クリスマスのプレゼントを、十数年前の僕は悩んでいました。


悩んだ挙句に、誕生石のネックレスにしました。


デパートの貴金属売り場なんて一人で行くのは初めて。

とりあえず歩き回り、気に入った物を見つけた。


でも、彼女に似合うか分からない。


迷っていると、店員さんは優しく話しかけてくれました。


「どの様な方なのですか?」


と聞かれ、彼女の雰囲気や特徴を話しているうちに、


「では、こんな感じになりますか?」


と、店員さんは、シャツの襟元を少し開け、

自分の首に、付けてくれた。


色白の細い首筋は、彼女と似ていた。


「それにします、下さい。」




次の年の8月、彼女とのデート。

その売り場の前を通ることがあり、僕は店員さんを探した。


まだ、いてくれたその店員さんは、

少し遠くだったのにも関わらず、僕を見つけて、

ゆっくりと微笑み、会釈してくれた。


(覚えていてくれたんだ)


驚きと共に、感謝の気持ちを込めて、

僕は隣にいる彼女を、店員さんに目の合図で紹介し、

会釈を返した。


(この人が、あの時の人です ありがとう。 おかげさまで 幸せになりました)


彼女の胸元に光るネックレスを見つけ、

(あら~ お似合いですよペリドット)

と 微笑みかけてくれた店員さん。


ゆっくりと、その前を通り過ぎながら、

店員さんに 心の中で、もう一度 お礼を言いました。


(ほんとうに ありがとう あなたのお陰です)


「どこ見てるの?!」

少しふくれた彼女の言葉で、我に返る。

「いや、別に」


振り返ると、もう見えなかった。


長い月日を経て、あらためて。



ありがとう。 あなたのおかげです。