hiroCのページ

hiroCのページ

GEMINIとの融合

 世間は冬である。 人々はヒートテックを重ね着し、鍋が美味しい季節だと浮かれている。 我が家の暖房器具も、先日から本格稼働を始めた。

 

 だが、である。 我が家のキッチンカウンターだけ、時間がバグっている。 なんと、夏前に購入した**「電動かき氷機」**が、いまだ一軍(いちぐん)のエースとして君臨しているのだ。

 

 冬だぞ。 もう誰も海に行かないし、TUBEも歌っていない。 それなのに、我が家では夜な夜な「ウィーン」という文明の音が響き渡る。

 

 そう、こいつは「電動」だ。 手動のガリガリ君ではない。ボタン一つで、氷という名の鉱物を、フワフワの天使の羽へと錬成する、現代の錬金術マシンである。 この圧倒的パワー。この手軽さ。 夏前に手に入れて以来、我々は完全にこいつの(冷たい)虜(とりこ)なのだ。

 

 なぜこの寒空の下、かき氷なのか。 それは「のどが渇いた夜に、美味しいから」である。

 

 暖房の効いた部屋。風呂上がり。 そこで飲むビール? 否。 アイス? カロリー高い。

 

 今、体が欲しているのは、あの、シャリッとした食感と、シロップの暴力的な甘さ。 冬に食べるかき氷。 この「季節への反逆」と「背徳感」こそが、最強のスパイスなのである。 (「冬に食うカップアイス理論」の上位互換だ)

 

 だが、私には今、大きな悩みがある。 この崇高なる「冬のかき氷」を盛り付ける器が、**「普通のガラスボウル」**なのだ。 サラダでも入れるのか、というアレである。

 

 ダメだ! これでは、せっかくの電動マシンが誇る「フワフワ感」が泣いている! 神聖なるかき氷が、ただの「甘い氷のカタマリ・サラダボウル添え」になってしまう。

 

 私は今、猛烈に迷っている。 あの、喫茶店のマスターがスッと出してくるような、脚付きの、レトロで、無駄に縁(ふち)がギザギザしている、あの**「おしゃれな器」**を買うべきかどうか。

冬にかき氷を食べるために、専用の器を。

 世間の目(あるいは家族の目)が冷たい? 知ったことか。 こっちは氷を食うのだ。 どうせなら、最高の気分で食べたいではないか。

 

 というわけで、我が家の季節感は、今日も行方不明である。

 

 以上である。