒に幸せにして歩んで下さいね。」


と励まされていました。




ほんとにそうですよね。
私もパーソナリティの方と同じような言葉を浮かべました。





そして、パーソナリティの方がその女性リスナーさんへ送った1曲が、


もう…ほんとに嗚呼っていう、









――Rainy blue もう終わったはずなのに

――Rainy blue なぜ追いかけるの

――あなたの幻 消すように 私も今日はそっと 雨







だったんです!


そう、徳永英明さんの『Rainy Blue』。





まさかの『Rainy Blue』に


女性の心境とぴったり過ぎて泣きそうになりました。




これは優しいけれど、
今思いっきり過去に浸って泣いてすっきりもう終わらせて、っていう背中を力強く押す選曲ですよね。

女性のメッセージがなくとも梅雨の日本の6月の情景に合う1曲ですし、
花嫁が花嫁になる前に見送った恋の残火を洗い流す為の涙は雨が隠してくれるから、たんとお泣きなさい、とも受け取れるチョイスで。






NEC_2777.jpg






――It's a rainy blue loneliness …







(脳内で徳永さんの歌声を浮かべて)


はぁ、ほんと素敵な歌ですよね。

緩やかで綺麗なメロディに心を打つ歌詞。

浮かび上がる情景、
去った恋を振り返る瞬間、思い出の中のぬくもりが頬を濡らす。



1986年1月に発売された曲ですけれど、31年経った今尚色褪せないですね。



別れた恋人の影をいつまで追いかけるの? と自ら問うこの曲の主人公、
実は私の中で男性なのか女性なのかずっと曖昧でもあります。
どちらとも取れる歌詞ですし、徳永さんが歌われているから男性なのかな(午前0時通りの電話BOXとありますし)と。
でも2番に、あなたの白い車、とある様にやっぱり女性目線の曲なんだろうなぁと、
今回のラジオからの流れで感じました。





改めてこの曲がヒットして良かった、
雨をテーマにした曲としてこの季節や雨の日にラジオから流れる1曲で良かったと、バラード好きなので特に思います。





それにしても、『Rainy Blue』が31年前の曲である以上に、
この曲が徳永さんのデビュー曲という事が信じられないです。
なんという完成度、洗練された無駄のない楽曲。

素晴らしいですよね。



またデビュー曲である以上に、実はこの曲の作曲者が徳永さんご自身だという事実にびっくりしました。
デビュー曲がバラードで、しかもご自身作曲品で、
それが『Rainy Blue』だなんて感嘆するばかりで。



『Rainy Blue』の衝撃が走りました。


それで私が好きな徳永さんの代表曲の作曲者を調べてみたら、
『壊れかけのRadio』(この曲は徳永さんの作詞作曲作品として有名で、私も知っていました)、
『風のエオリア』『夢を信じて』も徳永さん作曲だったんです!



徳永さんは歌声の魅力が強い歌手の方、っていう印象があったので
(もちろん作詞作曲をされているのは知ってはいたんですけど)、
まだ若い20代前半にしてご自身のデビュー曲を作曲出来るくらいシンガーソングライターとしてのポテンシャルが高かった事に震えました。



作曲者としての徳永さんにもありがとう、って感謝しますね。






これから梅雨らしい空模様になる日が多いと思いますが、
雨の日に雨にまつわる曲を聴いて暫しその曲の情景に浸るのもいい過ごし方かも知れませんね。




Rainy Blue、 改めて良い歌でした。