アナタハン島事件に着想を得たという『東京島』を読んでみました。

海難事故で無人島に漂着した五十歳前後の夫婦に続いて、二十人余りの日本人の若者と十数人の中国人男性がたどり着き、共同生活を営むお話。自分以外は全員男であることを活かし、したたかに生きていく女の姿も興味深いですし、住人の多くが日本の若者であることから、無人島でのサバイバルというよりは今の時代の病理を象徴したライフスタイルが浮き彫りになるあたりも面白かったです。

唯一僕にとって予想外だったのは最後の結末でしょうか。より直接的でシニカルな結末を期待しながら読み進めていたのですが、本書の場合は物語の流れ通りの結果でした。失われた他者すらポジティブに解釈してしまうあたりはこれまた現代人の病んだところなのかも知れません。


東京島
桐野 夏生
新潮社

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