調べ物をする日にしていたのに、朝からまずまずの天気に方針変更
久しく行っていない、八尾へスクーターを飛ばした
週間予報では明日から崩れるからなおさらだ
 
行き先を八尾にしたのは、おわら風の盆のときだけでなく、最近はいつも観光客がいるというからだ
町の変化を見たかったのである
 
 ところが滑川の自宅を出てスーパー農道で上市を通り、富山市に入って間もなく前方に菅笠の人が―
 金剛杖に白いズボンで、どうみてもお遍路さん
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 かつて遍路をして四国八十八か所を通しで歩き、翌年はお礼参りにスクーターで行った
 そのとき見た光景と同じものである
 
 すれ違う際によく見ると、肩から掛けた白い頭陀袋には「同行二人」と書かれている
 間違いはない
 
 やや迷ったが、Uターン
 お遍路さんを追い越して、スクーターが停められる場所で停止し、ヘルメットを脱いで、到着を待った
 
「すみません、どうしてこんなところを歩いておられるのですか?」
「えっ?」
「いや、私も四国八十八か所を歩いたことがあってー」
 と説明し、ようやく警戒心も解けたのか、立ち話となった
 
 ボクと似たような年齢の初老のおじさんである
北陸観音霊場三十三ケ所めぐりだそうだ
 こちらは、四国の八十八か所を回ったことがあるのに、地元の霊場めぐりには、とんと無知
 なんだか、とても恥ずかしい思いをした
 
 一番札所は福井県若狭から始まるそうで、一日四〇キロ程度歩くという
 もちろん、健脚の部類である
 
「どちらから?」と聞いたら
「新潟の長岡です。今まで、新潟とか長野の霊場巡りはしたのですがー」と
 
つまり、今回の北陸観音霊場巡りのため、長岡から福井の若狭まで行き、歩いてきた
服装がきれいだなと思ったら、ちゃんと宿に泊っての行脚である
ただし、「北陸は宿も時間通りに入らないといけないし、なかなか大変です」とのこと
 
よく分かる
歩き遍路は、時間を指定されても、なかなか思うように行かない
必死になるのである
 
最も、聞きたいのは「なぜ、遍路に?」である
しかし、聞かなかった
先を急いでおられることも分かっていたが、かつて四国で老遍路からこう聞いたからである
「遍路に出た動機などを軽々しく聞くんじゃないよ。人それぞれの事情があるのだから。本当に親しくなって、ちゃんと受け止められるようになったら別だが」
 
富山で出会ったお遍路さんと会話をしたのは、ごくわずかな時間だった
足早に先を急ぐ、その人の後姿に「お気をつけて」と念じただけである