録音自体がゼロ距離で行われている訳では無いとは言え、大抵の場合かなり近接した音を拾っている。
なので普通に再生するとスピーカーとリスニングポジションの距離+録音時のマイクと楽器の距離くらいの遠さで音像が定位されることになる。
結果的には「比較的小さな編成の演奏を段差のない一番前の席で聞いている」ような音像感になる。

それはそれでいいのかもしれない。まさにそういう演奏、バンドやアコースティックや室内楽などはそれで違和感はない。(とはいえ、それでも近すぎる感はあるが。)
何よりオーケストラや合唱やオペラなどであると、ホールで低い場所または高いステージで演奏していることが多いので、同じ高さで音像があるというのはリアルと少し違うし、そもそもそんなに近くで鳴っていることはあり得ない。
それに音場が近く左右にワイドになりすぎてしまうので、大編成がそれなりの距離で演奏しているリアルとやはりそれなりに相違があり、違和感があると言えばある。

だがそれを解消しようとしていこうとすると擬似的に大きな空間を再現しつつ、上下方向の定位もずらしたりボカしたりすることになる。
ただ、そもそも録音ソース的になかなかその辺りを再現しようとするのが無理があるように思えてならない。
無理にそれを再現しようとすると、小編成の音源の再生にあまり良い影響があるとも思えない。
無難な解決策としては拡散音場にすれば擬似的に広く感じるしれないし小編成もおかしくはならないかもしれない。ただ現時点で拡散音場は自分の志向する方向ではないし、現実的に本格的な拡散音場を作るのもなかなか難しい。

最初はもともとオーケストラをうまく再生しようとシステムや音響をあれこれ考えてきたが、
結局自分の環境はオーケストラよりも小編成の方が得意な音響になってしまっている感はある。
大編成もリアルとの違いを許容すれば悪くはないのだがそれを悪くないと胸を張っては言えないところはある。

サイドテーブルを真後ろに置くことでその悪影響を感じることはなくなったが、サイドになくなったことで簡単に取ることができずに不便になってしまった。
真後ろのサイドテーブルをなくせばさらに室内音響に好影響かもしれない、またサイドテーブルの代わりに簡単に小物が取れて、室内音響に影響がほとんどない収納が欲しいと考えた。
そこでキャンプ用品やカー用品などにより椅子に取り付けできるサイドポケットやカップホルダーを装着。





正直カッコ悪い。ジャラジャラしてる感も気に入らない。
サイドテーブルはやっぱりなくせないという結論に達した。
やはり操作系統のベースはないと厳しい。
サイドポケットは小さい物を一つだけ残しておき、カップホルダーと大きいサイドポケットは撤去。現在使いたい物だけテーブルからサイドポケットに移動させるようにした。
備忘録として使用しているのでキリのいいところで現在の機材を記録

ステレオシステム

ミュージックサーバー:windows10 ファンレスPC(Asus A4110)、SSD1TBに換装、有線LAN接続
サーバーソフト:Asset uPnP
ネットワークオーディオプレーヤー:Esoteric N-01XD
プリアンプ:Marantz SC-11S1(Treble:+4dB)
パワーアンプ:Marantz MA-9S2×2
スピーカー:B&W 800diamond(800SD)





マルチチャンネルオーディオシステム(SACD-MULTI)
プレーヤー:SCD-XA5400ES(HDMI出力)
マルチチャネルアンプ:RX-A3010(フロントのみプリアウト)
フロントスピーカー:B&W 800diamond(800SD)
フロントパワーアンプ:Marantz MA-9S2×2(RCA接続)
センタースピーカー:B&W HTM4diamond
リアスピーカー:B&W 802D

シアターシステム
プレーヤー:SONY UBP-X700
AVアンプ:Pioneer SC-LX59
フロントスピーカー:B&W 802D
センタースピーカー:B&W HTM1D
リアスピーカー:B&W 803S
サラウンドバックスピーカー:800diamond(800SD)
サラウンドバックパワーアンプ:Marantz MA-9S2×2(RCA接続)
フロントオーバーヘッドスピーカー:B&W CCM816
リアオーバーヘッドスピーカー:B&W CCM816
サブウーファー:B&W ASW855

結局高域は+4dB設定の方がこの部屋にとっては望ましい設定という暫定的な結論にした。
ルームチューニングも一段落したと思われるので測定結果まとめ。

1/3オクターブバンドスムージングをかけた10Hz〜20kHzの周波数特性


無響環境の800diamondの周波数特性(他サイト引用)

部屋で響かせている割には波形の追従性は良いのかなとは思う(少なくとも測定初期よりは)
それなりにスピーカーそのものの特性を活かしたまま室内音響が多少はできているのかもしれない。

スムージングなし20Hz~1000Hzの周波数特性


サイドテーブルの位置調整と測定環境の見直しにより200Hzのディップは改善された。

部屋の寸法 5.2m×4.2m×3.5m 76.44m^3
リスニングポイントとスピーカーの距離247cm
リスニングポジション:正面壁から330cm(63%;約5/8の位置)、左右はオンセンター、高さ:97cm
スピーカーの側面距離76cm正面距離100cm
正面壁のディレイ1.84m 5.17ms
ディップ 93Hz ★280Hz ★467Hz 654Hz 841Hz ピーク ☆186Hz ☆372Hz 558Hz
側壁のディレイ0.96m(上ウーファーのみ1.06) 3.1ms
ディップ 179Hz ★537Hz ★896Hz ピーク ☆358Hz 717Hz 1075Hz
側壁ウーファー 1.06m
ディップ 162Hz 487Hz 811Hz ピーク 325Hz 649Hz 973Hz
床のディレイ
ミッドレンジ0.70m 2.1ms
ディップ ★246Hz 737Hz ピーク ☆491Hz 983Hz
Uウーファー0.52m 1.5ms
ディップ ★331Hz
側壁→床面 の二次反射のディレイ(ミッドのみ試算) 1.46m 3.9ms
ディップ 118Hz ★353Hz 589Hz 824Hz ピーク ☆236Hz 471Hz 706Hz
天井のディレイ2.9m 8.4ms(半分吸音)
ディップ 59Hz 178Hz 297Hz 415Hz ピーク 119Hz 237Hz 356Hz 474Hz

スムージングなし20Hz~2000Hzの周波数特性


チューニング初期

ピークやディップの数や深さ、全体的なゆらぎもチューニング前と比べると減っているのかなという感じはある。

インパルス応答


チューニング初期


10msecまでに①床②側壁③側面→床④天井あたりの反射波が確認できる。
割と測定時のブレが大きいので正面壁はうまく検出できていない。
これはチューニング初期と比較して単純に優劣を論じるものでは無いのかも知れない。

残響時間は0.308秒。長いかと言われればそんなことはなく、若干短めと言わざるを得ない。
残響時間を延ばそうとすると、吸音部をただ吸音すればいいだけのエリアではなく、
定在波になるような低域は従来通り吸音しつつ、中高域はちゃんと跳ね返すようなテクニカルな造作を相当面積施工しなければならない。
自分の音の傾向として出るときに出て、止まるときにすぐ止まる音を志向しているようなので、そもそも残響時間を延ばす必要があるのかは不明。
試してはみたいのだが、簡単に残響時間延ばせないのでトライアンドエラーのハードルが高い。

減衰特性 0〜160msec

100Hz以下のディップがタイミングごとに変わるのがおもしろい。

0ms(直接音主体)と160ms(残響成分)だけ表示して比較。高域+4dB設定だが直接音がハイ上がりかというとそれほどでもない。やはり反射音は200Hz付近が干渉で若干弱くなるようだ。
リモコンや遠隔操作用のiPad、ドリンクホルダー、ディスクやティッシュボックス、モバイルバッテリーの置く場所としてサイドテーブルを置いている。

なるべく反射音の通り道に置かないようにして大して影響はないと思っていたが、試しに真後ろに置いた。





すると今まで認識できていなかった左右の音の偏りが取れてものすごいすっきりとした音になった。
今回のルームチューニングで後壁に傾斜させた調音パネルを設置したのと同じくらい大きなインパクト。

実際測定してみると、200Hzあたりの出が悪い傾向があったのがかなり改善された。
大幅に改善されたのには別の理由もあって、実は最近の測定が左右のスピーカーではなく右だけしか出していない設定になっていたので右にサイドテーブルがあるとよりその影響が強かった。

ここまでいろいろ良い影響が出るとさすがにサイドテーブルを元の位置に戻せない。
であればサイドテーブル機能を他に移管する手段もあるが、
飲み物を置いておく場所という機能は代替できないので撤去はできない。
左右差の影響を考えれば左右に同じものを置く案もあるが、
置くと200Hz付近の出が悪くなるのでそういう訳にもいかない。
なので多少不便ではあるが、真後ろにサイドテーブルを設置し、
タブレットホルダーとしての機能を使うシアターシステム稼働時にはサイドに戻すという運用で行くのがいいかなと思っている。
これも以前に作った造作ではあるのだが書き留め忘れ。
ドアの部分でフラッターエコーができやすくなっていたのが気になっていた。
そもそもスピーカーの反射音がリスニングポジションの側壁であるドアのあたりでフラッタエコーを作るような反射をすることは想定しづらく、実際に測定上もフラッタエコーは確認されないのだが、
リスニングポジションで自分の行動により出た音がフラッタエコーを出すと正直良い気分はしない。

なのでドアの対面の壁にフラッタエコー対策の凹凸の造作は行いフラッタエコー自体も解決したのだが、左右の特性を類似させるという意味と、さらにフラッタエコーが起きづらくするという意味、あとはドア付近で80Hzの定在波?のディップが生じる原因が少しでも解決してくれればしめたものと考えた。

オークの端材をドアに貼り付けるだけ。


フラッターエコーはより起こりづらくはなったが80Hzのディップはまったく影響なし。
定在波相手に理屈なしで適当にやっても対策にならないのが証明された形になった。
中域が解決しきってはいないが、解決仕切ることは今のコンセプトだと多分無理なのでそこそこに高域のコントロールへ。

高域は細かいピークディップは中域よりも更に整える意義が薄いので1/3オクターブバンドで観察

周波数特性


800diamondは4kHzがクロスオーバーだが丁度そのあたりをピークにハイ下がりになっている。
とは言っても10KHzで5dB程度の低下で、あまり重要性のない10KHz以上の周波数が最大でも10dBくらいしか下がっていないので十分許容範囲内ではあるが。

そいでもって他サイトの800diamond無響環境での測定結果

高域はあまり下がっていない。むしろ10kHzでダイヤモンドツイーターのピークを記録している。

これは予測はできていたことではある。初期反射音を活かした音響設計を行っており、反射は木材を使っている。木材は高域の吸収率が高い。
反射音は過度に高域が乗らない方が心地良いと言われているので木材の反射音を活かす音響設計だと多少ハイ下がりになるのは当然の結果ではある。

時差ごとの周波数特性をみると


赤が初期の測定音で青は後期反射音の記録。
理屈通り後期反射音ほどハイ下がりになっている。結局反射音のハイ下がりが足を引っ張って周波数特性がハイ下がりな結果となっている。

高域が減衰しない反射音は耳障りなので回避すべきではあるが、直接音の高域を補強する分にはどうか。
まあやり過ぎは良くないだろうけれども、何事も試行錯誤が大事。
ということで自分の環境ではプリアンプの大雑把なトーンコントロールしかできないが、
プリアンプの高域を+8dBにして測定。


トーンコントロールなしと比較

グラフィックイコライザーのように細かくは調整できないが、かなりトーンコントロールをかけている割に、周波数特性を見る分には強調されすぎてはおらず、良い感じに補強されている感はある。

トーンコントロールを行った上での時系列の周波数特性

トーンコントロールを行ったことで整ったように見える。

それでは実際の試聴して確認してみる。
+8dBに切り替えると明らかに高域が伸びやかになっている。ただ100%良くなったとは言えず、8割方の聴感は良くなっているが、たまに不快な音が飛んでくる。
これは恐らくトータルでは周波数特性が整っているのけれども直接音がハイ上がりになってしまっているのだろう。
直接音だけを抽出した周波数特性
トーンコントロールなし

トーンコントロールあり


良く見ると4KHz以上が上がりすぎている感はある。それが聴感として表れたのだろう。

ひとまず+8dBはやりすぎなので+4dB程度だと一通り聞いた範囲内では不快な音にはならない。
しばらく高域+4dB程度でトーンコントロールをオンにしたりオフにしたりしながら、トーンコントロールを付けるか付けないかしばらく検討してみることにする。

周波数特性はフラットであれば良いという訳では無く、反射音も含めてフラットにするかどうかはさらに疑問になる。この辺りは正解がないので好みで決めていくしか無い。
定位が左右反転する音は中央に定位する音は問題ないが、左右に定位した音の定位が悪くなるので排除しようというのが自分の方針。



だが一番大きなSP→反対側壁→LPの反射音が吸音部に収まらず、多少漏れてしまっている。



吸音部を拡大させても良いのだが、残響時間を短くしたくないので反射はさせるがリスニングポイントまで到達させないという作戦を取ることにした。


三角型のトラップ。フローリング材を山型にしてボンドで固定して、それを壁に固定しただけ。
一応内面には吸音材は入っているがあまり意味はない。


三角形の内側のトラップに入った音は反射して吸音部に押し込まれる、外側に入った音は前の方に反射する。どちらにしろリスニングポジションに反射されてこない。

反対側壁の反射音は10msec遅れで到達するものだが、
初期のインパルス応答


似たようなタイミングの後壁からの反射音(12ms)をブロックし、
正面壁からの反射音(5ms)を吸音→遮音に変更した後の測定。
12msが減少し、5msあたりが厚くなっている。


今回の三角トラップを設置した後。
10msが減少している。


それなりに遮断はできているのかなという印象。
割と前に作った造作だったが、まとめてなかったので遅れての投稿。
数値上の特性が悪いはずの真空管アンプやLPやホーン型スピーカーなどが音が良いと言われる原因について自分なりに思っているところを書き留めておく。
合っているかどうかは知らない(^_^;)

現実の演奏会場は大ホールから小さなライブハウス、ラウンジなどいろいろあるが、基本的には聴衆が10人以上いる場所なのでそれなりに広い。
そして場所が広いと発生した音の到達までの距離が長く,間接音の割合も多くなる。
コンサートホールは電気のアンプで増幅された音がなく,生楽器の音を広く聴衆に届けないといけないので極力響かせている。つまり間接音の割合が特に多くなっている。
間接音が多いということは少ない時に比べて音の切れが悪く,高音が減衰されていることになる。
そして良いコンサートホールで響かせた音を悪い音などという人は滅多にいない。
つまり直接音よりも音の切れが悪く高音が減衰された音は「いい音」なのである(少なくともアコースティックなジャンルでは)。

ただ,再生用の音源(CDやLPなど)は基本的には楽器の側にマイクを置き間接音よりも直接音を積極的に拾っている。
そして音源をそのままの特性で歪みなく再生すると,直接音が多い音になる。
もちろん残響を含めたりリバーブやエコーを掛けたりもするが,それでも実際の会場よりも直接音が多い。
なぜなら,より音源に解像度の高い音を収録しておかないと,解像度の低い音源になってしまうからである。解像度の高い音源をぼやかすことは再生側でできるが、解像度の低い音源をくっきり再生させることはできないからである。

つまり実際のライブ会場のような音を目指すなら,音源を再生側で間接音が多い音の様に加工する必要があるのではないか。
そういう意味で高音の特性数値上伸びず,ダンピングファクターが低く,制動の緩い音を出すLP,真空管アンプ,ホーン型スピーカーなどが出す音は,直接音が多く最前列で聞くような聴感を持つ音源を,間接音の多い後方席の様な音に擬似的に作り替えてくれている作用があるのではないだろうか。

オーディオの最終目標が原音再生と言われることがあるが,会場の音が原音であるならばある程度の歪みが必要なのであると考えられるし,原音再生が音源を正確に鳴らすことにあるなら特性重視の音を作る必要がある。
そう考えると数値的特性としてのメリットがないLP,真空管アンプ,ホーン型スピーカーなどで原音再生を目指す姿勢の正当性が見えてくる。
とはいえ,特性重視の音が邪道というわけではない。コンサートホールの聴衆の席を再現することが唯一の「いい音」のゴールではないからだ。

ホールの音は電機の無かった時代にそれしか良い音が無かっただけであって、直接音の多い正確な音を「悪い音」と断罪するのは相当な異端だろう。
正確な音を目指すことはホール会場の音を再現することとは違った良い音があっても良いはずではあるし、
現代的な音楽ジャンルのソースはむしろコンサート会場の音というリファレンスが存在しない音源の方が多い。そういった音楽はあえて歪ませる大義名分がないことになる。

結局の所そのあたりをどう考えるかによって人それぞれで仕上げる音が違うのだろう。
それなりの信念や哲学を持った音を作っていきたいものである。
人間の聴感は1/3オクターブバンドに近い性質らしく細かい周波数特性の凹凸をマイク測定ほど敏感には感じないらしい。
とはいえ、細かい凹凸が無いに越したことはなく、細かいディップを潰していけば結果的に1/3オクターブバンドでも良好な特性になると思い、あえてスムーシングを使わない測定で改善を試みた。
ここいらで1/3オクターブバンドの測定値を確認してみようと思ったのだが、もっと早めに確認しておけばよかった。



200Hz付近が弱い(スムーシング無しでも予感はしていたが)。
床(246Hz)や側壁(179Hz)によるディップも影響しているとは思うが周波数的にピンポイントではないので、それだけではない気がする。

全吸音環境下の測定結果(他サイトの測定)をみると


ひょうたんのくびれのような位置に200Hz台がある。
ミッドとウーファーの境の関係でそもそも800diamondは200Hzが相対的に弱いようだ。
そもそもの作戦としてルームチューニングで200Hz台にピークを作らないといけなかったのかもしれない。
となると1.7m前後または3.4m前後のディレイを複数作らないといけない。
1.7m程度は正面壁→LPや側壁→床→LPで既に利用しきってしまっており、さらに利用しようとするとレンズ式にLPに集中させないといけなくなる。それを行うことことであまり良い結果になるとは考えづらい。
反対側壁や後壁で3.4mあたりの反射を作れるのだが、音像が気持ち悪いので排除してしまっている。天井も良い線行っているが吸音されてしまっているし、そこを反射させるには施工難度が高い。なかなか難しい感じだ。