韓流作品にみる 夜間外出禁止令 あれこれ | コワれるまで ALLORA

韓流作品にみる 夜間外出禁止令 あれこれ

韓流作品を観ていると、'60年代から'70年代に懸けての民衆が抑圧された時代の話が良く出てきます。
禁欲的で混迷の時代のもとでのラブストーリーが、今でも韓流作品に採り上げられています。

この時代は、アメリカのジレンマであったベトナム戦争が韓国に大きな影響を及ぼしています。
日本もそうでしたが、韓国でも学生運動が盛んでした。

一方で工業化をめざす韓国政府(パク・チョンヒ政権)は、アメリカと仲良くしようとベトナム戦争への国軍派兵を断行し、学生たちから一層の反感を買っていきます。

この学生運動に対する政府の思想統制が厳しかったのが、この時期です。

学生たちが社会に対する怒りを抱く根っこには、生活全般にわたる閉塞感があったようです。

その象徴的な制度が、'50年代の朝鮮戦争から続く “夜間外出禁止令” です。
1988年になってやっと全面解除されましたが、0時から4時まで、韓国では外出は禁止されていました。

私のわずかな韓流視聴歴の中で、この制度が観られるドラマを挙げておきましょう。



   禁止   禁止   禁止



映画 『リメンバー・ミー』(原題:同感(トンガム) 2000年)。

チ・イン(ユ・ジテ)とユン・ソウン(キム・ハヌル)との、こんな交信のやりとりがあります。

「今、無理に信じなくてもいい。また明日話そう」
「そうね。遅いわ。“通行禁止” の時間だもの」

彼女のこの言葉に、インは「いつの時代の話だ はてなマーク 」と あっけにとられるのです。



               



夜間外出禁止制度は、 『製빵王 (チェパンワン) キム・タック』(2010年)でも出てきました。

タックのお母さんがさらわれ、タックについてきたマジュンは、ユギョンの父親の店で深夜を迎えます。
すると、外出禁止時間を告げるサイレンが鳴るのです。



あと、新しいところでは 『ラブレイン』(愛の雨(サランピ) 2012年)のワンシーン。

スケッチ旅行に出かけたソ・イナ(チャン・グンソク)を追って春川((チュンチョン)ソウルから北東 83.6kmにある都市。'70年代は田舎町)のバスターミナルに降り立ったキム・ユニ(ユナ)。

そのまま終電を逃してたたずむ2人に、客引きのオバサ(アジュマ)ンが語りかけます。

「泊まっていきなよ。じき通行禁止の時間だよ」


ヒノキの葉『夏物語』(原題:その年の夏 200(Once in A Summer)7年)は、思いっきり'60年代末を描いた映画です。

泥酔して夜道を帰る主人公ユン・ソギュン(イ・ビョンホン)が、父親に叱られるシーン。

もう深夜だったんですね。

「遊んでるのなら会社を手伝え」

この父親の言葉に反発して、ソギュンは農村ボランティアに逃げるのでした。