きょうから9月
雨が降っている
とても涼しい
ぼんやりと考え事をしていたら、この夏、クマと出合ったことを思い出した
8月7日だから、もう1カ月近く前になる
その日は天気がまあまあだったので、思いたって大型スクーターで立山山ろく方面に出掛けた
富山県に住んでいると、なぜか立山にひかれるのである
そのまま林道小見線に入って、有峰に向かった
ここには有峰ダムと有峰湖がある
視界はそれほど
よくもなかったが、背景には薄っすら薬師岳が望める
よくもなかったが、背景には薄っすら薬師岳が望めるそんな雄大な景色を展望台で見ていると、作業員の集団がやってきた
有峰のことは詳しくないらしいので、「ここもサルとかよく見られますよ」などと話しかけたりした
帰りは、同じ道はつまらないので、ダムの上を走って対岸に出て、幅員が1車線しかない小口川線に入った
狭い林道を、スクーターを右に左に傾けながら走る
全線舗装してあるから、スクーターでも不安はないのだ
ただ、ひとつ不安があるとしたら、クマの出没である
車だと、それほど恐怖感はない
だが、体がむき出しのスクーターでは、万一遭遇すると怖い
そう思いつつも、誰も通らない林道をひたすら走っていると、ついつい歌を口ずさむ
自然と「森のくまさん」になった
「ある日 森の中 くまさんに であ―った」という歌である
快調に、かなり下まで下りてきて、林道の終点「水須」の連絡所まで、あと6キロぐらいの地点だった左にカーブをした途端、目に入ってきたのは黒々とした物体である
道路反対側の路肩を歩いているツキノワグマだ
「うわっ」と思いつつ、一車線しかないから、ほぼ目の前にしながら、通り過ぎた
慌ててブレーキをかける
10mぐらい行きすぎてスクーターは停まった
もちろん、写真を撮ろうという魂胆だ
スクーターにまたがったまま(もちろん、追いかけられたら、すぐに発車して逃げられるように)、肩から提げていたカメラバッグを前に回す
慌ててカメラを取り出そうとするが、顔は右斜め後ろのクマに向けたままだ
クマは、こちらをそれほど気にすることなく、路肩のガードロープをくぐって崖下に下りて行ったカメラは間に合わなかった
ただ、目には焼き付けた
体長150センチぐらいの成獣だろう
毛並みはつやつやで、何となく栄養状態がいいのかと思った
顔はツキノワグマにすれば細面で、言ってみれば「イケメン」
道路わきの木が揺れている
崖を下りながら、木の幹にぶつかっているのだろう
また、舞い戻ってくるような気がして、なかなか近寄れない
柵もない自然界で、これだけ近くにクマを見たのは初めてだ
なんとなく、人間もこの自然界に住まわせてもらっているのだなあと思わざるを得なかったのである
(写真は上から、遠くに薬師岳を望む有峰ダム、クマが出た有峰林道小口川線の現場、クマが崖下を降りて行った場所)