年を取ると、欲は少しずつなくなるというが、そうでもないらしい
夏のレジャーには、とんと縁がないが、何かをしてみたい
で、先日、2年ぶりに立山に登ってきた
去年はトロッコ電車で立山カルデラに向かったので、「登って」はいないのだ
 
当然、立山黒部アルペンルートの運賃が、「富山県民感謝デー」(8月20-31日)で3割引になるのを待っての決行である
つまり、通常運賃は立山駅―室堂間往復4190円だが、3割引で2940円なのだ
登山日は立山山頂の気象予報が「9時ごろから晴れ」マークだった日を選んだ
 
自宅からスクーターで立山駅へ
途中、コンビニで朝ごはんと昼ご飯用のおにぎり、飴、お茶などを買った
準備は万端である
立山駅で7時のケーブルカーに乗り、美女平で7時20分の高原バスに接続する
 
まだ、時間は早いから周辺は曇り
ところが、弥陀ヶ原に着くころは、なんだかガスってきて、室堂(2450m)ではついに一面の白い世界
視界は100mだから、登山道ぐらいしか見えない
かすかに霧雨のようでもある
迷いに迷って(と言ってもそのまますたすたと歩き始めたが)、室堂ターミナルを出て、登山道へ
 
イメージ 1 まずは、室堂山(2668m)に向かう
いつも雄山ばかり行っているから、違うところも登りたいというわけだ
ハイキングコースとはいえ、初めてのルートが視界不良では、まったく残念だし、道に迷わないか不安だが、ここは登山道が整備されていて、迷うことは一切ない
わずかに登山者もいる
 
なんなく頂上に着いたが、行き止まり
そういえば、地図には確か、次の浄土山(2831m)へは途中からの分かれ道を行くようなルートが書いてあった
早速、少し戻って、「浄土山登山口」とある標識を確認、そこから右に(室堂から来れば左に)歩を進めた
 
いきなり、雪渓だ
横切るのに10mもないが、もちろんボクは登山靴など今まで持ったことがない
この日も、いつものウオーキングに使っている靴である
滑らないように雪渓を渡ると、岩場となる
 
登山道はない
ひたすら、岩に赤いペンキで書かれた矢印を追い掛けながら、岩を登る
後ろから若い男性に声を掛けられた
「竜王()は、こちらですか?」
「いや、ちょっと分からないんだけど」と言いながら、地図を見て「このルートでいいようですね」と再度答えた
 
こちらも初めてのルートなので、分からないものは分からない
竜王岳がその先にあることは知っていたが、山で知ったかぶりはできない
 
イメージ 2 きつい岩場をなんとか越えたら、稜線に出たのか、すっかり登山道もあり、楽チンになった
逆に、強い風が吹き荒れ、着ていたゴルフ用のウインドブレーカーではかなり寒い
真夏なのに、凍える思いだ
富山大学立山施設(2839m)がガスの中に見える
 
寒いし、風は強いし、かなわんなあと思いつつ、下りに入って一の越(2705m)を目指したころから、少しずつガスが消え始めた
立山(3003m)は雲の中だが、眼下の一の越は岩場と緑の草原のような色合いで、くっきりと見えてきたのでイメージ 3ある
 
そして、色とりどりのウエアが集団で登っているのも見える
小学校の集団登山だ
なんだか頼もしい感じがする
こちらは、日頃の運動不足と、加齢によるバランスの悪さを痛烈に実感していた
だから、一の越から室堂に戻るつもりでいた
だが、一の越山荘前の広場で休んでいると気が変わった
 
雄山に登ることにしたのである
まあ、詳細は省略するが、時間はかかったものの、なんとか登った
それも次第に晴れてきて、壮大な景色が見られたからかもしれない
 
イメージ 4一の越から両親に連れられた男の子が登っていたので、「強いねえ、何歳?」と聞いたら「6歳です」と、親が答えた
「うちの下の娘も6歳のとき上がったよ。子供は身軽だからね、大人より強い。でも下りは足が届かないから、お尻をついて下りて行ったよ」などと話した
その家族連れとは何度か一緒になったこともあり、頂上では「頑張ったね」と言って飴をあげた
 
富山市内の小学校の集団とも声を掛けながら、登った
全員頂上まで目指すと言う
かつて、富山県内の小学6年生は全員が立山に登った
つまり、元服の儀式と同じだったのである
いまは登山をしない学校もあるという
 
イメージ 5 頂上の雄山神社峰本社入り口で500円を払い、お祓いをしてもらった
雲が早いスピードで流れて行く
ああ、今年もまだ来られたな、登れたなと思う
 
社務所前の広場のベンチで、おにぎりを食べたが、社務所で売っているカップラーメンも気になる
しかし、500円なので我慢した
 
さて、下りようとしたら、小学校登山で、なかなか登れない子供が一人、先生に連れられて上がってきた
もう頂上まで5-6mなのに「もうだめ」と言っている
先生が「ほら、あそこのおじさんが立っているところが頂上なんだよ。もうちょっとじゃないか。みんな待っているよ」と励ましている
しかし、「もう誰も待っていない。これ以上無理、登れない」と息も絶え絶えだ
 
おじさんと言われたボクは、その様子をじっと見ていた
 
一歩一歩、休み休み、その子は上がってくる
そして、ついに到着した
先生が、先に頂上に到着していた子どもたちに大きな声で呼びかけた
「○○くん、到着しました!」
すると、みんながこちらを振り返って、パチパチと拍手を始めた
途端に、その子はぺこりと頭を下げて「ありがとうございました!」と大声で仲間に挨拶したのである
 
こちらも、きつい登りを我慢して頂上に来てよかったと思った
子どもたちのドラマを見ただけで、その甲斐があったのである
イメージ 6