流石に、ピッチを上げていかないとヤバいというワケで、四国篇の2日目をアップしますが、文字数の関係でその全てを紹介する事ができません…。ご了承くださいませ。今回はいよいよ、『伊予灘ものがたり』が登場します!
『どっこい生きてる2000系』
第20ランナー
TKT宿毛・中村線 2076D あしずり6号(高知行)
宿毛 9:05→窪川 10:02
・乗車距離:66.6㎞ ・表定速度:70.1㎞/h
編成表:宿毛←①(指/自)2153 ☆②(自)2118 →高知(四コチ 2000系)
◆旅の真ん中の日
『特急にっぽん縦断』の旅も5日目となった。
朝のTVで四国各地の気温とコロナ感染者状況をチェック…。高知県のコロナ感染者が過去最多の文字に驚きを隠せなかったが、できる限りの感染予防に努めて旅を続けるしかない。
ホテルを後にして、宿毛駅に向かう。
駅のLED発車標は故障中で、「発車時刻表をご覧ください…」旨の掲示が貼られていた。
改札口をくぐり、ホームへ入る。
ここ宿毛は終点にも関わらず『0キロポスト』がある珍しい駅だ。元々宇和島と中村を結ぶ路線として建設されたが、途中区間の建設が凍結されたため起点が変更されたようだ。
あしずり6号の車両は車庫のある中村から回送されてくる。宿毛行の特急が前日に乗ったあしずり9号1本のみというのはこのためである。お隣2番線に停車中のTKT8021(だるま夕日号)は8:28に到着した313Dの車両だろうか。
あしずり6号のスジはかつて南風12号としてグリーン車も連結されており、岡山まで直通していたが、2019年3月ダイヤ改正で系統分断され、宿毛から高知をまたぐ列車は消滅した。
2700系の大量増備で追われるように2000系は大量廃車されたが、今回乗車するあしずり6号は高知の2000系の運用である。
2000系で残った車両が、2010年頃にリニューアル工事済みの先頭車両である。中間車と非貫通グリーン車は全廃されてしまった。
宿毛からの乗客はわずか数名のみ…。このままだと宿毛直通の特急が廃止になりかねない?
2000系シリーズの座席は私のお気に入りだ。厚みがあり適度な柔らかさのクッションで、座り心地の良さは特筆に値する(あくまでも個人の感想)。バブル期に開発された特急型車両は総じてシートの出来が良いと思うのは私だけではないハズ。
それでは、出発。
宿毛線は鉄建公団新線のため、トンネル区間が多い。
四万十川を渡り、中村駅に到着。ここから先は中村線となる。
土佐佐賀駅で、高松からやってきた2700系の2001Dしまんと1号(中村行)と交換する。
窪川の手前で『ツルハドラッグ』が…。
北海道発祥企業の看板を道外で見ると、なんか嬉しくなるのは道産子魂?
10:02、窪川駅に到着。ここで下車して予土線に乗り換える。
コチラは土佐くろしお鉄道の窪川駅。駅舎のトタン屋根の錆具合が気になるが…。停車中の気動車はTKT-8002。
『日本一おそ~い「新幹線」』
(番外・予土線)
予土線 4817D 普通(鉄道ホビートレイン)
窪川 10:43→宇和島 13:29
・乗車距離:82.2㎞ ・表定速度:29.7㎞/h
☆キハ32 3(四マツ)※単行
◆予土線は乗れるウチに乗っておこう!
『特急にっぽん縦断』のコンセプトからはちょっと外れてしまうが、JR四国の路線でまだ未乗である予土線にも乗っておきたくて、窪川からは0系新幹線を模した『鉄道ホビートレイン』の普通列車に乗る。まぁ新幹線をモチーフにした車両という事でお赦しあれ。
よく見ると、架線検電アンテナまで再現されている。芸が細かい?
予土線はJR四国の中でも収支が最悪レベルの赤字ローカル線で、存続が危ぶまれている。そのため沿線自治体による対策協議会は、予土線を応援するサポーターを募集している。
予土線といえば、本来は窪川~若井(厳密にいえば川奥信号場)が土佐くろしお鉄道中村線の区間となる。そのため青春18きっぷ等のフリーパス類は別運賃が必要になるが、私が使用している『バースデーきっぷ』は土佐くろしお鉄道全線も乗れるのでノープロブレム。
窪川駅跨線橋から見た『鉄道ホビートレイン』。0系新幹線を模した前頭部は窪川側のみで、宇和島側は本来の切妻車体に0系の前頭部をイメージしたラッピングを施している。
車内はもちろん特別仕立て。基本的に元のロングシートだが、2列4人分のみ実際に0系新幹線で使用されていた転換クロスシートが装備されている。但し向きは窪川寄りに固定されており、転換はできない。四万十川の風景を重視し、私は敢えて進行右側のロングシートに席を確保した。
車内には郵便ポストも!
座席モケットやカーテンも専用デザイン。
『鉄道ホビートレイン』という愛称だけに、車内には四国各地を走り抜けた車両のHOスケール模型が展示されている。勿論本車両の模型も…。
◆四万十川とともに
それでは出発!四万十川に沿うように列車は進む。
次の若井駅はJR四国ではなく、土佐くろしお鉄道・中村線所属の駅。
この先の川奥信号場で中村線と予土線が分岐するが、いずれも急勾配である事がよくわかる。
『しまんとグリーンライン』という路線愛称通り、四万十川の流れに沿う風景はまだまだ続く。
江川崎までの間、唯一交換設備がある土佐大正駅に到着。
『しまんトロッコ2号』こと8814Dと交換のため、24分もの『バカ停』となる。
ここで気付いたのが、キハ32の銘板が『日本国有鉄道』のままである事!
せっかく24分も停車するので、駅の外に出てみた。土佐大正の駅舎は山小屋風の木造。
土佐大正駅の駅前風景。奥に見える案内看板には国鉄の文字が!!設置が古いようには見えないが…?実はこの看板、元々あった看板を文字はそのまま新しいモノに交換したとの事で、レトロな街並みに合わせて敢えて「国鉄」の文字を記載しているそうである。
『予土線3兄弟』の長男(?)にあたる『しまんトロッコ2号』が到着。但しこのトロッコ車両は江川崎~土佐大正の区間しか乗れないというシロモノである…。
江川崎までの区間は鉄建公団新線らしく、橋梁などの設備は大変立派である。
土佐大正のお次は土佐昭和。
ところが土佐昭和を過ぎたあたりで天気が急変し、雨が降り出してしまった…。もっとも、すぐに止んだので車窓を楽しむ分には問題なかったが。
予土線といえば、ユニークな駅名として有名な『半家(ハゲ)』駅!
対照的な駅名だった留萌本線の増毛駅は廃止されてしまったが…(涙)。
列車は12時ちょうど、予土線の中枢ともいえる江川崎駅に到着。交換列車がないにも関わらず、11分も停車する。
江川崎駅舎。かつては駅員が配置されていたが、現在は簡易委託駅として駅舎内の窓口で切符を発売している。
江川崎駅より先の区間は簡易線規格で建設されているため、枕木も木製で路盤も弱くご覧の通り草ボウボウという有様。速度もグッと落ちる。
高知県最後の駅・西ヶ方駅。この先、愛媛県に入る。
◆いよいよ伊予の国へ…
江川崎から先は、四万十川の支流である広見川に沿って走る。
そして、私にとって初の愛媛県入りだ。四国4県の中で最後まで訪問した事がなかったのが同県なのだった。
さて話は飛ぶが、北宇和高校美術部が描いた『鉄道ホビートレイン』のイラストに出迎えられ近永駅に到着。同校の最寄り駅で、学生の利用が多い。当駅では窪川行4816Dと交換のため約5分停車する。
近永駅舎。コチラも現在は簡易委託駅として窓口で乗車券を発売している。
宇和島からの4816D(通常は『海洋堂ホビートレイン』の運用だが、一般のキハ32 11による運用だった)が到着、部活帰りの学生が多数乗り込んでいく。今乗っている4817Dも学生が乗り込み、車内は一転混雑気味になった。
予讃線のレールが寄ってきて、北宇和島駅に到着。予土線の旅はここまで。
予讃線に入り、終着駅・宇和島に到着。
運賃表には東海道新幹線の駅名まで表示されておりユニークだが、勿論その運賃は表示されない。
『しまんトロッコ』『海洋堂ホビートレイン』と、今乗ってきた『鉄道ホビートレイン』で『予土線三兄弟』というワケだ。
宇和島駅舎内にはJR四国のキャラクターである『れっちゃくん』『すまいるえきちゃん』の顔ハメ看板が。傍には七夕飾りも…。
宇和島駅はホテル併設の立派な駅舎だ。JR四国の主要駅にふさわしいたたずまい。
駅前には、当地区で最初に開業した『宇和島鉄道』(予讃線と予土線の前身)の軽便鉄道用SLが展示されている。「汽笛一声…」でお馴染みの『鉄道唱歌』の作詞者・大和田健樹が宇和島出身という事で、その生誕100周年記念として復元されたとの事。説明板のボタンを押すと鉄道唱歌のメロディ、SLの汽笛の音が流れる。
『愛媛県内を結ぶミニ特急』
第21ランナー
予讃線 1068D 宇和海18号(松山行)
宇和島 13:59→八幡浜 14:29
・乗車距離:34.8㎞ ・表定速度:69.6㎞/h
編成表:宇和島←☆①(自)2458 ②(指/自)2428 →松山(四マツ N2000系)
◆『宇和海』で余生を送るN2000系
2000系より性能を強化し、高徳線特急『うずしお』用として登場したN2000系だが、2600系・2700系の登場に伴い高松から松山へ転属し、現在は『宇和海』の運用がメインとなった。
宇和島寄りの①号車は試作車で、ノーマル2000系と同様の切妻フェイスだ。この2458号は以前『うずしお』で乗った事がある。
N2000系の車内。ノーマル2000系の原型と同様、シートバックがプラスチック製となっている。シートそのものの掛け心地は2000系と同様、すこぶる良い。
さて列車は宇和海を見ながら松山へ向かう。
宇和海とお別れし、田園地帯に入るが、その中にマンモスのオブジェが!
さて私は八幡浜で下車する。今回のメインともいえる『伊予灘ものがたり』に乗るためだ。
八幡浜は開業当時からの駅舎。昭和レトロな雰囲気が漂う。
八幡浜駅前の風景。八幡浜といえば森進一の『港町ブルース』でも歌われたマチだ。
『伊予灘ものがたり』まで時間があり、なおかつまだ昼食を摂っていなかったので、Googleマップを頼りに見つけた『いの』という活魚料理のお店に立ち寄ってみた。
私は魚介が苦手だが、ウナギは好物なのだ。というワケでうな重(肝吸い付。価格は¥3000超だったような…)を注文。店を切り盛りするご夫婦、とても気さくな方で、北海道旅行の思い出話を聞かせてくれた。
『四国を代表する観光列車』
第22ランナー
予讃線 8904D 伊予灘ものがたり【道後編】
八幡浜 16:14→松山 18:17
・乗車距離:68.4㎞ ・表定速度:33.4㎞/h
編成表:八幡浜←①(G)キロ185-1401 ☆②(G)キロ186-1402 ③(G個)キロ185-1403→松山
◆四国で最も「乗ってみたい列車」
四国篇のメインというべき、『伊予灘ものがたり【道後編】』。この列車はどうしても外せないと思った。美しい伊予灘の車窓風景を楽しみながらのんびりとした列車の旅…。一般の観光客にも魅力的だが、勿論我々乗り鉄にとっても魅力的な列車だ。
さて…八幡浜駅には、下りの「八幡浜編」が到着、大勢の観光客が下車してきた。
この列車に乗るために、私は1ヶ月前の『10時打ち』を札幌駅に依頼、見事希望通りの席を取る事ができた。それからというもの、ずっと当日を楽しみにしていたのである。
改札口をくぐるが、折返しの車内整備が行われているため、乗車はおあずけ。
この年(2022年4月)にキハ47形2連からキハ185系3連の「2代目」に生まれ変わった『伊予灘ものがたり』。
私が乗車するのは②号車『黄金の章』キロ186-1402。元々はキロハ186形として国鉄時代に製造された車両だ。
車内整備が終わり、ようやく乗り込む。発車5分前位とかなり慌ただしいが…。
車内はタネ車の面影を感じさせない程大幅にリニューアルされ、木質系内装や間接照明を多用し落ち着きのある空間となっている。
座席はこんな感じ。『グリーン車』の座席としては物足りないかもしれないが、観光列車としては充分だ。カウンター式テーブル、そして壁には充電用USBポートが備わっている。
隣の6番席は身障者用のため一般には発売されないため空席になっていた。空席にはミカンをモチーフにしたぬいぐるみが置かれている。
まず列車は山間部を抜け、肱川を渡り、2004年に天守閣が復元されたという、大洲のシンボルともいうべき大洲城を見ながら、伊予大洲駅に到着する。ここから先は予讃線旧線(『愛ある伊予灘線』)に入る。
かつて内子線(旧線)が分岐していた五郎駅で運転停車。
手作り看板に、地元民の『伊予灘ものがたり』への愛着を感じる。
列車は肱川沿いを進む。
ここでも地元民のおもてなしが…。
肱川の流れは、伊予長浜駅の手前まで続く。
『伊予灘ものがたり』は、車内で食事や飲料のサービスを含めたコンセプトであるため、基本的に飲食物の持ち込みは禁じられている(但し水やお茶類はOK)。いつも飲んでいる某炭酸飲料しか飲まない私にとってはこの辺り残念なポイントではある。仕方なく(?)車販で売られている『道後サイダー』を買って飲む事にした。
◆美しい伊予灘の車窓風景
伊予長浜から先は、いよいよ(まだダジャレで失礼…)伊予灘を望む区間に入る。
さて、『伊予灘ものがたり』は観光列車だけに、アテンダントによる記念撮影サービスがある。私も記念に撮ってもらったが、写真写りの悪い私、顔が引きつってます(汗)。
伊予灘の風景を楽しみながら、列車の旅は続く。
さて…列車は絶景スポットとして人気の下灘駅に到着。時刻表には載っていないが、ドアが開いてホームに降りる事ができる。乗客は一斉にゾロゾロと降りてホームには人だかりが…。
『青春18きっぷ』のポスターでお馴染みのこのシーン、流石に『伊予灘ものがたり』だと人が写り込む事なく撮影するのは100%無理である…。
下灘駅舎は開業当時からの木造駅舎が残る。駅自体は完全無人駅。
それでは、下灘駅を後にする…。
伊予灘の美しい風景を見ながら、楽しい列車の旅は続く…。
時刻表には載っていないが、下灘駅の他にドアが開く停車駅(運転停車)がもう1つある。それが伊予上灘駅である。
『伊予灘ものがたり』道後編HPでも紹介されているこの風景。ちょうど西日が反射し、伊予灘ものがたりのロゴマークに似てると思いませんか?
この後、高野川駅付近で伊予灘とはお別れし、そして向井原駅で内子経由の線路と合流する。
伊予灘とお別れした後、アテンダントが乗車記念グッズを売りに車内を廻ってきた。私は定番のクリアファイルと、キーホルダーを購入。観光列車に乗るとついこういうグッズ類に手が出ちゃうんですよね…。
列車は田園風景を見ながら、旅の終盤に入る。
列車は松山市の郊外に入り、松山中央公園の施設群(競輪場と坊ちゃんスタジアム)を見ながら市坪駅(運転停車)に到着。
ところで…、左隣側の2席はぬいぐるみが置いていないにも関わらず終始空席のままだった…。急に乗れなくなったのだろうか?
約2時間の旅を終え、終着・松山駅3番線に到着。
駅裏手では高架化工事が進められている。
乗客を降ろした車両は、入れ替え作業を行い駅正面側に暫定的に設置された留置線へ回送される。写真に写っているヘルメット姿の職員は女性運転士だ。JR各社で女性運転士がいないのは北海道だけではないか。
実は、『伊予灘ものがたり』下車後も5日目の行程は続くのですが、文字数制限の関係で紹介しきれませんでした。残りは次回に紹介します。ご了承ください。
つづく