神の御前 | 三遊亭朝橘のどぶろぐ

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ドロッと濁った酸っぱいブログ(密造)

パルコ行ってきました。
渋谷のパルコ。
お正月でパルコと言えばあれですわね。
立川志の輔師匠。
落語というジャンルを超越した
エンターテイナー、落語界の神。
私一人で行く度胸は無く。
全楽師から
「勉強しに行くけど一緒に来るか?」
と有難過ぎるお声掛けをして下さったので
ヒョコヒョコ伺いました。

ひと月のロングラン公演、
恐らく全国各地からお運びであろう
沢山のお客様の期待って
凄まじい事になってると思うんですよ。
それをたった一人で、
勿論多数のスタッフの方々や
お弟子さん方が支えてるんですけど
高座は独り、
それを真正面から受け止めて
期待以上のものを提供するってのは
もう常人の所業じゃないですわね。
神ですね。現人神。

落語については、
まだ公演中なので言えません。
まだの方も沢山いらっしゃるでしょうし。

気付きそうで気が付かない、
思いつきそうで思いつかない。
そんな感じ。
サザンの桑田さんがテレビで言ってましたけど
「曲作りなんて誰でも出来る。
99%まで作る事は出来る。
でも残りの1%を詰める、
作品として仕上げられるのがプロ」
って。
多分そういう事。
古典も新作も、
「言われてみれば」
「確かにそうだ」
そういう気持ち良さが
志の輔師匠の落語には
沢山散りばめられてますね。
目からうろこがバリバリ落ちる。
お客様が置いていかれるストレスを
徹底的に排除してる部分も凄い。
錯綜する登場人物を
どうしたら分かりやすくするかっていう
端的な記号化に凄い工夫が。
それは全楽師から言われて気付いたんで
さも自分で気付いたみたいに言ってはいけない。

楽屋で手拭い頂戴しました。
何故自分の手拭いを
こういう日に持参してないのかと。
正月気分の霧散した日常のせいにしとこう。
すっかり忘れてた…。
これ多分、しばらく悔いるやつ。

落語というローカルな島、
落語アイランドの
ランドマーク。
志の輔らくごは燦然と輝くスカイツリーであります。

という敬愛の情を抱く自分の目の前で
神と普通に話す全楽師。
今の地位を築く遥か前、
志の輔師匠が試行錯誤する姿を
間近で見て学んだ全楽師だからこそ
出来る接し方。
志の輔師が、あの短い会話時間の中で
「全楽はおもしろいなぁ~」
を数回言ってました。
「これが高座に出ないんだよ」
は私は聴いてないふりしかできませんけど。
いや、高座にも出てると思うんだけどなあ…。
全楽師は楽屋も打ち上げも面白いですけど
普段から面白い人が
高座で面白くないわけないんで。

全楽師の独演会に
いわゆる消去法で私が入る事が多いんですけど
師匠が高座に上がる直前の姿っていうのが
凄く好きなんですね。
師匠にとってのそれは
志の輔師匠の背中なんだそうです。
戦場に赴く男はかっこいい。

「こないだ飲み行った時の会計がさぁ、
やけに高かったんだよ!
あの店もう行かねえ!」
かっこいい男はそんな事言わない。
言うわけがない。
その節はご馳走様でございました…。