だいぶ薬浸けになった体に、更に悪夢が始まった。
ナスカの地上絵だ。
ご存知だとは思いますが、あまりに大きい絵ゆえ、
セスナ機に乗って観光すると言うダイナミックなもの。
高山病プラス酔い止めの薬を飲み込み、
デジカメだってあとはシャッターを切るだけにしておいた。
準備は万端!
キョロキョロすると酔いやすい…と言われ、
左窓だけを見てそっとその時を待っていた。
飛んで暫くしてもなかなか目的地はやって来ない。
意外に遠い。
ジッと我満しかない!
あ~でも気持ちが悪い。
機長のアナウンスにより1つ目の宇宙飛行士の絵が近い事が分かった。
ぐる~ッと旋回し始めた。
う~ぅ~~、何とかシャッターが切れた。
デジカメを確認したら写っていた。やった~ッ成功した!
よしッ、次も撮とらなきゃッ!
また旋回し始めた。ぐう~ぅ~ッ、何処にあるのか確認出来ない。
思わず叫んだッ!どこ?どこにあるのよーッ?…分からない。
しかし気持ちが悪い。やばいが我満、我満。
よっしゃー今度こそは~ッ!
旋回…旋回……ぶッ~ぅぇ~ッ、
やっぱり駄目だ、確認出来ない。
あ、もう次の絵だ!
旋回…旋回…だ…ひえ~ッぅ~~もうダメ~ェ。
もの凄い圧力がのしかかり、体どころか、手さえ思うように動かない。
エンジンのけたたましい爆音で、私の声も消されてしまう。
その時、ふと隣りに座っている相棒ま~ちゃんを見た。
何故か?一点をずーっと見つめていた。
「どうしたの??ま~ちゃん?…どッどうした…の…」
ぶわ~~ッ~~~
……とうとう出るべき物が出てしまった。
私は慌ててビニール袋を差し出した。
でも飛行機は容赦なく飛び続ける。
今度はハチドリの絵だ。
旋回…旋回…旋回…じょぇ~~うゥェ~~っ…
ん~何とか撮れた。
もう必死だった。とにかく頑張るしかない!
ゲ~でも気持ちが悪いぃぃ~~ダズゲデグレーーェーー。
私も人の子…いくら頑張っても限界でした。
その後の事はあえて書かない事にします。
左手にはビニール袋、右手にはデジカメ。
この根性入りの写真を是非是非見て頂たいものです。
あ~がなじぃ~(;_;)
リマに戻り、ヘロヘロだった私とま~ちゃんはとにかく空腹だった。
食事がまともに出来ていない。
しかもペルー料理は気がめいる位マズい。
海外で食事のイチャモンは言いたかないけど、ホントにマズいッ。
ガイドブックで探し、タクシーをとばして松栄鮨に飛込んだ。
久々の和食レストラン……
なぁ~んて美味しい鮭茶漬なんでしょう(笑)(笑)。
何日かぶりのこのご飯…さッ最高だわぁ。
次の日もまたまたタクシーをとばし松栄鮨へ…。
ありがとう,松栄鮨さん…ホントにありがとう…命の恩人だわ。
帰りの飛行機の中…。そりゃ~やっと帰れる喜びでウッキウキよん。
でもまるでノックアウトされたボクサーのように死んでたけど…。
24時間万歳~ペルー万歳~
ちなみに、これはフィクショではありません。
北山無事生還の巻でした。
それでも懲りない私は、また何処かの国を旅する事でしょう。
2004年2月28日ー3月7日 北山みつき