オスカーをとったケイト・ブランシェット様のなだらかに狂気の一線を越す演技がすごく素敵でした。
宙を見つめてる時の目だとか、「is French」の後、花を生けた花瓶を持って振り返った顔だとか、内面の不安定さゆえの美しさがあって。
ファミレスのシーンの甥っ子と伯母さんがなんか微笑ましかったんだけど、
素敵な彼氏とラブラブでルンルンなはずの彼女の歪みが酷くなっていることが見えてくるシーンでもあり悲しかった。
あと、ジャスミンの“素で貴族”感が半端ないです。ブルジョワジーというよりもアリストクラシー。
あの深い声で言う「ニューヨーク、パークアベニュー。 」の嵌り方よ!
まず、足元が高いヒールじゃなかった。むしろ裸足だった。
真のセレブって成り上がりのそういう見栄を「痛くないの?(曇りなき目)」とみたく、自然体で無力化するイメージがあります。
妹(終始前髪が事故)に彼ぴ(すぐ泣く)と友達を紹介された後、車から降りるのがやけに遅かったのも、いつも人にドアを開けてもらってたからかな。
あの二人やたらと貝、貝、言ってたけども、
日本でもそうなのですが、西洋絵画とかでも性的なメタファーになります。
このシーンはそれを知っているであろうジャスミンには、あからさまな侮辱になるという場面でもあり。
こういうのウディ・アレン脚本のやらしいところですね(褒めてる)。
そのウッディ・アレン監督作品には、私の中でどうしようもない人間が出てくる、「えー!!」っていう(いわばメタい)終わり方をする、というイメージがあります。
途中で“これは『欲望という名の電車』だな“と気がついてから、破滅的な終わり方の予感はしていたけれど、
“なにもかもごちゃごちゃ”
って。
実にウディ・アレンみを感じた…!
こんな、半ば強引にも程がある締め方を成立させてしまえるところが凄いとも言える。
一つ疑問が残ったのは、
ハルはどうやってロープを手に入れたのか。ということ。
もしかして、ジャスミンはまた一つ忘れてしまっているのかも…。
ウディ・アレン監督『ブルージャスミン』(2013年、アメリカ)
2020/6/17 鑑賞
欲望と言う名の電車→虚栄という名の花