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イタリア・ヴェネチア 顕在意識と潜在意識2

ヴェネチアの街を歩いていると小さな路地に巡り会う。まるで秘宝へ繋がる道のようにも思えて、この先には一体なにがあるのだろうかと気分が浮き立ってしまう。


路地の先には、お店があったり、住民の住む家があったりするのだが、なんだがおとぎの世界へ迷い込んでしまったような錯覚をときに覚える。


一方で、おとぎの国とは対照的にかつて暮らした東京谷中の下町の路地を思い出し、夢と現実の間を行き来しているような不思議な感覚だ。


不思議な感覚を味わいながら、永く眠っていた記憶がふと蘇ってきた。それは、私が大学を卒業したあと、専門学校に通いながら、昼間の勉強時間を確保するために、早朝のアルバイトをしていたときの記憶。


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アルバイトに行く朝の私の起床時間は午前5時であったが、父は5時前には起きていた。朝が苦手なこともあり、そして大学を出してもらったにもかかわらず就職をしていないという後ろめたさのようなものが父にはあったので、父と話しをすることを無意識に避けていた。


だから、父が早起きをすることに当時は疎ましくさえ感じていた。いまさらながらそれは私のためを思ってしてくれたことなのだと気がついた。短い時間でも私とのコミュニケーションをとろうとしてくれていたのだと。


そして、やはり父親として皆が就職をする中で、ふらふらとしている息子を心配していたのだと感じる。父が早起きをするようになったのは、私が早朝のアルバイトをはじめたころと重なる。偶然とは思えない。


出勤前に新聞をチェックしているのだと父は言っていたが、きっと本当の理由ではなかったのだろう。真冬の早朝は暗く寒い。そんなときも私よりも早く起きて暖房を焚いて部屋を暖めてくれていた。会話にならない短い返事しか返さない息子に対して、何気ないふりをしながら一生懸命話題を探して、話しかけてくれていたのだろう。


多くの会話はなかったが、たとえ短い時間でも、一緒の空間で同じ時間を過ごすということを大切に思ってくれていたのだと思う。


わたしも父のような父親になりたいと感じた。