今こそ常設型住民投票制度の創設を | 北なごや市民ネット~世直しブログ

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市民のための政治をあきらめない!

引き続き、令和6年6月議会での一般質問通告文を掲載します。

 

 

次に「今こそ常設型住民投票制度の創設を」についてお訊ねします。

 本年5月8日、愛知県日進市で住民団体が「道の駅」建設の是非を問う住民投票を求めて、1万2965人分の署名簿を市選挙管理委員会に提出しました。市選管の審査結果は、有効署名数が1万1986人分であり、住民投票の実施に必要な1万2194人分に達していなかったため、住民投票は実施されない見通しとなっています。

 今回の住民による実施請求は、令和5年9月の日進市議会において、8名の議員から「道の駅整備事業の賛否を問う住民投票実施を求める決議」が提案されましたが、不採択となったことを受けたものです。日進市は常設型住民投票制度であり、住民、市議会、市長それぞれの発議で住民投票が実施されます。

 こうした首長や議会と住民との意見の相違が顕著であれば、住民投票によって民意を示すことで、より市民本位の市政を実現することが出来ると考えます。住民参加と住民自治を更に進め、充実させて行くための手段として常設型住民投票制度が必要ではないでしょうか。

 平成25年第一回定例会においても、同じテーマで一般質問しています。当時は東日本大震災による福島第一原発事故を契機に脱原発の機運が高まり、原発の是非を住民投票で問うべきだとして、大阪市、東京都、静岡県、新潟県で個別型住民投票条例の制定が請求されました。しかしながら、いずれの自治体でも議会で否決され、住民投票条例の制定には至りませんでした。

 住民の代表であるはずの議会が、住民投票を求める膨大な署名にあらわれた民意をいともたやすく否定して良いのか、と強く疑問に思ったため市議会で質問したわけですが、答弁者の長瀬保前市長とは議論が嚙み合わないまま終わったことを憶えています。前市長の答弁の一部を会議録から以下に引用します。

 「常設型住民投票制度の創設をということでございます。

住民投票には、お話もございましたように、さまざまな形があろうかと存じます。住民投票という制度そのものは、時に応じて必要とされるものでありますが、本来は議論を通して多角的な意見の合意形成を図ることが民主主義の本旨だというふうに考えます。

 しかし、全ての意見の合意形成は難しいことでありますので、市民から選ばれた議員の皆さんが議会の場で合意形成を図るという議会制民主主義という手法がとられているわけでございます。

 こうしたことを踏まえて考えますと、ご質問の常設型住民投票制度という手法、あらかじめ条例で定めた幾つかの要件を満たせば、議会の議決なしに自動的に住民投票を実施するという制度でございます。議論や合意形成を大事に考える立場としまして、真正面から対立するものではないかという一面も考えるわけでございます。

 意見を主張したり、投票により意思を表明することは国民の権利でございます。本来、意見の主張は合意形成のためにあるはずでございまして、投票は合意の形成手段であるはずでございます。したがいまして、常設型住民投票制度の創設は、現在のところ考えておりません。

 なお、本市におきましては、重要事項につきましては、いわゆるパブリックコメントなど施策を実施しておりまして、一般市民の方々からも一定の意見を頂戴して取り組んでいるところでございますので、ご理解を頂戴したいということであります。以上です」。

 つまり「投票は合意の形成手段であるはず」なので「市民から選ばれた議員の皆さんが議会の場で合意形成を図るという議会制民主主義という手法」だけで良いと主張しているわけです。これでは首長や議会と住民との意見の相違や乖離があったとしても、それは考慮しない、無いものとして考えるに等しいのではないでしょうか。

 実際に、西図書館の突然の廃止に反対する住民の皆さんが、5122名分の反対署名を提出されましたが、廃止は撤回されませんでした。住民投票や署名活動などの直接民主主義の手法は議会制(間接)民主主義に「真正面から対立するものではないか」と考える前市長の政治姿勢の表れでしょうが、常日頃から「市民融和」を強調されていたのに、最後の最後で凡そ融和的ではない決断をされた、と残念に思います。

 翻って現市政ですが、太田市長は令和5年の施政方針演説で「私の市政運営のモットーは、「ともに進める、新しい北名古屋市へ」であり、そのためには、徹底した行政の透明性の確保、説明責任の充実、インクルージョン(市民参加型)の三つの視点が最も重要であると考えております」と述べています。

 その言葉の通りに、市民説明会や対話集会を開催して、市民の皆さんの中に分け入って対話をする市長の姿に期待を寄せる市民の方は少なくないと思います。今は意気揚々と行財政改革に邁進しておられますが、これからの展開によっては、市民の皆さんとの意見の相違や軋轢が生まれて来るかもしれません。そうなったとしても、先の市政運営のモットーを堅持して頂きたいと切に願います。

 そのためにも、ただ単に市長個人の政治的な原則や信条とするだけではなく、制度的な裏付けを持った市政運営のモットーとするために、常設型住民投票制度が必要ではないでしょうか。

「間接民主制を原則とする地方自治制度において①地域住民の総意の表出、②地域住民による意思決定への介入、という2つの重要な機能を備えている住民投票は、他の住民参加の手法と一線を画す制度である。ただし、条例を根拠に実施する住民投票は諮問型の制度として設計され、投票結果は代表機関を法的に拘束することはできないものの、政治的な影響力を持ち「尊重」されることになる」(菅谷慎一朗「住民投票と議会の関係性に関する一考察」10頁より引用)と説明されているように、「意思決定のための参画」(同上3頁)に留まる市民説明会や対話集会またはパブリックコメントなどの「住民参加の手法と一線を画す制度」である常設型住民投票制度を地域社会に実装することで、住民参加と住民自治を今まで以上に進めることが出来ると思います。

 これまでの市政とは大きく局面が変わろうとしている今こそ常設型住民投票制度の創設を求めますが、市長の忌憚の無いご意見をお聞かせ下さい。

 以上で一般質問を終わります。明快なご答弁をお願いします。

 

 

一般質問の詳細は、北名古屋市ホームページ・市議会トップページ「議会録画中継」または「会議録検索システム」の当該箇所をご覧下さい。