程々 | kitotan~音の細道

kitotan~音の細道

~耳を澄ませば音の細道~
徒然にモノ書き&ピアノ弾き


年が明けたと思ったら早いもので2月
古くは如月、きさらぎの響きが好きだ

そして2月は誕生月、北海道のそれも
一番シバレのキツいときにフギャア!

その日は大雪で街がすっぽり無音の白
銀に包まれたらしく、この心の純白も…

冗談はともかくその誕生日、ここ数年
え?またという感じで次々やって来る

すると、あ、そっか…くらいでさほど
感慨もないままやり過ごすようになる

確かに歳数が少ない時のプラス1は大
きいが多くなれば大したことなくなる

そういえば子供の時に年寄りたちがこ
んなやりとりをするのをよく耳にした

ずんぶ達者だどもいぐづなったんだ?
ん?おらが?いぐづになったんだべな

当時はこの爺ちゃん何ふざけてんだべ
としか思ってなかったがそれが今では

そうかあれはこういうことだったかと
頷けるようになっているから不思議だ

なんてことはさておきこの2月、ひと
つ片づいたことがあったのでその話を

………………………………………

もう20年近くも抱えていた首のしこり
それが去年10月急に大きくなり出した

静かに眠っていた山が突如うごめいて
むくむくと隆起し始めたそんな感じだ

似たものは今まで大小あちこちに現れ
ては消えてきた、背中、口元、喉元…

そのなかで尻にできたものは今回同様
テニスボールほどにまで腫れあがった

痛みはそうでもなかったがなにしろ場
所が場所、腰を掛けるのに不自由した

ライブでもピアノの椅子に座る時は半
身をずらして尻の右半分だけ腰掛ける

おそらく見てた人は、あの人可哀想に
きっと痔だねと言っていたに違いない

というわけで日常生活への支障もあり
またどこまで大きくなるか不安もあり

近くの皮膚科へ行き処置してもらうと
よくある粉瘤(表皮嚢腫)だと言われた

それが15年前だったが、今度はその9
年後同じ場所がまた大きく腫れ出した

別の皮膚科で診てもらったら前回は膿
を出しただけで根治していなかったと

内部に残った袋を取らないと再発する
というのでさっそく切除してもらった

幸い悪性ではなく手術も日帰りで OK
ただ初診から終了まで3ヶ月通院した

………………………………………

時は過ぎそれから6年、災いは忘れた
頃にやって来るというのは本当らしい

今回は首でやはり日増しに大きくなり
しかもみるみる真っ赤に腫れあがった

これはやばい、しかも今度の場所は前
回の尻と違いさまざま心配のある部位

リンパ、甲状腺、耳、脳、いろいろ関
連するので耳鼻科の守備範囲だという

ということで耳鼻科へ行き検査しても
らうと結果はやっぱり同じ粉瘤だった

帰省を控えていたのでとりあえず破裂
しないよう機械で膿を吸引してもらう

炎症を抑える抗生剤とあとは消毒液と
ガーゼでなんとか1週間を乗り切って

旅から戻りまた行くと冷たくウチは手
術はしないよと言う、なんだなんだ…

前にやった病院があるならそこへ行け
ばとその先生、なんでも東大卒らしい

なのでここはすぐやめた、結局無理に
機械で吸引した穴が2つ残っただけ…

ということで早速その足で前に尻の粉
瘤を取ってもらった皮膚科へと向かう

おばあちゃん院長先生に経過を説明し
すみません浮気しちゃったと言ったら

そうだったの、どうして早く先にウチ
に来なかったのよ~と優しいツッコミ

でもまあ戻ってきたからいっかハハハ
と笑うやおっといきなりチクッとメス

冷血東大の先生と違ってやっぱりこん
な軽やかなやりとりをする先生はいい

ということでそれから地道に通院して
切開、処置、手術、抜糸、最終点検…

やっときのうですべて終了と相成った
やはり3ヶ月かかったがこれで一安心

悪さしてたモノの記念写真を撮らせて
もらうとこれが意外にデカくびっくり

確かに普通20分で終わる手術が今回は
我慢してエラいねえ強いわねえなどと

先生が子供をあやすかのように言葉を
かけながら結局終わったのは1時間後

どうやら放置し対処が遅くなるうちに
形が複雑に肥大して厄介だったらしい

……………………………………

振り返ってみてこの一連の通院で何が
辛かったかといえば傷そのものでなく

ずっと患部に貼ってたガーゼを止める
テーブのかぶれ、これがとにかく痒い

毎日優しく痒み止めを塗ってくれた看
護士お姉さんがほんとに天使に見えた

持って生まれたこの繊細な柔肌、程々
ならいいが度を過ぎるとなにかと困る

若い頃に痔で入院した時は股全体が広
くかぶれやっぱり看護士お姉さんに…

それはともかくさらにもうひとつ大変
だったのは入浴だ、これが一番困った

防水テープを貼るには貼るが剥がれな
いようおそるおそるということになる

剥がれれば自分で事後処置、鏡に写し
ながら両手をまわしての格闘と相成る

そんな面倒な毎日だったがでもやっと
そこからも解放、やれやれよかった♪

………………………………………

この粉瘤の原因は諸説あるが必ずしも
不潔にしてということでもないらしい

ただどうやら入浴などで肌を力を入れ
ごしごしやるのが一番よくないという

先生曰く、なんでもきっちりやろうと
するほうじゃない?おっしゃる通り!

何をするにも知らぬまに一途になって
頑張ってしまう、徹夜の仕事、麻雀…

ただ歳を重ね最近はようやく力が抜け
てきた、歯磨き、筆圧、piano、主張…

先人の言うように過ぎたるは及ばざる
が如し、何にしてもほどほどが一番だ

ということで体を洗うのも今ではもう
やんわり手で撫でるくらいにしている

思えば小さい頃に銭湯で親父が自分を
膝に乗せ血が滲むほどこすりまくった

痛い痛いと嫌がるのをよそにいいから
動くな我慢せい!もしやそれで粉瘤…

当時は今と違ってまだ根性一発の時代
もしや何でも耐えて力むこの性分も…

とすれば謝罪の一つも聞きたくなるが
その親父ももういないから仕方がない

最後にこの粉瘤、誰でもいつどこに出
来るか分からない代物だから要注意だ

病気になって分かるフツウの暮らしの
有り難み、皆さんも気をつけましょう

なおグラビアアイドルでもあるまいし
人に肌を見せるなんてのは恥ずかしい
限りだがここは世のため人のため潔く…