ルーツってなんだろう | 三遊亭朝橘のどぶろぐ

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ドロッと濁った酸っぱいブログ(密造)

ゲーム実況主じゃないよ。



起源とかそっちのルーツ。



3月17日。浅草東洋館にて開催された



「圓生争奪杯」



五代目円楽の指名でうちの会長こと



鳳楽師匠が七代目圓生継ぐのかと思いきや



圓生師の直弟子、円丈師匠が待ったをかけて



やる事になったこの会。



行ってみた。



だって…面白そうお家の一大事じゃん。



結局ただの野次馬っちゃあそれまでなんだけど



やはり一門の事だし、行かなきゃ。



 



全楽師匠と一緒に行く事に。



あまり早く行ってもなんだから近くのドトールに。



煙草吸えるからいいよね。ドトール万歳。



スタバ吸えないんだもん店内(◞‸◟)



全楽師匠と色々話し込んでると師匠の目の色が変わった。



また精神的体罰か?!



(↑この言葉全楽師に滅茶苦茶怒られた)



全楽師「左談次師だ!」



あぁっ!ホントだ!みんな大好き僕らのアイドル立川左談次師だ!



すぐに挨拶に行く。



全楽師「師匠、どちらへ?」



左談次師「んなもん決まってるじゃねえか。」



ですよね。



ドトールでのウォームアップを終えていざ東洋館。



黒山の人だかり。すっげ…。



僕の知ってる東洋館と違う…!



良かった、左談次師が一緒で。



自分独りじゃかき分けて楽屋に行くの無理。



楽屋も満員だった。みんな考える事は一緒か。



 



番組はオープニングのご挨拶の後、



うちのきつつき兄、三遊亭丈二兄さん、トークコーナーで仲入り、



後半が川柳つくし姉さん、鳳楽師、川柳川柳師、円丈師。





トークにはフジテレビアナウンサーの塚越孝氏、



漫画家にして芸能評論家の高信太郎先生、



演芸評論家の大友浩さんも。



塚越アナの司会で進んでいく。



塚越アナ「まあこの対決も二回三回と…」



え?



じゃあ今日は決めないの?



それは言わないお約束でしょうよ。



そして和やかな感じだし。



嘘でも喧嘩しようよ。花束で殴りあうとか。



プロレスに学ぶべき事は多いですぜ。



こっちはいざって時うちの会長守るべく



スタンバイしてるってのに。



暴走するハンセンを止めに入る



全日若手セコンド陣の気分なのに。



円丈師のラリアット食らう覚悟でいるのに。



鳳楽師のお客様が円丈師に野次飛ばした時だけ



ちょっと緊迫してた。それよそれ。



外野は呑気なもんです。すいません。



 



鳳楽師は『妾馬』、円丈師は『居残り佐平次』



どちらも六代目圓生師の十八番。



鳳楽師の『妾馬』は前座の頃両国で聴いて、



凄く印象に残ってる。



円丈師は『居残り』どうおやりになるんだろ。それが気になる。





鳳楽師はいつも通りの泰然自若とした高座ぶり。



円丈師は師匠らしい高座だった。



 



袖に居た時、川柳師が話しかけて下さった。



「鳳楽さんの噺は中庸の芸。落語ってのは本来こういうもんだ。



でも今の客はそれじゃ笑わない事が多い。」



仰る通りであります。



時代の波に揉まれるのは当然だから



スタイルが変わっていくのは仕方ないし、それを



拒否し続ける事は難しいと思う。



でも圓生の名跡を継ぐっていう事は



その芸を継ぐ、伝承するって事だから。



川柳師「今受けてる奴らの高座は、圓生師が



一番嫌いなタイプの芸だ」



よかったー!俺いっつもすべってて…あれ?目から汗が;;



変えた方が良いと思えば変えりゃいいんだろうし、



それは芸人個人のセンスだから



何が正しいかなんて答えは無いと思うけど、



変えちゃいけない事もあるんだろうね。



まあ自分にはまだ分かりません。



まずは20年やらないと。ですよね?道楽師匠。



でも自分も三遊派の端くれだから、



そういうルーツは大事にしないといけないと思う。



幸いうちの師匠圓橘はそれを大事に磨いてきた師匠だから。



自分の選択は間違ってないと思う。



 







終演後もごったがえす楽屋を後にする。



左談次師、全楽師と一緒。



左談次師「ビール一杯だけな」



お誘い頂いた!っしゃあああああああ!!!



僕らの人気者、左談次師のお話が聞ける!



何という役得。僥倖である。



 



東洋館の近くの、お酒も出してる喫茶店みたいなとこへ。



やはり全楽師も久々に左談次師を前にして嬉しそうだ。



そりゃそうだろうなあ。



全楽師から何度左談次師のお話を聞かせて頂いたか。



弾む会話。頷く私。飛び出すお約束。



嗚呼…いいなあこの空間。これだよこれ。



あっという間に閉店時間に。



 



左談次師「まだ11時じゃねえか…。



30分だけな。電車で帰るんだから」



当然の如く延長枠。近くの別のお店に。



語り尽くせない話。ここで書けない話。ここだけの話。



あー楽しい。あっという間に30分…



あれ?師匠、時計が午前1時半を示してますが。



さだやん「焼肉屋がこの辺にあるんだ」



探すおじさん。後に続く全楽師と僕。



そしておじさん迷子。



近くの魚民に不時着。





ちょい眠くなってきたのでウーロン茶を頼んだら



おじさんに怒られた(◞‸◟)



「飲めこの野郎!」



失礼しました;;



  



「てめえ最近どんな女とセッ○スしたんだ!」



勘弁して師匠!一応公共の場ですよ。



いきなり頭を鷲掴みにされる。



おじさん「何だこいつ、頭にニスみたいなもんつけてやがる」



師匠、それワックスってんです。ニスじゃないです。



縦横無尽に喋るおじさん。



春の嵐の如く美しく吹き荒ぶお約束。



始発の出る5時頃まで宴は続いた。



 





店を出て歩く三人。



すれ違う若者を見ておじさんが



「おい、あいつらに喧嘩吹っ掛けろ」



やめて><うちの師匠に怒られる!



こんな時間に開いてる寿司屋の前を通ると



「おじさんお寿司が食べたいなあ」



帰っとくれ!!



タクシーにおじさんを詰め込んで見送る。



その日朝からゴルフに行く全楽師もタクシーで帰宅。



オイラは銀座線に乗り込んだ。



 



長い夜だった。本当に長くて楽しい夜だった。



おじさん有難うございます。



おじさんは僕の憧れです。



おじさんかっけえっす!



全楽師も本当に楽しそうだった。



やっぱり故郷ですものね。



僕には異世界の桃源郷でした。



そして全楽師の「てめえこの野郎!」のルーツも知れた。



こうして芸は伝承されていくのであります。



私もいつか後進に伝えよう、てめえこの野郎!を。