もう、あれは15年前の事だったんだね。
君と過ごした日々を思い出すときは、特に3つを思い出すんだよ。
出会った日の駅のホームで
「何か悩みがあったら言ってね」
「そんなこと言われたの初めてです」
それが君との始まりだった。
これがひとつめ。
社会の生き方を模索していた俺と
どこか夢見がちな君と
思えば、すれ違いばかりになっていった。
ある日突然、君の家に置いていた俺の荷物を
君がまとめて持ってきた居酒屋で
嘘をつかれて誘われていたことにショックを受けて
こちらからさよならを告げた。
それがふたつめ。
数ヶ月か経った頃にいきなり電話をかけてきた君の
「戻ってあげてもいいよ」に心が壊されて
「そんな気ないから」と電話を切って、死ぬほど泣いた。
これがみっつめ。
もう君のいる街では笑顔になんかなれそうになくて
東京へ旅立った。
好きすぎて、どうしようもなかった。
だけど、俺には何もなかった。何も言えなかった。
だから必死に何かになろうとしたけれど
結局、何者にもなれなかった。
今君が何をしているのか知る術はないし
知るつもりもないけれど
一生、君を忘れることなく死んでいくんだろうな。
人生で1番、人を好きになった恋であり
人生で1番、自分を嫌った恋だったから。