　三連休というが、孫の両親は仕事。傍にいたらテレワークもできないと、わたしが預かることにする。せっかくだから、孫が行きたがっていた博物館に連れて行こうと、前々から話していた。玩具やゲーム、遊園地よりはそういう博物館に行きたがる、興味を満たしてやるほうが勉強にはなる。

　日曜だが、どうも天気はいまいちで、傘持参。朝からバスで出かける。このバスだが、いままで孫と一緒に乗ったことがない。何歳まで無料なのか。乗るときは、わたしはスイカだからタッチでいいが、五歳になったばかりの孫のはどうするのか。料金表には子供は50円と出ていた。それで降りるときに、50円だけ料金箱に入れたら、子供は半額ですと運転手に言われた。50円で出ていたからそう払ったのに。それで叱られてしぶしぶ半額払った。ところが、後でネットで調べたら、六歳未満は二人まで無料とあった。孫はついこの先々週までは四歳であった。大きく見られたのか。まあ、バスで出かけることはあまりないからいいか。

　東海道線の電車は混んでいたが座れた。チビがずっと立たせておくのは可哀想だ。東京も旅行以外では出ない。上野東京ラインの電車なので、上野で降りる。そこもだいぶ来ていない。用事がない。何度も来ていて見るべきものは見ていたし、いまはわざわざ展覧会だと来ることもない。それは横浜の美術館で足りる。

　小雨で傘をさして、まずは上野動物園に連れてゆく。春にはパパと三人で横浜の動物園に連れて行った。青森から来て、この動物園というのが青森にはないので、図鑑で見る動物の本物を生まれて初めて見るのだ。その興奮が伝わる。園内を孫は走り廻っている。次はこっちと、迷子にならないように、後を追いかける。朝飯を食べていなかったので、入る前に駅のコンビニでおにぎりとおやつとドリンクを買っていたのを、ベンチに座って食べさせる。横浜の動物園ではなかった動物がいっぱいいる。わたしもここに来るのは、次男の孫娘がまだ幼稚園のときだった。その後に10年前にぐるっとパスという都内の美術館と博物館、動物園も入れるチケットを買って相方と二人で入ったことがある。小さい子がいれば入るが、わざわざじじいが一人では来ない。

　パンダも生まれて初めてのご対面だが、まだ開園からすぐだったので、日曜でも並んでいない。すぐに入れたが、係員がマイクで、写真を撮ったら、出口のほうに行ってくださいと、いつまでも眺めてはいられないほど忙しい。笹を食べているパンダは名前は何なのか。孫もちらりと見て写真を撮っただけで出てくる。人気のあるところはこれだから瞬間的で終わる。

　サイや象も初めてか。虎は見たか。こっちも歩いた歩いた。ぐるぐると同じところを廻っていた。どうも順路を決めてその通りに歩かないと、無駄な動きになる。地図をもらって歩いたらよかった。孫はもう歩けない、足がバキバキだよと泣く。ベンチでも雨で濡れていないところはいっぱいだ。どこか飲食店と覗いたら、どこもいっぱいで入れない。ようやく少し濡れているがベンチに座らせて、ポテチなど食べさせる。休んだら元気になり、爬虫類や夜行性の動物たちの建物に入って、興味津々。

　わたしも腹が減るが、雨でなければ弁当など買ってきて座って食べないと、レストランなどはどこもいっぱいで並んでいる。

　ようやく動物園を出て、今度は国立科学博物館に入る。そこも10年ぶりか。大人も楽しめる。まずは、孫がどうしてもガチャポンをしたいと騒ぐので、恐竜の玩具をガチャで買う。そうしたら機嫌がよくなる。それからシアターに並んで入る。ドームの中では360度のスクリーンに、台湾から與邦国島まで、丸木舟を漕いで渡る実証実験をしていた記録フィルムを映していた。それは孫も喜んだ。わたしと同じ、冒険探検が好きなのだ。男の子はそうして芽生えさせる。わたしも太平洋独りぼっちで無寄港横断を小型ヨットでやってのけた堀江青年に子供のときに触発されて板を拾ってきて大きな筏を作った。それで太平洋を横断するのだと。

　恐竜の骨がいっぱいあるが、あれは本物だろうか、レプリカなのか。それに孫は目を丸くする。人骨もあり、ルーシーなどのレプリカだろうが、猿人類の骨なんかも展示していて、昔の人間は猿から進化したと教える。いや、別系統だったかな。わたしも怪しい。アンモナイトや三葉虫などの化石も孫は好きなのだ。わたしはそれを見て、あらぬことを考えていた。貝と海老の祖先だろうが、どんな味がするのかと。料理方法なんかも想像していた。化石が食べ物に思えるのか。孫はステゴザウルスなどの恐竜の名前も覚えている。それが実物大で高い天井からぶら下がる。あまり骨ばかり見せたら、孫は、骨はもういいよと、ゲップしていた。国産ロケットの実物大の発射台も見上げて、乗りたいというが、それは見るだけ。孫が喜んだのは虫。大きなカブトムシからクワガタが図鑑の絵ではなく本物だ。大きいなといろんなサイズにわたしも驚く。中庭で休憩していたら蝉が鳴き始めた。今年初めての蝉の声。孫に、これは梅雨が明けるなと教える。蝉が鳴けば雨がやむの？　本番の夏がくる前奏曲なんだよ。

　地下三階までいろいろと見たが、あまり学術的なものは、まだ五歳では早いのでパスする。それで外に出たら、雨は上がっていたから、国立博物館前の噴水で休憩。小さな子たちが噴水に足を入れていたので、真似る。すぐに友達になるところがいい。そこから西洋美術館の前庭に入ると、孫はロダンの考える人やカレーの市民の銅像前に座り、同じポーズをして、見ていたおばさんたちから拍手喝采。お道化者だった。

　もう三時は過ぎていたが、どこもここも食べるところはまだ並んでいる。さすが東京で日曜日だ。それなら平塚に帰ったほうがいいと、電車で帰った。それも座れたが孫はすやすや。わたしも疲れて眠い。歩数計は17000歩とよく歩いた。平塚の商店街の食堂で何か食べさせようか。孫との約束の上野公園探検の一日であった。

じじと孫の日曜探検は上野公園