徳川昭武がパリに到着した直後の手紙の続きです、某から某へ。

 

      〔本文1〕

           〇西洋四月一日は兼而之典礼有之、仏帝皇后被相越各国使節
           幷荷主・町人共迄も通行先江列立拝謁之式有之候、壮観とも
               相覚不申、

 

      〔概略1〕

      西暦4月1日に予定通り開会式があり、フランス国皇帝と皇后が出席さ

      れ、各国使節・荷主・町人たちが仏帝・皇后が通行される路に列をなす

      拝謁式がありました。壮観とは思えませんでした。

 

      〔本文2〕

           猶当節博覧場所無昼夜普請雜作取掛罷在、追而大盛相覚申

           候、歐羅巴各国は已ニ飾付も七八分通出来之様ニ相見候得

           共、御国之方は何分場所雑作も手間取漸昨今荷物開キニ取

           掛り候位之運ひニ御座候

 

      〔概略2〕

      なお、此の頃博覧会会場は昼夜なく工事が行われています。追々大盛

      況になると思われます。ヨーロッパ各国の会場は既に飾付けが7~8

      割完成しています。

      日本の会場は準備に手間取り、ようやく荷解きにとりかかるところで

      す。

 

      〔本文3〕

           〇今般魯国御用駿州帰国掛ヶ当所滞留ニ付岩田・関口江面

           会、則幸便ニ付寸猪宜候、委細は当地模様同人方ヨリ御聞

           取可被下候

           三月八日           巴里斯ヨリ

 

      〔概略3〕

      最近、樺太国境交渉でロシアを訪問した石川駿河守が帰国の途中、パ

      リに滞在したので、岩田・関口と会いました。都合がよいので手紙を

      預けます。私たちの様子やパリのことなどは2人からお聴きください。

      3月8日                 パリより

 

 

さて、この手紙を書いたのは誰か。

名前は明記されていませんが、

手紙の本文には、推測できるヒントがいくつかあります。

 

1,徳川昭武を最大限の尊敬している。

2,博覧会会場での準備や荷解きの進行状況が書かれている。

3,石川駿河守(目付)に同行した岩田・関口と面会している、岩田・関口とは同輩の可能性がある。

など。

 

徳川昭武一行より一足早くパリに到着し、出迎えた幕府関係者は次の4人です。

 外国奉行支配定役元締    鹽島   浅吉

 小人目付          中山  七太郎

 通詞            北村  元四郎

 開成所物産方        田中   芳男

この手紙を書いたのは誰か?