今年で運転開始30周年を迎える『くしろ湿原ノロッコ号』。その記念として5月25(土)・26(日)(※26日は運休)の両日、通常は塘路止まりの同列車を大幅延長して川湯温泉へ特別運転されるという事で、初日5月25日の列車に乗るべく1か月前に「10時打ち」を試みました。残念ながらノロッコ号の指定券はえきねっとでの購入は不可能で、また座席位置の指定(湿原側の車窓希望)もあって、確実に購入するためには駅に出向くしかないのです。
実は私、くしろ湿原ノロッコ号はまだ一度も乗った事がなく、釧路~塘路の短い区間だと乗り鉄にしてみれば物足りず、あまり惹かれる事もなかったのですが、今回の延長運転は良い機会なので是非乗らねばと思いました。川湯温泉への延長運転は、現行の車両に変わった翌年の1999年から10月の紅葉シーズンに毎年運転されていたのですが(通常のノロッコ号とは異なり、定期普通列車を運休した上でその振替として運転)、スーパーおおぞら脱線炎上事故に始まるJR北海道の一連のトラブルの影響なのか2013年以降は運転を取り止めています。その後2017年の10月21・22日にはノロッコ号車両を使用した『阿寒摩周国立公園誕生記念号』が釧路~川湯温泉を運転した事がありましたが、この列車は団臨扱いだったため、一般客が乗れるノロッコ号としては約6年半振りの川湯温泉延長となります。
さて…4月25日に10時打ちした結果がコチラ。
いちおう湿原側の窓側席は取れたのですが、JR釧路支社のHPにある『くしろ湿原ノロッコ号車両配席図』にはこう書かれておりまして…。
※4号車17~18ABC席は窓が小さく、景色が若干見えづらくなっております。あらかじめご了承下さい。
https://www.jrhokkaido.co.jp/travel/kushironorokko/zaseki.pdf
4号車17番じゃん!!
その4号車17~18番席、どれ位景色が見えづらいのかは後程紹介します。
川湯温泉への延長運転であるくしろ湿原ノロッコ号81号(上り)は、通常運転の2号(何故か偶数奇数が逆になっている)のダイヤに延長運転分を付け足したものであるため、釧路駅の発車は同じ11:06。札幌6:57のスーパーおおぞら1号の釧路着が10:59なので、乗り継ぎは可能なのですが、それだとノロッコ号の撮影もそこそこになってしまうので、前夜のうちに釧路入りする事にしました。
その5月24日(金)。釧路行最終となる札幌19:40発スーパーおおぞら11号に乗車。実は、コレが令和初の『乗り鉄』。
その日は仕事をしていた事もあり、深夜への旅なので混み込みした普通車を避けてグリーン車を奮発しました。
釧路着は23:55。かなりの深夜ですが、チェックインが24:00門限のホテルも多く、あともう10分位早く到着できないものか…と思ってしまいます。2013年の減速運転開始以前は23:45着でしたから。
宿泊先は、幣舞橋のたもとにあるラビスタ釧路川。ここで2泊します。
釧路駅から徒歩で約10分位ですが、スーパーおおぞら(5、7、9、11号)の到着に合わせて無料送迎タクシーが利用できます。
翌25日は朝から快晴に恵まれ、まさに絶好の乗り鉄日和。
10時過ぎにホテルを出て徒歩で釧路駅へ。駅への無料送迎もあるのですが、10:30出発だとノロッコ号の入線時刻に間に合わず、それ以前だと9:30の出発となってしまうので、荷物も少ない事だし歩く事にしました。
昔と変わらないたたずまいの釧路駅。道内最後となった『民衆駅』の生き残りです。
自動改札なので、改札案内前の10時半過ぎにホームに入りました。
10:35頃、DE10 1661に牽引されたノロッコ号の車両が3番線に入線します。
今年は30周年特別デザインのヘッドマークが装着されています。
前述の通り、乗車車両は4号車指定席のオクハテ510-1。
もちろん、オクハテの運転台側にも30周年記念のヘッドマークが。
オクハテは今年4月に全検を受けたばかり。他の車両も去年~今年に掛けて全検を受けているので、くしろ湿原ノロッコ号は当面は安泰でしょう。
さて…私の席を含む、景色が見えづらいといわれている17・18番ABC席はこんな感じ。窓が小さいというのは、この4号車オクハテ510-1(運転台付き客車)の後位にある出入口ドアの戸袋窓と、その隣にある幅の狭い窓(通常の落とし窓)、その間にある構体に掛かっているからであって、私が取れた17番席は幅の狭い窓の席だったのです。視界が狭いのが難点ですが、1席に対して窓1個分割り当てられているので、いちおう自席から景色が見られるからまぁ、いいかと。戸袋側の18番でなくて良かったと思わなきゃ…。テーブルに掛かる構体の部分は化粧板もないので窪みになっており、飲み物等を置くには便利なスペースです。
10:59に札幌からのスーパーおおぞら1号が到着。
入線時はほとんど『テツ』ばかりでしたが、発車時刻が近づくにつれて一般の観光客が少しずつ乗車、スーパーおおぞら1号からの乗り換え客も乗車し、4号車は大半の席が埋まりました。湿原側の6人掛けボックス席はほとんど埋まっていましたが、私のいる17・18番のボックスは不人気らしく、結局私の他には通路側に2人しか乗ってきませんでした。
11:06、釧路駅を発車。
発車すると早速、JR釧路支社社員の手によりこの後停車する標茶駅でのイベント告知のチラシが配られます。
釧網本線の起点である東釧路に停車。
東釧路発車後、車掌が回ってきて通常の乗車証明書が配られます。30周年ロゴの入った特別デザインです。
川湯温泉への乗客へは、さらに特別な乗車証明書が配られるのですが、コレについては後程。
東釧路~遠矢。釧網本線は釧路川の流れに遡って北上します。
遠矢(通過)を過ぎると釧路湿原に入ります。コレは釧路川の治水対策として(現)新釧路川が掘られた際に造られた岩保木水門。
手前の水門は平成に入ってから造られた新しい水門で、それ以前に使われていた旧水門の建物が画面奥に見えます。
ログハウス風の細岡駅舎。1つ手前の釧路湿原駅もログハウス駅舎ですが、逆側の車窓なので撮影できず。
細岡を出ると蛇行する釧路川の流れが間近に迫る区間に入ります。ノロッコ号はこの区間を徐行運転し、その名の通りノロノロと景色をゆっくり楽しめるようになっています。
そういえばノロッコ号誕生当時、「日本一おそ~い列車」というキャッチフレーズが付いていたような…。
釧路川の眺望を楽しんだ後は、通常のノロッコ号の終点である塘路に着きます。
せっかくの延長運転なのに一般の観光客の大半はここで降りてしまい、混み合っていた車内も半分位空席となりました。
しかし、ここで湿原区間の景色は終わりではなく、発車後には塘路湖やシラルトロ沼などの湖沼を眺める事ができます。
せっかく良い景色が続くのだから、通常のノロッコ号もSL冬の湿原号みたいにせめて標茶まで運転すれば良いのに…。
塘路湖(車窓右側)
サルルントー(車窓左側)
シラルトロ沼(2枚とも。車窓右側)
遠くに見えるこの山は雄阿寒岳でしょうか?
鶴が来る駅として知られる茅沼は通過。
再び釧路川(支流)の流れが間近に迫る区間を走行しますが、この辺りで釧路湿原の末端となります。
湿原区間が終わると酪農地帯に。
12:19、標茶駅に到着。3727D快速しれとこ摩周号と交換するため、ここで20分の小休止となります。
ホームでは牛をモチーフにしたご当地ゆるキャラがお出迎え。そして、ノロッコ号の乗客のために地元特産品の販売コーナーが設けられ、乳製品やレトルトカレーなどが売られていました。
私が買ったのは地元牧場で飼育されているホルスタインと黒毛和牛の交雑種『星空の黒牛』のお肉を使用したレトルトカレー2種。上に写っているクッキーは乗客に無料で配られた地元菓子店謹製『地球が丸い多和平』。
三角屋根が特徴の標茶駅舎。標津線が生きていた頃からこの建物でした。
その標茶の停車時間の間、私は長年疎遠になっていた昔の友人とバッタリ出会ってしまい、発車後もしばらく車内で立ち話してました。当然ながら彼もテツでして、前日にたまたまキャンセル分の窓側の指定券を往復分入手したという事で乗りに来たとの事。
摩周の手前あたりで自席に戻り、釧路駅で購入した『湿原弁当』(中身は幕の内)を昼食として食べました。
ラベルの列車の図柄が何故かスーパーおおぞらで、ノロッコ号や冬の湿原号ではないんですね…。
そして、川湯温泉までの乗客だけに特別な乗車証明書が配られました。
13:32、川湯温泉に到着。
ホームでは地元川湯小学校の児童の手により、郷土芸能『川湯ばやし』の笛や太鼓の演奏で乗客を出迎えてくれました。
コチラでも地元のゆるキャラ(これまた牛がモチーフ)がお出迎え。
ノロッコ号の車両は15:00の折返し出発までしばしの休息…。
アトサヌプリをバックに、DE10は尾灯を点灯して推進運転に備えます。
この後は15:00発の折返しくしろ湿原ノロッコ82号で再び釧路に戻ります。以降の行程は次回に紹介させて頂きます。
(後篇につづく。)