8月6日に税理士試験を受験してきました。ダラダラと書いていたら3000字overになってしまいました。税理士試験や別の学習に役に立つ要素を提供できればと思い書いているのでよかったら辛抱強く読んでみてください。
今回で税理士試験は3回目、今年が最後になると期待を胸に試験に臨みました。受験科目は「簿記論」「財務諸表論」の2科目。過去に合格した税法科目とは異なり、簿記論は計算が100%。財務諸表論は理論50%計算50%ではあるものの、近年の理論は難化傾向にあり高得点を叩き出すのはほぼ不可能ということもあって、こちらも計算勝負の科目と言い切っていいと思います。
自己採点の結果は、2科目とも大手予備校のボーダーラインを超えていたので、ひと安心といったところです。
学習を振り返って過去2年間の税法科目とは違い、電卓を叩いて手を動かす作業が多かったです。集中力が切れやすくカフェやファミレスなど場所を転々としたり、クールダウンを挟みながら勉強をこなしていました。
また、税法科目のように計算過程に配点がなく、計算ミスが失点に直結する点も会計科目特有ではないでしょうか。財務諸表論の計算では総合問題を解く際は80%以上の得点が理想とされていたので、ケアレスミスによって失点した時のフラストレーションにはかなり応えたようで、答え合わせが億劫になることもありました。それでもなるべく淡々と専門学校から与えられたテキストと問題集をぐるぐる回し、コツコツと知識を積み上げていった結果、合格ラインに達することができました。
「簿記論」と「財務諸表論」は税理士試験の入口科目ですので、税法科目と比べると合格ラインはやや低く、少々のケアレスミスによる失点は神経質にならないと自分に言い聞かせてポジティブに過ごすようにしていました。
また、税理士試験の闘い方は過去の経験からなんとなくわかっているつもりです。難問はなるべく手を出さず、複雑な論点は部分点を狙い、優しい問題は確実に得点するという「得点効率」には特に気を配っていました。
大手予備校で毎回上位の得点を叩き出す猛者の方の中にも、試験の傾向次第では、難問に正面から突っ込んで時間をロスした結果、得点すべき問題に十分な時間を注ぐことができず、不合格となるケースもあります
それは結局は「勉強」をやっていたけれど「試験勉強」にはなっていなかったということなのかと私は思っています。学習は上記の審美眼を磨くために行う必要があります。自論をバリバリに
専門学校は過去の傾向から出題されそうな論点をピックアップし、紹介しています。それらを試験会場に「装備」として身につける。これは「戦略」です。試験が近づくにつれて頻度を上げて定期的に取り組む答練問題は定着した知識の確認で完結するのではなく、時間配分、得点効率の最大化、難問回避の訓練という「戦術」を習得する良い機会なのです。
私の独断と偏見ですが、3回の試験を通じた感じた試験突破のコツはある程度の基本問題から差がつく問題を突破する「戦略」とそれらと難問を峻別し、各問題に適切に時間とエネルギーを配分する「戦術」の両輪を磨くことが重要というわけです。後述しますが「捨て論点」を作ることは上記の戦略と戦術の観点からはお勧めしません。馴染みのある論点が難易度がものすごく高い形で出現し、やや応用的な論点に見えるものが実は得点源というケースが往々にしてあるからです。学習論点に穴があると審美眼はなかなか磨けません。一通り学習をやり切った人にこそ分かるものなのです。
余談ですが、第72回税理士試験の消費税法で審美眼の重要さを教えてくれる失敗を経験しました。
消費税法の試験を理解していない方にはなんのことやらという文章になってしまうのですが、簡単に言えば難問のかわし方がなっていなかったのです。それによって得点が伸びず不合格となりました。
問題構成は以下の通りで、時間配分も大体このような感じになっていたと思います。
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【第一問】(理論問題)
問1:個別問題
⑴特定課税仕入れ(15分程度)
⑵総額表示義務(10分程度)
問2:事例問題(20分程度)
【第二問】(計算問題)
⑴原則課税(50分程度)
⑵簡易課税(25分程度)
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当時の私は理論をはじめに回答し、計算を残りの制限時間で解いていました。
前半の理論問題が終わった時点では、出来こそはあまり良くありませんでしたが、時間配分は間違えませんでした。
このペースであれば、計算で十分に挽回して合格は狙える位置にいました。
しかし、計算の⑴で適切な時間を配分できませんでした。
ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、計算の入り口である納税義務判定が難問であり、かつ、手数が膨大だったのです。【第二問】⑴の「納税義務判定」は当時の学習経験上、全て回答しなければ次に進めないものと思っていました。結果論になりますが戦術上は最大でも15分程度にとどめ、途中で放棄する必要がありました。しかし私は40分かけて解き切ってしまいました。回答もチグハグで得点はほとんど確保できませんでした。課税標準、仕入税額控除に係る消費税額の計算はどの試験でも得点源なのですが、そこに十分な時間を割くことができずにタイムアップ。初の税理士試験は50点という結果に沈みました。
当時を振り返ると「戦略」は通っていた大手専門学校でも上位30%台に食い込んでいた為、まずまずの出来でしたが、「戦術」については意識していませんでした。
この敗戦を契機に、120分間の試験の中での戦い方に意識を向けるようになり、以降は失敗をせずに5科目の受験を終えることができました。
独断と偏見ですが、近年の税理士試験の傾向を踏まえて、「一言一句よりも対応範囲を広げる」、つまりは広く浅くでいいので、試験当日に持っていく知識の数は多めに設定することをお勧めします。
例えば、TAC基準でAランクの理論を一言一句正確に覚えるよりは、Cランクの理論まで手を伸ばすことをお勧めします。理由としてはCランクの理論が出題された場合にも、上位者は得点してくることが予想出来る為、形成が一気に不利になってしまうからです。
一方で、Aランクの理論を一言一句正確に覚えること自体は素晴らしいのですが、専門学校が出版している理論自体が税務六法の条文を優しく言い換えている文章になっています。多少の言い回しの違い(例えば「とき」と「場合」や「てにをは」を間違えたなど。)が失点につながるとは考え難いです。
従って、まずはキーワードと条文の大意を押さえ、80-90%程度正確に書くことを目標にしてみてはいかがでしょうか。
また、税理士試験全般についてですが、理論問題で合格ラインを下回って計算問題で挽回するという戦略は考えない方がいいように思います。なぜなら、理論は9割以上の受験生が理論マスターやサブノートを暗記がせいぜいであり、通達や質疑応答事例、逐条解説といった細かい部分まで暗記してくることは考えられません。理論マスターやサブノートに記載されている内容をできるだけ多く当日に持ち込めば、その時点で試験の5割の部分は優位に立てます。
他方で、計算問題はボリュームや各問題の難易度の変動が大きく、運に委ねられる要素が大きいと思います。受験者レベルが比較的高いと言われる税理士試験で合格水準を大きく上回る得点を叩き出す算段は立てづらいような気がします。
最後になりますが、税理士試験を受験された方1年間本当にお疲れ様でした。息つく間もなく、また新たな1年が始まろうとしています。自己採点をしてみて合格ラインに達した受験者の方おめでとうございます。互いに自信を持って今後の学習を進めていきましょう。私は税理士はこれで卒業となるので、次の資格取得にチャレンジしたいと思います。
結果が芳しくなかった受験生の方も今回の努力は無駄ではありません。税理士試験では初学の方より優位な位置にいるので、アドバンテージを活かしつつ次の1年で確実に仕留める「戦略」と「戦術」を考えてみてはいかがでしょうか。この文章が皆様にとって何かを掴むきっかけになることを願っています。