こんにちわ。北見尚之です。
今や寿司ネタの主役級となった「サーモン」ですが、その背景には、
天然魚とはまったく異なる「計画的な生産ビジネス」があります。
サーモンは、養殖技術の発展と国際流通の整備によって、
世界規模の巨大産業へと成長していきました。
世界のサーモン養殖生産量は2021年に320万トンに達し、
2000年以降は10年ごとに約100万トンずつのペースで伸びています。
国ごとの内訳では、1位のノルウェーが全体の45%でチリが25%を占めています。
ノルウェーは世界最大のサーモン輸出国で、
国家の基幹産業の一つといっても過言ではありません。
チリも南半球最大の生産拠点として存在感を持っており、
日本企業も多く進出しています。
なお、2021年サケ・マス総生産量のうち、
統計対象である全魚種の養殖の割合は約8割となっており、
いかに生産を養殖に頼っているかが分かります。
この数字が意味するものは、サーモンはもはや天然資源ではなく、
農産物に近い魚になったということです。
餌の配合、成長管理、出荷サイズ、脂質の乗り具合まで、
ある程度コントロール可能な設計型タンパク源になっています。
寿司ネタとして安定供給できる理由もここにあります。
日本国内で消費されるサーモンも、その多くは輸入養殖サーモンです。
回転寿司における人気ネタの上位常連であり、
店舗によってはマグロを上回る販売量になることも珍しくありません。
金額面では、寿司用以外も含むサーモン全体の市場規模は、
2024年に約607億米ドルと評価されています。
これは、1米ドル=150円とすると9兆円以上の規模となります。
寿司には、回転寿司だけでなく、高級な寿司店や町寿司、持ち帰り寿司、
さらにはデリバリーといった、さまざまな形態があります。
これらを合わせた国内の「すし店」の市場規模として、
2019年の時点で約1.5兆円とする記述が見られます。
寿司ビジネスの市場規模は国内だけでも1兆円を超えてくるような大きなもので、
その中でサーモンは重要な位置を占めていることは間違いありません。
寿司ビジネスの視点で見ると、サーモンは味だけで語るネタではなく、
安定供給、大量生産、国際物流、そして技術革新が支えるグローバル商品と言えます。
一貫の裏側には、海の養殖場から空輸ルートまで続く巨大な産業構造が広がっています。
サーモンは、寿司が世界食になったことを最も分かりやすく示す存在なのかもしれません。
北見尚之