法華経方便品は十如是に続き、長行(じょうごう)が始まる。
そこに、仏の悟った真理は理解しがたい事を示されている。
続いて、「是の法は示すべからず、言辞の相寂滅せり(是法不可示 言辞相寂滅)」とある。
さらに説かれる所は
「諸々の衆生は得解することはない。ただし、信力堅固の菩薩は除く(諸余衆生類 無有能得解 除諸菩薩 信力堅固者」とある。
そのまま読むと、「信力堅固の菩薩以外には理解できないので、真理は言辞(言葉)にするな」となりそうだ。
しかし、方便品を読み進むと、
信じる事の大切さを説かれる。
さらに、
方便として三乗(声聞乗・縁覚乗・菩薩乗)のために種々説いた、とある。
そして、仏乗を説くときが来た、即ち「今正是其時:今、正(まさ)しく、是(こ)れ其(そ)の時なり」とされ、「正直捨方便 但説無上道(正直に方便を捨てて、ただ無上道を説く)」とされる。
即ち、今までの三乗のための方便を捨てて、無上道(これ以上のものがない法)を説くとされる。
言い直せば、「信じる機根が熟したので、真理を説く」とされる。
また、声聞の弟子無し(無声聞弟子)とされる。
すなわち、「声聞に留まらず、菩薩なれ」とされる。