自分が生まれ育った場所は大人になっても大きな影響を及ぼすものだと感じる。江戸時代に植木の街として栄えた街に生まれ育った私は、いつも緑に囲まれて育った。
関東平野にある街だったので、まわりには山が見えるという環境ではなかったので、山が見える暮らしというものへの憧れがいまも心にある。
そして、街は内陸にあったので、水辺に近いところでの暮らしにもまた魅力的に感じていた。現在の住まいが、大きな川の近くにあるのも、そのためかもしれない。
ヨーロッパの列車に乗ると、流れる景色の中で、私の心をとらえるのは、いつも決まって雄大な山脈なのだ。雄大とひとことで表現してしまうことができないエネルギーをその山々から感じる。
雪を冠した山が連なる姿はときに美しくもあるが、ときには人間の小さなを感じ、その大きさが恐ろしくも感じることがある。
車窓からみえた小さな小屋。この小屋にはどんな暮らしがあるのだろ。夜は満点の星空を眺めながら眠りにつき、朝は鳥のさえずりの音で目を覚まし、目の前に広がる山と緑を眺めながら、背伸びをする。そして、大地の恵みを口にすれば、甘味が身にしみる。
世界は美しい。