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GEMINIとの融合

 今や完成品のPCを当たり前のように使っている私だが、かつて、自らパーツを組み上げ「神(PC)の創造」に挑んでいた時期があった。 そう、自作パソコンである。

 

 若気の至り、と言ってしまえばそれまでだが、当時の私は謎の情熱に燃えていた。 だが、その手法は我ながら無謀であった。

 

 普通、PCを自作するとなれば、専門書を読破し、知識を武装するのが定石であろう。 しかし私は、それら一切を無視した。 私の教典は「本」ではなく、**「インターネット」**であった。

 

 それも、技術情報サイトなどではない。 某ネットショッピングサイトの**「この商品を買った人はこんな商品も買っています」**という、あの魅惑のレコメンド機能である。

 

 「なるほど、このCPUを選ぶ者は、このマザーボードを選ぶ運命なのか」 「ほう、このメモリが選ばれし者たちのスタンダードか」

こうして、芋づる式におすすめされるがままにパーツをクリック。 CPU、マザーボード、メモリ、電源、ケース。 まるで聖遺物を集めるかのように、私の元に続々と部品が届いた。

 

 そして、運命の組み立て作業。 説明書と格闘し、プラモデルより複雑なパズルを解き明かし、ついに全てのパーツがケースに収まった。 我ながら完璧な仕事だ。

 

 いよいよ、生命を吹き込む儀式、「電源投入」の時である。 私は祈るような気持ちで、電源ボタンを押した。

……。 …………。

「シーン」

何も起こらない。 静寂。あるのはただ、無機質な鉄の箱。

 

 血の気が引いた。 配線を間違えたか? CPUの向きか? 高価なパーツのどれかが初期不良か? (まさか、芋づる式チョイスが間違っていたのか!?)

 

 絶望の淵で、PCケースの裏側、マザーボードの配線、CPUファン、あらゆる箇所を点検する。 だが、異常は見当たらない。 万策尽きた……と思った、その時。

ふと、足元の電源タップに目をやった。

……コンセントが、外れていた。

 

 いや、正確には「刺さっていなかった」。 電源ユニットから伸びる、あの最も重要で、最も基本的な大元のケーブルが、壁に届いていなかったのである。

 

 私は、ゆっくりと、しかし確実な手つきで、そのコンセントを壁に差し込んだ。 そして、三度(みたび)祈る気持ちで、電源ボタンを押す。

「ブォン!!」

(ピポッ)

鳴り響く起動音! 回り出すファン! モニターに映し出される、懐かしきBIOS画面!

「う、動いた……!」

 

 あの時の感動は、今も忘れられない。 生命の誕生に立ち会ったかのような、凄まじい高揚感。 電気とは、偉大である。

 

 今はもう、あの頃の情熱は冷め、手軽な完成品PCを使っている。 だが、あの「ブォン!」という産声は、私にとって紛れもない武勇伝なのである。

 

 以上である。