訪問介護の基本報酬引き下げに反対します | 北なごや市民ネット~世直しブログ

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令和6年3月議会での一般質問通告文を掲載します。

 

 6番、立憲民主党の伊藤大輔です。

通告に基づきまして一般質問を行います。

「訪問介護の基本報酬引き下げに反対します」についてお訊ねします。

 新年度からの介護報酬改定で訪問介護の基本報酬を引き下げる方針を国が示したことに、介護現場からは驚きと怒りの声が広がっています。このまさかの基本報酬引き下げに対して、認定NPO法人「ウィメンズアクションネットワーク(理事長 上野千鶴子)」、NPO法人「高齢社会をよくする女性の会(理事長 樋口恵子)」、NPO法人「日本障害者協議会(代表 藤井克徳)」、「きょうされん(理事長 斎藤なを子)、「ケア社会をつくる会(世話人 小島美里・中澤まゆみ)」の5団体は本年2月1日に介護事業者など363団体、市民や介護職ら2400人以上の賛同を得て「訪問介護基本報酬の引き下げに抗議する緊急声明 」を発表しました。以下、全文を引用します。

「2024 年 4 月1 日より適用される介護報酬単位が公表されました。それによると、訪問介護の基本報酬は身体介護、生活援助、通院乗降介助とも、すべて基本報酬が引き下げられています。基本報酬は引き下げたものの、処遇改善加算のアップ率はすべての事業中最高なので、事業収入全体では影響がないかのように説明されていますが、試算すると最上位の処遇改善加算を取得してもマイナスになってしまいます。 事業所経営実態調査で訪問介護が収益率 7.7 パーセントという大幅な黒字となったことが引き下げの理由とのことですが、これは増加の一途であるサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)等の併設事業所の収益率が高いからです。サービス提供効率が高く、調査の提出率も高いと考えられます。一方、小規模な単独事業所は調査に応じる余裕さえありません。併設型訪問介護は、同一建物内に居住する利用者を回って介護するため施設介護に近く、地域の中を一軒ずつ訪ねてケアを提供する訪問介護とはかけ離れ、カテゴリー自体を分けるべきものです。訪問介護はすでに 15.3 倍の有効求人倍率で、訪問介護員の高齢化も突出しています。地域の在宅介護を支えてきた小規模事業所は次々と撤退。ヘルパー不足でケアプランに必要な訪問介護を組むことができないという悲鳴が全国の現場から聞こえてきます。人件費比率が72.2 パーセントの訪問介護で基本報酬を引き下げれば、単独型小規模事業所の経営は悪化し、閉鎖倒産が相次ぐことでしょう。仮に処遇改善加算で職員賃金を上げることができたとしても、物価高騰の中で経常費などをまかなうことができないからです。在宅介護の命綱である地域に根差した単独型の訪問介護が減っていけば、独り暮らしや老老世帯はたちまち「介護難民」になります。「家族介護」に頼らざるを得ず「介護離職」は激増します。「可能な限り最後まで住み慣れた地域で」を謳った国が進める地域包括ケアシステムはますます有名無実になるでしょう。多くの人々が訪問介護の現状を危惧する中、この基本報酬引き下げは暴挙というほかありません。強く抗議し、撤回を求めます」。

 ここから若干の補足説明をしたいと思います。声明文にありますように「最上位の処遇改善加算を取得してもマイナス」になることを呼びかけ団体が具体的に試算しています。

現行では、身体介護で30分以上1時間未満の場合は396単位です。それに処遇改善加算Ⅰ13.7%、特定処遇改善加算Ⅰ6.3%、ベースアップ支援加算2.4%が付けば、合計22.4%が396単位に加算されて484.7単位となります。

 改定後では、身体介護で30分以上1時間未満の場合は387単位です。それに新しい処遇改善加算Ⅰ24.5%が付いたとしても481.8単位ですので、現行よりも2.9単位減ってしまいます。厚生労働省は「処遇改善加算を含めればプラス改定」と説明していますが、実際はそうなりません。そもそも、処遇改善加算は取得するための準備や事務作業の負担が大きく、得られる報酬に見合っていないとの意見が多くあります。処遇改善加算が取れても取れなくても事業所の負担は増すばかりです。

 介護事業経営実態調査で、訪問介護の収支差率が.8%(声明文では7.7%)、全サービスの平均(2.4%)を大きく上回っていたことが訪問介護の基本報酬引き下げとなった理由でした。

 この実態調査の結果について、もともと厚生労働省は次のように説明していました。「訪問介護は2%上昇して7.8%、通所介護は0.8%上昇して1.5%といった状況でございます。これらのサービスは、収入はほぼ変わらず、支出が減少した結果、収支差率としては上昇してございますが、増加額といたしましては、例えば訪問介護で約6万円、通所介護で約4万円といった数字でございますので、実質的には経営改善への影響は限定的ではないかと考えてございます」(古元老人保健課長の発言 令和5年11月16日 第231回 社会保障審議会介護給付費分科会(議事録)より引用)。

 つまり、訪問介護の経営が安定しているわけではなく、ヘルパー不足が深刻化しており、ヘルパーさんが集まらずに人件費が減少した結果、利益率が高くなっているだけです。実際には経営状況は厳しく、昨年の訪問介護事業者の倒産件数は67件で、過去最多となっています。そのことが分かっていながら、なぜ厚生労働省は基本報酬を引き下げるのか。声明文にもありましたが、もはや「暴挙」と言っても過言ではないと思います。

 先の5団体以外にも「全国ホームヘルパー協議会(会長 田尻亨)」、「日本ホームヘルパー協会(会長 境野みね子)」が連名で抗議文を厚生労働省に提出しました。抗議文には「もともと報酬単位が小さい訪問介護系サービスのみが引き下げられたことは、私たちの誇りを傷つけ、更なる人材不足を招くことは明らかで、このような改定は断じて許されるものではありません」「地域包括ケアシステムを深化させ、すべての国民が「住み慣れた地域で安心して日常生活を続けられる」という我が国が目指す姿とは全く正反対な今回の改定は極めて遺憾であり、訪問介護の現場従事者を代表して強く抗議します」とあります。

 また「日本医師会(会長 松本吉郎)」の江澤和彦常任理事は、基本報酬引き下げについて「訪問介護は介護分野の中でも最も人材不足が著しいサービスであるばかりでなく、在宅医療は、訪問介護の生活の支えがあってこそ継続可能となることから、今後もしっかりその影響を注視していくべきだ」と記者会見で述べています。

 以上のことから、今回の訪問介護の基本報酬引き下げが、地域の介護や医療に大きな影響を与えることは明らかです。そこで、5点お伺いします。

1.本市における訪問介護事業者への影響をどのように見込んで

  いますか。        

2.訪問介護事業者へ市独自の支援は出来るのでしょうか。

3.総合事業への影響をどのように見込んでいますか。

4.現在、在宅で介護や医療を受けている方々への影響をどのよ  

  うに見込んでいますか。

5.訪問介護サービスの供給量が減少することが予測される中、 

  どのように地域包括ケアシステムを推進すれば良いとお考え

  でしょうか。

以上で一般質問を終わります。明快なご答弁をお願いします。

 

一般質問の詳細は、北名古屋市ホームページ・市議会トップページ「議会録画中継」または「会議録検索システム」の当該箇所をご覧下さい。