堂宮大工に弟子入りし、1人でも仕事を任されだした頃の話。
こちらは四国八十八ヶ所があるおかげで、札所の仕事も多かった。
その中でもよくご贔屓にしてくださったお寺がありまして、
50番札所繁多寺というお寺なんです。
ここは個人的にもお世話になったというか、小僧だった自分の成長を温かく見守って下さったお寺と言ってもいいかもしれない。
小さなお仕事から大きなお仕事まで全て当時勤めていた社寺建築屋が受け持っていましたので、その日も、1人で仕事を任されだしたとは言え、まだまだ半人前な自分が工事に入る事に。
(ここでの色々なエピソードはまた今度)
工事の内容は様々で、
工事で必要な金物などは、とある金物屋さんでいつも伝票をきって取りに行っていました。
もちろん何度も通った金物屋さんですから、自分が何処の会社の誰だとか、工事もほとんどが近隣のお寺でしたから、金物屋さんも手際が良い。
その日も必要なものを取りに金物屋へ行って、伝票を切って貰う。
金物屋「これとこれとこれね、えっと、現場名は?」
自分「えっと、繁多寺(はんたじ)で!」
どーもでーす!
車に乗り、取り敢えず会社に向かう。
伝票で何を買ったか?現場名は?に物凄くうるさい専務が居ましたので、伝票の確認をし、取り敢えず渡しに。
ん?
現場名…
ファンタジー
…
(ハンタジ)
…
(はんたじ)
…
繁多寺!!
専務…この伝票で通りますか?