今年2月11日から北日本新聞文化面で連載していた「続越中エル・ドラド ふるさと人物列伝」が完結した。
毎週木曜日付けで、一度だけ休載したが、あとは毎週載った。
もちろん、まだまだ書きたい人物はいるのだが、新聞社も年末年始の態勢に入るし、ここらでいったん打ち止めにしておこうと考えた。
いつかまた機会があれば、続編のさらに続編ということになるかもしれない。
本シリーズは37回。たいていの記述ミスはゲラの段階で直したが、そのまま紙面に掲載されたのもあった。最大のミスは「ウラジオストク」の語源を「ウラジ(東方)ヴォストーク(支配せよ)と書いてしまったこと。もちろん、うろ覚えで書いたのが間違い。掲載日の朝、ロシア語の分かる読者から「ウラジ(支配せよ)ヴォストーク(東方)の間違いだ」と新聞社に指摘があった。
連絡を受けて、とりあえず、ロシア語の分かる息子に尋ねたら、一言「逆」と。お恥ずかしい限りだ。新聞社では、ウエブ上の記事を直ちに修正したという。
さて、この連載で取り上げた人物と掲載日を紹介しておきたい。
① 山崎兵蔵(生涯を僻地に尽くした小学校の先生)=2月11日
② 日隆上人(京都・本能寺の開祖)=2月18日
③ 劔山、階ケ嶽(江戸時代に活躍した大関)=2月25日
④ 福井直秋(滝廉太郎との不思議な縁・武蔵野音大創設者)=3月3日
⑤ 西村太冲(伊能忠敬が激賞した学者)=3月10日
⑥ 嵯峨寿安(日本初のシベリア横断)=3月17日
⑦ 播隆上人(槍ケ岳を開山)=3月24日
⑧ 源氏鶏太(社長シリーズの原作などサラリーマン小説作家)=3月31日
⑨ 松村謙三(日中国交回復に貢献した無私の政治家)=4月7日
⑩ 室崎琴月(童謡「ぎんぎんぎらぎら」作曲者)=4月14日
⑪ 大谷米太郎(相撲取りから経済人に。ホテルニューオータニ建設)=4月21日
⑫ 川原田政太郎(昭和5年、大画面テレビを開発)=4月28日
⑬ 林忠正(日本美術をヨーロッパに紹介)=5月5日
⑭ 正力松太郎(読売新聞社主。初代科技庁長官)=5月12日
⑮ 加藤金次郎(ダムなど土木事業に異能発揮)=5月19日
⑯ 山崎覚太郎(漆芸で日展理事長)=5月26日
⑰ 稲塚権次郎(世界の食糧危機を救った麦の開発者)=6月2日
⑱ 角川源義(角川書店創業者)=6月9日
⑲ 吉田鉄郎(旧東京中央郵便局など近代建築)=6月16日
⑳ 高階哲夫(名曲・時計台の鐘の作者)=6月23日
㉑ 瀬木博尚(博報堂創設者)=6月30日
㉒ 石黒信由(伊能図に劣らぬ精密な地図作成)=7月7日
㉓ 翁久允(移民文学から郷土史研究)=7月14日
㉔ 瀬島龍三(大本営参謀)=7月21日
㉕ 堀田善衛(社会に鋭い洞察。芥川賞作家)=7月28日
㉖ 大橋八郎(玉音放送を録音したNHK会長)=8月4日
㉗ 細野長良(東条英機に唯一反論、最後の大審院院長)=8月11日
(8月18日は休載)
㉘ 杉谷文之(コシヒカリの父)=8月25日
㉙ 若狭得治(全日空中興の祖)=9月1日
㉚ 安田善次郎(財閥。明治期に新幹線計画)=9月8日
㉛ 青井忠治(日本初のクレジット発行。丸井創業者)=9月15日
㉜ 山田孝雄(独学で日本文法をまとめる)=9月22日
㉝ 黒川良安(当代きっての蘭学者)=9月29日
㉞ 浅野総一郎(水売りから財閥。京浜工業地帯生みの親)=10月6日
㉟ 大宅昌(大宅壮一文庫元理事長)=10月13日
㊱ 黒田善太郎(コクヨ創業者)=10月20日
㊲ 米沢紋三郎(富山県の分離独立を成し遂げた政治家)=10月27日
いろんな文献を読んでの執筆であり、そうした記録を残した先人たちに感謝したい。ただ、例によって昔の史料をひもとくと、間違った記述も多い。人のことは言えないが、これまで検証されずにきたせいだろう。中にはミスなのに孫引きされたような資料もある。
同時に、伝記のたぐいは、やたらと美談で盛ってあるものが多い。それをできるだけ排除して、越中の人間の本質に迫る努力はしたつもりだ。
つまり、どんな偉業を達成したではなく、どんな生きざまだったか―に力点を置いて書いた。残念ながら若い人は、こうした歴史ものには興味が薄いようだが、いつの日か、先人の足跡に興味を持つ年代になるはずだ。
そのときの参考になればーと思っている。