『これ 女房が編んだんです。もらってくれませんか』

前職時代 同じセクションで働いていた 年上の男性から、確かXmasだったと思います、このマフラーをいただきました

パープルで、幅のあまりない、ちょこっと巻くのに使い勝手の良さそうな手編みのマフラー。
その方は、その言葉以外は何も言わず、メッセージカードなども無く。
  私に?なぜ?
しばらく考えました

その方は糖尿病を患っていて、透析をする為に 早上がりをしたり、時に休んだり、遅れてきたり。お顔は、土色をされていて。
頑健の塊のような人ばかりが勤める職場。定年まで、未だ何年かある彼は浮いている存在で、通院で休暇届を出す時には、体を丸めて小さくなっていました

彼の陰口をたくさん、たくさん耳にしました。そこまで言わなくても、という程の内容のことも聞きました

病に悩まされるなんて、耳垢程も理解できない超頑健な人達の中で、どれほど苦しく、辛く、悩みながらお仕事をされているのか。

苦渋が顔に表れていた彼の体調が気がかりで サポートができる立場にあった私は 気になり声をかけたり、顔色をみては、こっそりと、休憩をしてもらったりしました

思い起こすと このことなのかな、と考えつきました
奥様は、家族を養うためために体調不良なカラダで頑張る大黒柱を それはそれは 気がかりで毎日送り出す気持ちを思った時

あ、彼(ご主人)が、奥様にもしや私のことを? そう考えました

モノにも命が宿って 大切にしたいあまり、溜め込んでしまう性分柄、最近やっと断捨離を始めました

何年も身に着けないモノたち、似たようなものがある場合、『えいっ!』と捨ててしまわないとドンドン増えてしまう為 苦渋の決断がいります

整理中にこのマフラーを手にしました

あの日のことが思い出されて 当時頑健印だった私は、今 難病を得て ご家族の思いを、その立場になって考えてみることが出来、このマフラーは捨てられないな。
あの方はどうされているかしら
マフラーを編んでくれた奥様と、仲良く暮らしてらっしゃるといいな

フワリとした触感を両手に感じながら 遠い日を思い出しました