地味な県・富山
観光で見るところがない県・富山
県民自身が、そう思っている
「素敵なところがたくさんあるじゃない」と、言ってもダメだ
どうやら謙遜する県民性というだけでなく、「当たり前すぎて、いいものに気付かない度合いが強い」のかもしれない
今日は、なんだか息が詰まって午後からスクーターで外出した
当てはなかったが、立山方面に走った
そのうち、立山町芦峅寺の「雄山神社」に行こうと意志が固まってきた
空は曇りである
写真を撮るには、いい日ではない
しかし、芦峅の雄山神社は中宮祈願殿と呼ばれ、祈れば何かご利益があるかもしれない、という「せこい考え」も浮かんだのである
到着すると、うっそうとした杉の大木に囲まれた境内に、ジーンズ姿の女性の先客が一人奉納された絵馬を眺めたり、あちこち散策したりしている
こちらは写真を撮ってから、わずかなお賽銭を出して、「まあ、とりあえず平穏に」などと心の中で思い、祈願である
そのあと、気が向いて近くの「まんだら遊苑」にスクーターを走らせた
立山博物館の付属施設で、立山の地獄極楽を表現している
アミューズメント施設と言うと違うのかもしれないが、はっきり言って怖くて幻想的で面白い
そこの入り口近くで、先ほどの女性が木にたくさんぶら下がった薄紫のフジを写真に収めている
こちらに会釈をされたので、「フジ、美しいですね」と声を掛けた
すると、「どちらからですか?」と聞かれ、「地元です」と言ったら、「私、名古屋からです。富山が好きで、好きでー」
この世に、熱烈な富山ファンがいるとは聞いていた
しかし、会ったのは初めてである
しばし、立ち話
どうやら、私がスクーターに乗っていたのを見て「遠くから来た旅人」と思って、「どちらからですか?」と聞いたらしい
そして、それからは驚くことばかり
富山市内のホテルの窓から見た立山連峰がとても雄大で美しく、それ以来、富山ファンになったそうだ
「運よく、立山がきれいに見えた日だったのですね」というと、「翌日の新聞に立山連峰の写真が載っていたので、本当にラッキーな日だったのでしょう」と
これまでに岩峅寺の雄山神社や芦峅の雄山神社、立山頂上(標高3003m)の雄山神社峰本社も昨年、一昨年と訪ねたというさらには立山縦走をしたこともあるという山の好きな女性だった
話すうち、宇奈月温泉はもとより黒薙温泉にも入ったというし、こちらより、よほどの富山通
「仕事で息が詰ると、月に1度ぐらい富山に来るんですよ。とても癒されるから。金沢はつくられたものばかりだけど、富山は本当にいいところがたくさんある。高速バスで来て、ビジネスホテルに泊まって、おいしいものをいただく。そんなにお金もかからずに最高の癒しじゃないですか」
いろいろ、話をしていたら、偶然、富山地方鉄道の川岸社長とも知り合ったそうだ
「最初、バスで会ったとき、作業員の方かと思ったら、ほかの従業員の方から社長だと聞かされてびっくり。とても気さくな方ですね」と
こちらも、社長とは、昔、駆け出しの記者をしていたときからの知り合いだと話すと、「富山に来ると、本当に不思議な縁を感じるんです」といい、富山の山岳写真家でガイドの高橋敬市さんとも知り合ったそうだ
この女性、「それほど富山が好きなら、学生みたいにアパートを借りた方がいいのではーと言われるくらい。今度はまた友達をたくさん誘って、富山にくるつもりです」という
こちらは、笑いながら「富山県知事に成り替わりまして、本当に感謝申し上げます」と答えた
それは心からの思いだった
(写真は杉の大木が林立する芦峅寺の雄山神社の参道㊤と、まんだら遊苑の「血の池地獄と針の山」を表現した施設㊦)