東京に帰ってから しばらく 神戸への出張がない日が続いていた そんな或る日 深夜残業から帰宅の途に就いていたら 携帯が鳴った

海外の取引先でも気を遣って電話してくるような時間ではない

誰だ この非常識な時間に電話して来る奴は と思い 発信元を見ると Mだった

メールは 毎日の様に来るが 電話を掛けて来るのは珍しいので 何かあったのかと思い 急ぎ 電話に出ると 酔った彼女の声が聞こえてきた

「 なんだ?酔ってるのか?何処にいるんだ,巨人倍増?」

「 お店だよ 仕事終わったけど 電車無くなっちゃったし このお店は家まで送ってくれないから 始発まで此処にいるんだ 」

接客で散々飲まされた挙句 帰りの電車がなくなった様だが キャストが店で独りで泊まるというのは考えられない

「 独りか?」

「 キャストの友達が一緒だよ あとは黒服ばっかり 」

「 大丈夫か? 何もされないのか?」

「 大丈夫だよ あいつらにとっては 私達は集金マシンだから 手は出さないよ 」

私は気が気ではなかった

何も 客寄せだけが集金マシンではない

レイプされて AVに出さされるケースだってあるじゃないか

「 あんまり 無理するなよ 一家の大黒柱に何かあったら大変だ 」

「 大丈夫だよ メチャはしないよ 」

「 お前の事を心配してるのは 家族だけじゃないからな 」

「 わかってるよ ありがと 」

二 三 言葉を交わした後 私は電話を切ったが 胸中穏やかではない

次に会った時 私は 彼女に懇願するよう言った

「 頼むから 虎口に飛び込む様な真似はしないでくれ 何が起こるのか 解らないんだから 」

「 何が? 」

「 悪さされて 次 お前を観るのがビデオの中なんて嫌だよ 」

「 ああ そういうのもあるか でもそうされそうになったら助けてくれる? 」

「 その時 関西にいたらな 夜中でも飛んで行くよ

「 関西にいなかったら? 」

「 東京からじゃ無理だ 」

彼女は 解っていたであろう 私からの回答を 咀嚼しながら 黙って何かを考えている様子だった

「 そうなんたよね 私達って遠いんだよね 」

そう言われても 仕方ないと思っていた私は 彼女の言葉を聞き流してしまった

ほんとうは 言葉の意味を確かめてみるべきだったのに . . . .

その日から 10日ほど経った頃から Mから連絡が来なくなった

電話でも連絡をとろうしたのだが いっこうにつながらない

もしかしたら また 心の病に冒されているのかも知れない

それ以上に悪い事があったのだろうか,男宝

すぐさま 神戸に行き 私は 恐らくいないであろうとは思ったが 彼女の働いているキャバに行ってみた

そこで フロアマネージャーから聞かされたのは Mが店を辞めたと云うことだった

いったい 何処に行ってしまったのだろうか?

諦めて 店を出ようとしたら エレベーターホールまで送ってくれた黒服が 小声で声を掛けてきた

Mと私の仲を知る男で 私も 普段から彼には目を掛けていた

「 Mちゃん 長野に行ったらしいですよ 」

「 何時頃から? 」

「 店を辞めるって言って来た時だから 一週間前ぐらいかな 」

連絡が 途絶えた頃からだ

また 長野の叔父の許に身を寄せているのだろう 彼女は また 心の病に冒されてしまったようだった

再び 一方的に メールを発信する日が始まった

一方通行ではあるが それしか 彼女とつながる方法がない

私は 何としてでももう一度 彼女と会いたかった 相关的主题文章: