手術台の上では、背中に麻酔を打ちます。
背中を消毒された後、オペ看さんの指示に従って身体を丸めるのですが、お腹が大きいので少し苦しかったです。
事前説明で「麻酔の注射の際は動くと危険なので、痛くても動かないで下さい」と注意されていたのでドキドキしてました。
いざ先生が「はい麻酔します〜。少し痛いですよ〜」と言って注射を……って痛くない? え、今、針が入ってるの? 何も感じないんだけど。むしろ腕の点滴の針の方が違和感あって不快ですけど。
なんてことを考えているうちに麻酔が終了。さすがベテラン先生、腕が良いわぁ〜と感心してる間に、血圧計やら脈拍計やらを取り付けられて、腕を固定されました。
ちょうど十字架にかけられたキリストみたいな格好です。
下半身も、ジワ〜と温かくなったかと思うと、全体にしびれたような感覚が。
あれです、長時間正座をした後のしびれが、足先だけでなく腰から下全体に広がっている感じです。
この時点で顔の前にカーテンがかけられているので、執刀医の先生の姿は見えず、声だけ聞こえます。
見えるのは顔の横に居る助産師さんとオペ看さんだけです。
助産師さんは夫の代わりに手を握ってくれているのですが、「冷静で落ち着いてますね〜」と感心されました。
すみません、ワクワクしてます。
人生初の手術。恐怖より好奇心の方が強かったのです。口に出しては言いませんでしたが。
なにやら尖ったものでお腹をツンツンされて、「これ痛いですか? かなり痛いことしてるんですが」と執刀医に聞かれ、「少しチクチクするくらいです」みたいなやり取りの後、麻酔が十分に効いた所で手術開始。
感覚はあれども痛覚は無く。作業の様子も見えないので。
立ち昇る煙と、焦げたような匂いから「ああ。今、電気メスで切ってるのかな?」とか考えたり。
オペ看さんが「今、お腹を広げてます」と説明してくれるのを聞いて「コッヘルを使ってるのかな?」と考えたり。
暇になると助産師さんに「10cmしか切ってないのに、その隙間から赤ちゃん取り出せるのスゴイですよねぇ」「うちの子、元気が良いから暴れて上手く取り出せないんじゃないかな?(笑)」なんて会話したり。
そうしてるうちに「赤ちゃん、出てきますよ!」の掛け声と「お腹を強く押すから、少し不快ですよ!」の掛け声の後に、赤ちゃんの泣き声が聞こえました。
その瞬間は、やはり感動。「あ、泣いた…」と呟きながら、少しウルっとしました。
遠くから「体重は2626グラムですよ〜」と言われて、思わず「なんて分かりやすい…」と笑ったり。
顔の横に赤ちゃんを連れて来られたので、少しだけ自由になる指先で顔を触りながら「カズさ〜ん(あらかじめ決めてあった赤ちゃんの名前)、なぜ泣くの〜♪」と語りかけたりして。
後で聞いた話ですが、うちの子はへその緒が平均より短かったらしいです。そのせいで1回だけですが、NSTの結果が良くなかったのでしょうと。
しばらくして赤ちゃんは連れて行かれ、術後の処置を受けるだけの状態に。
お腹を縫われながら、麻酔の影響で眠くなってきた私。
あくびをしていたらオペ看さんに「寝て良いですよ」と言われたので目を閉じた、その数秒後。
猛烈な吐き気が襲ってきて、えづきが止まらなくなりました。
眠いのに吐きそうって、どんなだよ!
オペ看さんが「吐きそうですか?」と聞いてきたのに必死で頷いたら、「吐き気あるので○○○(薬品名)10、注入します〜」の声と共に、点滴に何かが追加され。
そこから私の意識は無くなりました。
続く。