反射、吸音、拡散とおおまかに言われているが、
不完全であったり、複数の目的があったり、微妙に定義が違ったりと、
もっと正確に表現できないと表現できていないなと思う事が多い。
恐らく研究者の中で定義している人もいるのだろうが、ちょっと探す分には見つからないので、小規模のリスニングルームでの利用に特化したものを自分なりに考えて分類定義してみる。
①反射
まあ普通の大きく平らな壁で起こり得る音の反射である。理想的には厚み重量のあるコンクリートの様な壁で表面に研磨処理してあるような壁だとおそらくはシミュレーションに似た結果の挙動を示すと思われる。
ただ理想的な反射は音響的に好ましくないことが多く、理想に近づけようという努力はあまり行われない。それなりの厚さがある平らな木の壁であれば反射壁として扱って良いのだろう。
②吸音で反射率を抑えた反射
反射率が1.0に近付くほど音響障害になるが、それは好ましくないと考える場合。
反射率を0.5に下げた上で、なるべく周波数特性や遅延などの数値は変えずに反射はさせる、そういった処理がこれにあたる。
吸音部と反射部を細かく交互配置する、格子の隙間に吸音材を入れたような状態にすると上記の様な特性を獲得できると思われる。
③拡散で反射率を抑えた反射
上記の処理で吸音する所をその代わりに拡散させるというのがこの手法。
吸音材を入れない格子がこれにあたる(格子の表面が反射部で溝の中が拡散部)。
ただしこれは基本的には鏡面反射するとリスニングポイントに入射する壁とそうでない壁では概念が変わってくる。
他の壁にとっては、普通に鏡面反射する分にはリスニングポイントに到来しない筈の壁が拡散処理によって少量ではあるもののリスニングポイントに新しく入射することになる処理である。
なので反射率という考え方をする場合、リスニングポイントに入るか入らないかで同じ構造の壁でも数値が違ってくる。
④吸音
入射した音が消滅する壁の状態である。理想的な状態とするには相当の厚みの吸音材が必要となる。理想的な吸音が望まれることは多くあるが、なかなかそれも困難であることも多い。低域から高域までそれなりの吸音率がある場合、これに該当すると考えられる。
⑤不完全な吸音
薄い吸音パネルなどを張った状態が該当する。低域が十分吸音されないので中高域が吸音率が高いが、低域が吸音率が低いままである。
不完全だから完全に害悪とは言えず、定位などが分かりやすく処理もし易い中高域を操作するだけでもそれなりのメリットは享受できる。
⑥周波数特異的な吸音
有孔ボード、ヘルムホルツ管、板振動型のバストラップなどがこれにあたる。
特性として特定の周波数のみ吸音する性質がある。
どの周波数をどう吸うか、シミュレーションが難しく、実際に理想通りになっているかの検証も難しい。
既製品が圧倒的に有利にはなるが、そもそも理想通り動くとしても使い道が難しい。
⑦3次元の拡散
入射した音波が偏りのない半円球状に分散されて反射される。理想的な拡散音場の壁がこれにあたる。どうすれば理想的な拡散をするかは研究段階であるが、かなり複雑な形態が必要なことは間違い無い。
そのため理想の拡散ができる構造が判明したとしても製造上の困難が想定されるため、理想の形態が判明したとしても一般的には実用されるとは思えない。
リスニングルームで実用される三次元的な拡散としては二次元のQRDがこれにあたる。壁に半円球を並べてもそれに近くなるかもしれない。周波数特異性もあるためなかなか理想通りにいかないだろうが、そもそも理想を目指すべきなのかは考える必要はあると思われる。
⑧二次元の拡散
入射した音波が半円形に分散されて反射される。1次元のQRDやリブ、柱状拡散体、スリットなどがこれにあたる、特定の軸には拡散され特定の軸は反射に近い挙動を示す。
多くの既製品がそうであるように、作りやすい拡散体を作るとこうなりがちであり、拡散性は理想的ではない。その分拡散であるにもかかわらず、音波の挙動はある程度読めるので、その偏りを想定した設計が可能とは思われる。
⑨時間軸の拡散
反射によってリスニングポジションに入射する壁において壁から反射して音が入ってくるという状態に変わりはないものの、一気にドバっとくるのではなく、少しずつ来るようにした反射の処理を示す。
四次元の拡散と言えばものすごい事のように聞こえるし間違いでもないのだが、やっていることは大したことでもない。
基本的には時間軸を拡散させるとき、反射方向もある程度は拡散される。意図して設計すれば方向は拡散されないまま時間軸だけを拡散することも理論上可能だが、そもそもある程度の拡散は好ましいことの方が多いので、時間軸だけが拡散されることは基本的にはない。
単純に時間をずらすだけではあるが、案外それだけで室内音響のあるべき要素の半分をパスできるのではないかと思われる。
単位時間あたりの反射波が小さくなるので、反射音が大きすぎるという音響障害がなくなる上に、位相干渉も分散されるので影響が小さくなる。
とはいえそもそも時間をしっかりずらすのは難しい作業ではあるが。
⑩方向転換
反射した音がリスニングポイントに入るはずの壁面に対して適用されうる処理。
拡散とは異なり、反射波に偏りがあるという意味では紛れもなく反射であるが、
リスニングポイントに反射波が入るはずの壁の反射角が変更されることによりリスニングポイントに反射波が入らなくなる。そういう処理になる。
リスニングポイントに入ってこなければその音波が生きていようがいまいが聴取者には影響されない。
方向をずらして観測されずに生き残った音波は何度か反射を繰り返し後期反射音や残響となってようやくリスニングポイントに入射される。
デメリットとしてはこの処理で響きを整える場合、響きの整ったエリアは狭くなる。
また鏡にレーザービームを当てたような綺麗な鏡面反射をする訳でもないので、方向をずらしても多少はリスニングポイントに入ってくる。
そういったデメリットもあるが、小空間では案外相性がいい気もする。
・小空間だと初期反射音が過剰になりがち、かつ残響が少なくなりがちなので、それを補正する効果としては有用。
・小空間の拡散は近すぎて細かくなりきらない可能性がある。また乱反射を伴うため高域が弱りやすい。
・部分的な吸音は僅かだが吸音材の反射音があり、吸音部とリスニングポイントが近いのでそれも聞こえる(らしい)。それが音の鈍さにつながる。
また音響インピーダンスが極端に変化するのは耳を少し動かすだけでも音の性質が極端に変わりやすいと言われている。
不完全ながら方向を逸らすというのは反射音を減量させる意味では吸音させず周波数特性の変化を最小限に抑えて減るのでデメリットが少ない。
・響きの整ったエリアは限られるが、そもそもホームリスニングの場合、真面目に聴く場合と、流して聴く場合があり、毎回どの場所でも整った響きが提供される必要がない。
とこんな感じで分類しつつ、今のトレンドではないが、方向を逸らす手法がそれなりにホームリスニングでのメリットを感じた次第。
不完全であったり、複数の目的があったり、微妙に定義が違ったりと、
もっと正確に表現できないと表現できていないなと思う事が多い。
恐らく研究者の中で定義している人もいるのだろうが、ちょっと探す分には見つからないので、小規模のリスニングルームでの利用に特化したものを自分なりに考えて分類定義してみる。
①反射
まあ普通の大きく平らな壁で起こり得る音の反射である。理想的には厚み重量のあるコンクリートの様な壁で表面に研磨処理してあるような壁だとおそらくはシミュレーションに似た結果の挙動を示すと思われる。
ただ理想的な反射は音響的に好ましくないことが多く、理想に近づけようという努力はあまり行われない。それなりの厚さがある平らな木の壁であれば反射壁として扱って良いのだろう。
②吸音で反射率を抑えた反射
反射率が1.0に近付くほど音響障害になるが、それは好ましくないと考える場合。
反射率を0.5に下げた上で、なるべく周波数特性や遅延などの数値は変えずに反射はさせる、そういった処理がこれにあたる。
吸音部と反射部を細かく交互配置する、格子の隙間に吸音材を入れたような状態にすると上記の様な特性を獲得できると思われる。
③拡散で反射率を抑えた反射
上記の処理で吸音する所をその代わりに拡散させるというのがこの手法。
吸音材を入れない格子がこれにあたる(格子の表面が反射部で溝の中が拡散部)。
ただしこれは基本的には鏡面反射するとリスニングポイントに入射する壁とそうでない壁では概念が変わってくる。
他の壁にとっては、普通に鏡面反射する分にはリスニングポイントに到来しない筈の壁が拡散処理によって少量ではあるもののリスニングポイントに新しく入射することになる処理である。
なので反射率という考え方をする場合、リスニングポイントに入るか入らないかで同じ構造の壁でも数値が違ってくる。
④吸音
入射した音が消滅する壁の状態である。理想的な状態とするには相当の厚みの吸音材が必要となる。理想的な吸音が望まれることは多くあるが、なかなかそれも困難であることも多い。低域から高域までそれなりの吸音率がある場合、これに該当すると考えられる。
⑤不完全な吸音
薄い吸音パネルなどを張った状態が該当する。低域が十分吸音されないので中高域が吸音率が高いが、低域が吸音率が低いままである。
不完全だから完全に害悪とは言えず、定位などが分かりやすく処理もし易い中高域を操作するだけでもそれなりのメリットは享受できる。
⑥周波数特異的な吸音
有孔ボード、ヘルムホルツ管、板振動型のバストラップなどがこれにあたる。
特性として特定の周波数のみ吸音する性質がある。
どの周波数をどう吸うか、シミュレーションが難しく、実際に理想通りになっているかの検証も難しい。
既製品が圧倒的に有利にはなるが、そもそも理想通り動くとしても使い道が難しい。
⑦3次元の拡散
入射した音波が偏りのない半円球状に分散されて反射される。理想的な拡散音場の壁がこれにあたる。どうすれば理想的な拡散をするかは研究段階であるが、かなり複雑な形態が必要なことは間違い無い。
そのため理想の拡散ができる構造が判明したとしても製造上の困難が想定されるため、理想の形態が判明したとしても一般的には実用されるとは思えない。
リスニングルームで実用される三次元的な拡散としては二次元のQRDがこれにあたる。壁に半円球を並べてもそれに近くなるかもしれない。周波数特異性もあるためなかなか理想通りにいかないだろうが、そもそも理想を目指すべきなのかは考える必要はあると思われる。
⑧二次元の拡散
入射した音波が半円形に分散されて反射される。1次元のQRDやリブ、柱状拡散体、スリットなどがこれにあたる、特定の軸には拡散され特定の軸は反射に近い挙動を示す。
多くの既製品がそうであるように、作りやすい拡散体を作るとこうなりがちであり、拡散性は理想的ではない。その分拡散であるにもかかわらず、音波の挙動はある程度読めるので、その偏りを想定した設計が可能とは思われる。
⑨時間軸の拡散
反射によってリスニングポジションに入射する壁において壁から反射して音が入ってくるという状態に変わりはないものの、一気にドバっとくるのではなく、少しずつ来るようにした反射の処理を示す。
四次元の拡散と言えばものすごい事のように聞こえるし間違いでもないのだが、やっていることは大したことでもない。
基本的には時間軸を拡散させるとき、反射方向もある程度は拡散される。意図して設計すれば方向は拡散されないまま時間軸だけを拡散することも理論上可能だが、そもそもある程度の拡散は好ましいことの方が多いので、時間軸だけが拡散されることは基本的にはない。
単純に時間をずらすだけではあるが、案外それだけで室内音響のあるべき要素の半分をパスできるのではないかと思われる。
単位時間あたりの反射波が小さくなるので、反射音が大きすぎるという音響障害がなくなる上に、位相干渉も分散されるので影響が小さくなる。
とはいえそもそも時間をしっかりずらすのは難しい作業ではあるが。
⑩方向転換
反射した音がリスニングポイントに入るはずの壁面に対して適用されうる処理。
拡散とは異なり、反射波に偏りがあるという意味では紛れもなく反射であるが、
リスニングポイントに反射波が入るはずの壁の反射角が変更されることによりリスニングポイントに反射波が入らなくなる。そういう処理になる。
リスニングポイントに入ってこなければその音波が生きていようがいまいが聴取者には影響されない。
方向をずらして観測されずに生き残った音波は何度か反射を繰り返し後期反射音や残響となってようやくリスニングポイントに入射される。
デメリットとしてはこの処理で響きを整える場合、響きの整ったエリアは狭くなる。
また鏡にレーザービームを当てたような綺麗な鏡面反射をする訳でもないので、方向をずらしても多少はリスニングポイントに入ってくる。
そういったデメリットもあるが、小空間では案外相性がいい気もする。
・小空間だと初期反射音が過剰になりがち、かつ残響が少なくなりがちなので、それを補正する効果としては有用。
・小空間の拡散は近すぎて細かくなりきらない可能性がある。また乱反射を伴うため高域が弱りやすい。
・部分的な吸音は僅かだが吸音材の反射音があり、吸音部とリスニングポイントが近いのでそれも聞こえる(らしい)。それが音の鈍さにつながる。
また音響インピーダンスが極端に変化するのは耳を少し動かすだけでも音の性質が極端に変わりやすいと言われている。
不完全ながら方向を逸らすというのは反射音を減量させる意味では吸音させず周波数特性の変化を最小限に抑えて減るのでデメリットが少ない。
・響きの整ったエリアは限られるが、そもそもホームリスニングの場合、真面目に聴く場合と、流して聴く場合があり、毎回どの場所でも整った響きが提供される必要がない。
とこんな感じで分類しつつ、今のトレンドではないが、方向を逸らす手法がそれなりにホームリスニングでのメリットを感じた次第。


























