愛車BMW525iハイラインを手放すことになった1999年12月登録だから、前世紀の車である
すでに14万2000キロを超えた
だから、次々と不調になり、ついにあきらめた
もちろん、新車で買ったのではない
3年落ちの認定中古車と言うやつだ
もちろん、外車は初めてだった
当初はとても調子が良かった
ところが、ある時期から次々とトラブルが起きた
休日に子どもを乗せて隣県に遊びに行った帰り、高速道路でタコメーターが動いていないことに気付いた
慌てて、近くのサービスエリアに入ってエンジンを停めた
そしたら、再始動は不可能となった
近くの整備工場の積載車を呼んでもらって、ディーラーまで運んだ
翌日、コンピューターが故障しているとのことで、大枚はたいて交換した
ほかにもある
走行中には映らないはずのテレビが映っており、見たらスピードメーターが動いていない
停止中と判断してテレビが映っていたのだ
これも交換である
危なかったのは、ガソリン漏れだ
家の近くの交差点で曲がった時に、何かゴロンと音がした
そのまま家の駐車場に入れたが、なにかガソリン臭い
下をのぞくと、ポタポタと漏れている
ものがものだけに、下手をすると爆発する
わが家の駐車場だけでない
近所にも迷惑がかかりそうだ
マジに消防を呼ぼうとも思った
幸い、そうしたことにはならなかったが、半分ほど入っていたガソリンはすべて流れ、気化して消えていった
あとは、臭い匂いだけが残った
もちろん、ガソリンタンクの交換となった
ほかにも、エンジン下部からのオイル漏れ、パワステのオイル漏れと、数え上げたらきりがない
それでも、修理しては、ひたすら乗っていた
なぜなら、気にいった愛車だからだ
本革シートも、ほとんど傷んでいない
大切に手入れしていた
飾っていたのではないどこへでも下駄代わりにして使っていた
富山から仙台へ日帰りで往復した時も、安心して乗っておられた
高速に強い車だった
アウトバーンを走る車の素生というものを感じた
だいたい、スピードメーターの表示で、真上が130キロだった
だから、針が右半分の領域に行くことはなかった
昨年10月、リアアームを交換して、車検を通した
その後、町の修理工場で、ベルトを張るテンショナープーリーも交換した
長年の異音がこれで消えた
ところが、今度はアイドリングが不調になった
今にも止まりそうになり、車体が震える
やむを得ず、ディーラーでコンピューター診断して、直してもらった
これで、大丈夫と言われたのに、2週間で、また同じ症状が出た
再び、ディーラーへ
直れば、また乗るつもりだった
しかし、前回の見落としについては何の説明もなく、こう指摘された
ほかにホースが破れているところがあったので直したが、不安要素はまだある、と見積もりを出してきた
もちろん、ホースの破れについては部品、工賃とも払ったが、さらなる出費を求められた
そして、「それをすべてやっても、もう古い車だから、また次の不都合が出てくるかもー」と
そんなことは分かっている
だが、なぜ、最初に直ったようなことを言ったのだろう
愛車BMWとお別れするときだと判断した
そして、正月最初の中古車フェアへ
こちらも年を取ったが、4番目の子供が大学受験で、金銭の余裕はない
だから、もう車は中古のコンパクトカーでいい
目指すは、コンパクトなのに、中が広い日産のディーダである
会場を2回歩いて、黒のティーダを見つけた
前席、後席に座ってみたら、やはり広いし、セールスの態度もよい
心がぐっと傾いた
「待てよ」となぜか思った
もう少し見てから決めようと、ティーダから降りたら、2台ほど後ろの白のスポーティーな車が目に入った
スバルのインプレッサハッチバッグだった
なぜか、ホワイトパールの色と、正面からの「顔」にひかれた
むくむくと、遊び心が頭を持ち上げてくる
昔、天文少年だった
だから、プレアデス星団の和名「すばる」には、とても心がひかれた
清少納言も素敵なものを列挙した枕草子で「春はあけぼの」と言い、「星はすばる」と言った
それに、学生時代に読んだ小説(確か、庄司薫の「さよなら快傑黒頭巾」だったか)に登場して憧れたのがスバル1000であった
振動の少ない、水平対向エンジンというのも知っていた
スバルは富士重工業であり、その前身が戦闘機の「隼」を造った中島飛行機であることも、だ
いや、広島に原爆が落とされた翌日、日本初のジェット戦闘機を飛ばした会社である
なんだか、一瞬にして、いろんな思いがどっと押し寄せた
インプレッサハッチバックは2009年のモデルだった
ホワイトパールは特別色で、フル装備だという
すぐに、セールスにOKを出した
だが、そこからである
「この冬場にスタッドレスもないのか」とゴネていたら、フェアの会場入り口でもらったスタッドレス補助金の3万円の券の話になった
その券では「新品は追加料金がいるのですが、中古のスタッドレスなら用意しましょう、溝は十分ありますから」との仰せである
さらに、「そのタイヤは今アルミを履いているので、それを夏タイヤに履き換えておきますから」とのことである
アルミホイールまで要求していなかったのに、ついてくることにった
これで、文句は言えないだろう
かくして、ロングノーズショートデッキのスポーティーな車がわが家に来ることになったのである
契約してから、早速アマゾンで、このモデルのことを紹介した雑誌の中古本を取り寄せた
その写真を見て、はっと気付いた
真横からの雰囲気がBMWの1シリーズにそっくりなのである
中身は違うが、年を取った自分には、これで十分だ
いや、こちらのほうが似合うのかもしれない
明日はインプレッサが来るという日
冬の北陸には珍しく晴れて暖かかった
BMWを走らせてKNBラジオの生放送に行き、帰ってからは持って行ってもらう夏タイヤを積みこんだ
そして思いたって、漁港に行った
雪を抱いた北アルプス・立山連峰を背景に、漁港でBMWの最後の写真を撮った
故障が続いたが、最後まで事故を起こす事もなく、運んでくれた
それに勝るものはない
夜、車内のお守りもすべて外した
なんだか、ひどく寂しかった
「ありがとう」
ハンドルにそっと触れてみた