料理道具の違い、これって見た目だけだとなかなかわかりませんよね。
店では、できるだけPOPなどを使って商品の違いがわかりやすいようにしているつもりでも、やっぱり様々なご質問をいただきます。
今日のお昼ごろ和食の料理人見習いだよ、という方が店に来店し、真剣なまなざしで魚の骨抜きの棚の前でず~っと商品を眺めていました。
骨抜きとは、文字通り魚の骨を挟んで抜くための料理道具です。
「骨抜きってどれも同じに見えるけど、どうやって選べばいいの?」そんな質問が飛んできました。
意外と道具屋の店員でも知ってる人が少ない骨抜きの選び方。
そんな骨抜きの選び方についてお話したいと思います。
まずは「骨抜の形」について。
代表的な形として関東型と関西型の2種類があります。

関東型は毛抜きをそのまま大きくしたような若干丸みを帯びた形をしています。
関西型はくの字に曲がった面白い形をしています。
あれ、なんで同じ骨抜きなのに、関東と関西で形が違うの?
それは、関東と関西でよく調理された魚の違いにあるそうです。
昔の関東ではアジやイワシなど、比較的身の柔らかな魚がよく食べられたそうで、魚の身をほじくる必要がなく、表面の骨を抜くのに最も使いやすい形がこの形として残ったそうです。
関西は、関東とは真逆で身の引き締まっていて、血合いの多いタイやサバなどの魚が多かったそうです。
そのため、身をかき分けて深いところで骨をはさまないと抜けなかったため、身の奥に差し込んで骨が抜きやすい形として残ったといいます。
個人的には、関東型をずっと使っているのでこちらの形の方が使いやすいように思います。
たまに関西型を使ってみると使いにくく感じてしまいます。
知り合いの職人さんに聞くといつも関西型を使っているから関東型は使いたくないそうです。
なので形については、やわらかい魚が多いか身のしまった魚が多いかで選ぶか、迷ったら実際に持ってみてしっくりくる方を選んでみてください。
次は一番大事な骨抜きの質の見方です。
まずは、比較のために3本の違う骨抜きを用意しました。

パッと見た感じ、違いは形くらいのもの。
拡大してみてもあまり違いはわかりません。



ではでは、それを刃の内側から見てみると~。



はいっ!!違いがわかったでしょうか!!
Aの骨抜きは「隙間がなく、光が全く漏れていない」のに対して、BとCの骨抜きはほんのコンマ数ミリ単位の隙間が開いているため光が漏れてしまっています。
良い骨抜きは挟み口が光を漏らさないほどピッタリと閉じていることで、骨を挟んだときに無駄な力を入れることなく、途中で骨が折れることもないので、しっかり抜くことができます。
この挟み口が斜めに合わさっていたり、隙間が大きく開いているものは良い骨抜きとは言えません。
質の良い骨抜きにはもう一つ特徴があります。
良い骨抜きは軽い力で握っても、高品質のバネのようにふんわりと柔らかく握ることができ、手が疲れにくいです。
それは、「芯抜き」といって熟練した職人しかできない繊細な力加減が重要な伝統的な職人技が必要となります。
ハンマーを使い、骨抜きの素材となるステンレス鋼の中央のバネになる部分をひっくり返しながら何百回も叩くことで、耐久性のあって長時間使っていても疲れにくい柔らかなバネのような握り心地が生まれます。
下の写真は芯抜きをした骨抜きとしていない骨抜きの画像です。


芯抜きした骨抜きは厚みが中心にくるうちに細くなっているのに対して、芯抜きしていない骨抜きは厚みが均一です。
芯抜きがされていない骨抜きはバネが重く、使っているうちに手がしびれてきます。
日本の骨抜きは世界で間違いなく最高だと思います。
耐久性があるのに柔らかいバネを持ち、全く光を通さないほど挟み口がピッタリな骨抜きは、一本一本職人が手間隙かけて作り上げる匠の技なくして作ることはできません。
職人が一本一本、手作りした逸品ものは丁寧に手入れをしながら使っていただけば、一生物どころか親子何世代にも渡って使うことができる道具なのです。
プロの料理人の方はもちろん、ご家庭でお使いの方、骨抜き選びで迷ったらこの記事を思い出してみてください。
それでは、良い料理生活を!

